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アーブラハム帝国

アーブラハムとファーストコンタクトします。

ラインスラスト帝国と和平条約を結び半年後、ジャンプアウトする12隻からなるデルタリア艦隊(宇宙探検隊)


「この恒星圏内に知的生命体が生存していると思われます」


ラインスラスト帝国が長年に渡り収集し確認していた情報を貰い、トレミー星団内に知的生命体が住む星の探索に来ていた。


「ふむ、艦影は確認できるか」


「いえ、全く感知してません」


「そうか、技術的に遅れているのかな」


「使用している電波などから、それなりの技術があると判明しておりますが、これ以上探査するには近づかないとわかりません」


「そうか、細心の注意を払い接近せよ」


「了解しました」


その見つけた星はラインスラストより数百年技術が遅れているフェデラリー共和国だ。恒星圏内に入り警戒しながらゆっくり進み数時間後、ピーンと艦船発見を知らせる警告音が鳴る。


「艦長、艦影確認しました、この先3時方角にあるアステロイドベルト内に1隻だけ潜んでいます。所属不明、貰った艦船データーと不一致」


「進路変更、アステロイドベルトに向かえ」


「了解」


フェデラリー共和国近くに存在するアステロイドベルトに不審な船を見つけるのであった・・。


ーー


同じ頃、潜んでいた船の中は大慌てだった。その船は高く聳える艦橋の上に大型レーダーアンテナを備え、船体から数本のアンテナが四方に伸び、パッと見は戦艦に見えない。一応主砲は搭載しているが申し訳ない程度だった。


