表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/431

出会って3秒で一目惚れ

あの船の設計者です

フォーレストに次世代シールド装置設置が決まった。その基礎技術はとあるクーンに来たばかりの技術者のアイデアだった。その彼はラインスラストにて技術移転の最中に知り合った1人だ。発想力が素晴らしく彼が設計するシールド、素粒子砲などはクーンの技官達も驚くほどの性能を発揮するのだ。だがしかしエネルギー消費量が半端なくとても使い物にならないモノばかり設計し、他の技術者からは馬鹿にされ給料泥棒と揶揄されていた男だった。


ーー


アーリーがラインスラストに滞在して2週間後・・・。


トマス「アーリー、この技術者はクーンで使い物になるのか?設計思想はズバ抜けて良いが、夢のような技術ばかりで実用化は難しいのじゃないのか」


アーリー「ええ、そうなのですが、クーンの技術者と交われば実現できそうな技術が何点かあります」


「そうかならばウラッツェン、クーンで活躍してこい!」


「わ、私でよろしいのでしょうか」


「ああ、技術移転のお礼と言っては何だが、君が活躍する事に期待しているぞ、なんなら移住するか?」


「ア、アーリー女王様、クーン精霊王国は獣人の国ですよね、ね!」


何故か嬉しそうな表情のウラッツェン。


「そうよ、あら、貴方獣人を嫌ってないのね」


「ええ、もちろん凄く興味があります!」


「ほほほ、ウラッツェン問題なさそうだな、行ってこい!」


「はい!」


こうやって1人の技術士官、ウラッツェンがクーンに赴くことになったのだ。この男は25歳と若いが、チビでちょっと太め?既に薄い頭皮はピカピカな未来が見えるような薄毛だが、意外に顔は精悍な感じ、とまぁ見た目も個性的な奴だった・・。


ーー


アーリーがデルタリアに向かう為にラインスラストの報告書を作成していた頃、1人の若者がクーンにやって来た!


「こ、ここは、天国なのか!」


クーン国際宇宙港に降り立ち、防疫のため検疫所で診察待ちをしている時、ウラッツェンはその時折通り過ぎる看護婦の姿に目を輝かせていた。それはアニメの世界だけと思われていた”ケモミミ”が実際にナース服を着ていたのだった。そう、ケモミミっ子大好き男子だ!


「ウラッツェンさん、この問診票を読めますか」


順番が来て診察室の中に入ると看護婦が問診票を渡し読めるか訊ねたが・・。


「アハ!君とっても可愛いね」


「えっ、可愛い?初めて言われました。もう冗談はよして下さい」


その看護婦は大きな耳を備えモフモフが堪らなそうな狼と犬族のハーフだ。狼の威圧感の代わりにシルバーとミルキーホワイトの綺麗な毛並みと犬族の可愛らしさと相まってとても愛らしい。だが彼女は何故か可愛いと言われたことが無かったのだ。


「うん、凄く可愛いよ!僕と友達にならない?」


「えっ、診療所でナンパですか・・・・友達・・ハイ!勿論です」


ミックスの彼女は今まで男性?雄?と付き合うどころか一切相手にされた事が無い、そう混血種は雑種扱いで人気がないのだ。初めて告白され一瞬躊躇したがウラッツェンの要望に3秒で即答し目を輝かせていた犬族(狼)がそこにいた。


「ほんと?診察が終わったらクーン城に行かなきゃいけないんだけど、連絡先教えて必ず連絡するから」


「ええ、そんな、勤務が明けたらクーン城に行きますよ!私の名はワルワラです!」


チャンスを逃したく無いのか、初めて見る人間を見て興味が湧いた?いやいや検疫の診療所なので絶対見た事があるはず、だが前のめりでウラッツェンに食いついたワルワラだった・・。


「クンクン、これがウラッツェンさんの。。。嗚呼、いい匂いですね、もう覚えました!」


「うんうん、いいねケモノの匂いだね」


問診そっちのけで胸元の匂いを至近距離で嗅ぐワルワラは良い匂いと言い放ち、一方嗅がれて嫌がるどころか、結構ご満悦のウラッツェンは頭の匂いを嗅いでいた。実はこの行為には深い意味があったのだが彼は知る由もなかった・・・。