「何も変化がありませんね、今回も収穫無しですか」


暇な乗務員がボヤいていると、ビー、いきなり哨戒レーダーに反応が出た。


「艦影確認、12隻からなる艦隊です」


「なんだと、どこから現れた、どこに向かっている」


いきなり現れた所属不明の艦隊に驚き、艦橋内は騒然となった。


「恒星圏外からいきなり現れました。進路は転進し真っ直ぐ此方に向かっています」


「我々が観測している星の船ではないな」


「はい、艦影データー不一致、フェデラリー共和国には作れない技術と思われます」


「この前、一言交わしただけでいきなり攻撃してきた奴らか?」


「艦船データーを照合していますが今のところ不一致。もう少し近づかないとこれ以上は判明しません。一応戦闘態勢ではない模様です。」


「そうか、逃げる準備だけはしておけ」


「了解しました」


「ゆっくり移動して隕石群を盾にして身を隠せ」


「了解」


この船の所属はアーブラハム帝国の探査船だ。まだ技術的に遅れているフェデラリー共和国をラインスラスト同様、監視していたのだった。


「艦長、所属不明艦進路変わらず向かってきます」


「まだ詳細はわからないのか」


「はい、このままですと後10分後に射程距離に入ります」


「第2次戦闘態勢を取れ、主砲は動かすな」


「了解」


ーー


<デルタリア艦隊目線>


「艦長、アンノン艦船は探査船と思われます」


「進路このまま、射程距離手前で旗艦以外停船」


アーネストは刺激しない様に旗艦以外を停船させた。これで相手は戦う意志がないと判断すると思うはずだ。


「了解」


「第一次戦闘態勢、主砲は稼働させるな」


「了解」


できる限り刺激しない様に最善を尽くすアーネスト・・。


ーー


<アーブラハム帝国軍目線>


「艦長、所属不明艦隊停船確認しましたが・・・一隻だけ向かってきます」


「うぬぬ、一隻だけ近づくとは我々のことを掌握しているのか・・コンタクトを取りたいのか」


アーネストの行動はちゃんと伝わったようだ、警戒していた艦長は少し安堵する。


「そのようです撤退しますか」


「いやまだ待て、交戦の意思がなければ数年前に攻撃してきた奴らと違うかもしれない」


「そうですね、そもそも船の形も違いますしあの船はサイズがでかいです」


「何トン級だ?」


「100万トン級でしょうかこの船の5倍以上あります、間も無く射程距離に入りますが威嚇射撃でもしますか」


「あほ、向こうが戦闘態勢で無いのに撃ってどうする」


「そうですが」


「不安なのはわかるが、未確認の船だ調べるのも我々の仕事だぞ」


「わかりました、様子見ですね」


そして攻撃をしてこないその大きな戦艦を見て考え込む艦長は、相手も同じ事を考えてると想定し、コンタクトをつr事を決める。


「よし、ワープ装置起動、隕石群から離れ相手との距離を縮めろ」


「わ、わかりました。ワープ装置起動、艦首を012方向に転進」


「了解」


ギューンと艦内に響き渡る機械音、勿論ジャンプ装置と同じだ。何かあったら即座に逃げる準備だけは欠かさなかった。


Ai)「ワープシーケンスに入ります」


「微速前進、方位012」


そして覚悟を決めた艦長は、ゆっくり船は向きを変え始めた。


ーー


<デルタリア艦隊目線>


慎重に相手を刺激しないようにゆっくり接近していた旗艦エルフォード。


「艦長、アンノン此方に向かって来ます。んっ、内部に高エネルギー反応確認」


「場所は?」


「船体後方に集中していますのでジャンプの準備でしょうか」


「微速前進、速力を落とせ、ゆっくり刺激しないように近づくんだ」


「了解」


「相手からのコンタクトはあるか」


「今のところありません」


「近い周波数を使ってくれてれば良いのだが、全周波数で呼びかけろ」


「内容は?」


「我々デルタリア軍は交戦の意思なしでいい」


「了解、こちら、デルタリア宇宙軍、国籍不明艦に次ぐ交戦の意思なし、繰り返す交戦の意思無し」


この状況だ、言葉がわからなくても会話する意志があれば必ず反応するはずだ、その期待をこめて相手にメッセージを送った。


ーー


<アーブラハム帝国軍目線>


「所属不明艦、速度を落としました」


「あちらは冷静だな」


「ええ、戦闘速度以下に落としたので、交戦の意思は無いかと」


「ああ、そうあって欲しいな」


「艦長、全周波数で呼びかけています」


「スピーカーに出せ」


「はい」


「#’(%%$$#&%#”!#&%’&」


「うむ、さっぱり分からん、やはり違う星から来た船なのか」


「ええ、数年前に攻撃してきた連中の語源とは違い解析できません」


「交戦の意思がなければ、コンタクトを取りたいと述べているのだろう」


「はい、そうあって欲しいです」


こうして、アーブラハム帝国軍とのファーストコンタクトが始まった。


「艦長、距離10キロ、完全停船しています」


「言語解析は済んだか?」


「いえ、情報が少なすぎます」


「まぁ、お互い同じ状況だろうな」


「不明艦、ゆっくりスライドして近づいてきます」


デルタリアの旗艦は相手との距離を縮めるため、その大きな船体をゆっくり横に向けたまま観測艦に近づけていた。もちろん主砲は前を向いたままだ。


「ふむ、向こうもコンタクトしたいのか・・」


数十分後、お互いの距離500mまで接近していた。


「それにしてもでかい船だな」


「ええ、長さだけでも1キロ以上はあります」


「主砲もデカイな」


「はい650ミリ以上ありますね、あっ、艦長見て下さい船外船首に数名確認出来ます」


モニターには宇宙服に身を包んだ乗務員達が5名程並んでいる。


「解析急げ」


「はい、身長178センチほどです、我々と体の形は変わらないようです」


「そうか、よし行くぞ」


「はっ?まさか船外に出るのでしょうか」


「相手が先に出て来たんだ、此方も出なくてどうする」


「はぁ・・」


「おお、久しぶりにすごく緊張してきた!」


「楽しんでませんか」


「当たり前だ、息子に自慢話できるぞ」


「そこですか!」


アーブラハム観測艦の艦長以下3人は船外に出ると、ライトを振ってコンタクトを取ることになった・・。


ーー


<デルタリア艦隊目線>


エルフォードの艦首付近に立っている乗組員はジッと相手の出方を伺っていた。


「おお、向こうも船外に出て来たぞ、体格もほぼ一緒だ」


「ええ、ライトを振っていますね」


艦橋の作戦モニターに映し出されたライトを振るアーブラハムの乗組員を見た艦長は交戦の意志が無いと読み取り、ワクワクしながら指示を出した。


「よし、よし!シャトルを出して近づくぞ!」


「艦長、私も同行しましょうか?と言うか是非行きたいのだが」


「アーネスト陛下、無理しないでくださいアーリー女王に怒られますよ」


「そうだな、旗艦の指揮官はドンと構えていなさいって言われたもんな・・」


今回エルフォードを旗艦としてデルタリア宇宙探検隊として参加していたアーネストは少し残念そうだった。


「クーンの方が数百年も前から艦隊を運用していますからね、ここは従った方が良いかと」


「それじゃ、頼んだぞ」


「はい」


こうしてアーブラハム帝国とのファーストコンタクトが始まった。


ーー


クレア「次の出撃(探検)の際は私も行きます!」


ファーストコンタクトを終えお互い戦う意志が無いことを確認、お互いの位置座標を交換。次回アーブラハム本星に出向く事を約束し、アーネストは一旦クーンに戻ってきたのだが、出迎えたクレアは中々どうして結構ご立腹だ。腕を組みプンプンと怒りを露わにしていた。


アーネスト「わかった、次と言うかアーブラハムに連れて行くよ」


「お願いしますね!」


ご立腹の理由はアーリーはアーネストと別なデルタリア探査チームと周辺探査に加わっていた。実践未経験のクレアはクーン女王の代理としてお留守番をしているのだ。


「あら、焼き餅なのクレア」


「だって、先月なんか3日しか会えてません!プンプン」


「ふふそうね、アーブラハムは長くなりそうだから貴女に全権委任するわ」


「い、いきなりの全権委任ですか、分かりました頑張ります!」


こうして即座に女王代理として指名されたクレアはやる気十分でアーブラハムに向かう事になった。


ーー


「アーネスト陛下、予定座標にまもなくジャンプアウトします」


「出迎えの船が待機している筈だ、失礼のない様に頼む」


落ち追う場所として指定された座標にエルフォードとクーンの通常型戦艦2隻を率いてジャンプアウト。少し離れたところに2隻の戦艦が待機していた。


「出迎えの艦船確認」


「ようこそ時間通りだな。それではついて来てくれたまえ」


アーブラハムの戦艦の後を追う形で本星を目指すのだった。


ーー


「違う星に来ているのに、都市の形って大差ないのですね」


アーブラハムに降り立ったアーネスト一行は、代表者が待つ総統府に向かっていく途中、中心部らしき所を通過。その際、街並みを見たクレアはデルタリアとさほど変わらないと呟く。確かに形は違えど摩天楼を織りなすビル群に違いはなかった。強いて言えば作りがシンプルな形が多かった。


「間も無く到着します」


アーブラハム帝国は少し変わっていた。数十年前まで王国だったがアルド率いる反王国貴族集団、アーブラハム帝国党はひたすら王国批判を繰り返し元老院を力で押さえつけ、反乱を起こし貴族院、王国議会を解散、新しく帝国議会を立ち上げ現在は与党帝国派と王族と元貴族を主体とする野党国王派に分かれ2大政党制となっていた。


「ようこそアーブラハム帝国に、私が総統のアルドだ宜しくな」


「クーン精霊王国、女王代理クレアと申します」


何事も無く挨拶を終え、星団との和平交渉が順調に滑り出すと思われたが、クレアはアルドの思考を読み取り引き攣っていた。そう、強烈な独占欲や欲望が彼女に向けられていたのだ。英雄色を好むとはこの事なのだろうか、時折見せる目の動きは女を品定めする様な、湿った目つきでいやらしく舐め回していた。


「すまぬが帝国議会で挨拶を頼めるか」


「承知しました」


総統アルドとの最初の謁見が終わり、条約締結に向けての会議に入る前に議会で面通しを兼ねて挨拶を行って欲しいと頼まれクレアは快諾。そして議場に向かった。


議長「それではクーン精霊王国クレア女王代理、挨拶をお願いします」


「私はクーン女王アーリーの名代、ここアーブラハムに和平交渉の為に赴きました・・・」


次に呼ばれたのは帝国議会は予算執行を巡る論戦の最中だった。その会議を一旦中断し、クレアは当たり障りのない挨拶を述べ無事代役を務めた。今は静かに今後の条約に関しての趣旨説明を聞いていた。

宜しければブクマ評価お願いします。

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