ーー


アーリー「ようこそ、クーンに来てくださいました」


ウラッツェン「アーリー女王様、よければ早速使えそうな技術開発を行いたいのですが」


「良いわよ、誰か案内してあげて」


「畏まりました」


クーン城に入ったウラッツェンはアーリーとの謁見を行っていた。そして早速、技術開発部に案内し技官との挨拶を終え、今後の開発課題など打ち合わせが終わりまた城に戻ってきた。


「アーリー女王様、僕の発想が活かせそうです」


「そう、それは良かった。クーンに連れてきた甲斐がありましてよ。ウラッツェン暇な時で良いんだけど高速で小型の6人乗りくらいの船を設計してもらえないかしら」


「承知しました、期限は3週間程でしょうか」


「うふふ、あなたが好きに設計して良いわよ」


ウラッツェンは即座に設計に必要な時間を割り出し、仕事の合間に行うと3週間は必要だと判断、それを聞いたアーリーは抜群に頭良いと思い、好きに作らせた方がいい物ができると感じ丸投げした。


「失礼します。ウラッツェン様、お客様がお越しになりました」


「あれ、貴方この星でもう知り合いができたの」


「あっ、ワルワラちゃんだ!」


「へっ?クーンの女の子なの、貴方以外に手が早いのね」


ちょっと驚いたアーリー、女性名の”ワルワラ”の名を聞いて即座に女の子とバレてしまったようだ。


「い、いえ、診療所の看護婦さんで声を掛けたら城に来るって言ってました」


「ふーん、ケネスその子をここに呼んで頂戴」


少し不満顔のアーリーは謁見の間に連れてくるように指示を出す。何か考えがあるのだろうか・・。


「畏まりました」


「えっ、ここですか」


「そうよ、一応身元を確認しないと、貴方はクーン宇宙軍最高機密に触れる技術者よ」


「そ、そうでした。少し行動が浅はかでした」


反省してバツが悪そうな表情を浮かべて数分後・・。


「アーリー様、連れて参りました」


「わっ!」


「驚いてないで、ひかえなさい」


ワルワラはナース姿から可愛らしい白地に青のラインが入ったショートドレス風のミニスカに着替えていた。謁見室に入りアーリーを見た途端、びっくりした彼女は跪き頭を下げプルプルと震え緊張していた。


「ア、アーリー女王様、私に、あたしに、なにか、ご、御用でしょうか」


謁見室など知らない彼女は言うがままに連れて来られ、突然女王を目の前にし自分の名を述べる前に完全に萎縮、辿々しく喋るワルワラ。


「名は何と、なぜにウラッツェン!」


そして反応を見る為に厳しめの言い方で接するアーリー。


「は、はい、申し上げますアーリー女王様、私はワルワラ。本日診療所にてウラッツェンさんと運命の出会いをしてしまったのです、です!」


既に何かを感じたアーリーはジト目だ!ワルワラの頭の中はピンク色で染まり、恋する乙女そのものなのだ。


「貴方は狼とのミックスね」


「は、はい・・・そうなのです、まさかミックスだから別れさせるのでしょうか」


ミックスのキーワードに反応したワルワラは差別されると思ったのか、それとも嫌な思い出が蘇ったのかは分からないが、自分に対し好意的なウラッツェンと離れたくないらしい。


「はい?今日、今日出会ったのでしょ!私はミックスでも差別しないわよ」


「あのー、私が何か悪いことしたのでしょうかアーリー様」


「あのねウラッツェン、彼女はミックス、狼と犬の雑種なの間違いなく父親が狼族で母親が犬族ね」


「はい、そうです・・(暗」


言い当てられた瞬間にもの凄く落ち込み項垂れ暗い表情のワルワラ、そうそれは彼女の出生に関係するのだった。


「ウラッツェン、貴方はこの子をどうするつもりなの」


「いえ、今日出会って、その、友達になりたいと思っています」


「そう、もう少しクーンの事調べてよく考えて行動してね」


「は、はい、すみません」


アーリーは何か言いたげだったがあえてこれ以上口には出さなかった。しかし余りにも落胆し悲しい顔をするワルワラのその表情が気になり、確認のつもりで質問をする。


「一応聞くけど近距離で匂いを嗅ぎ合ってないわよね!」


「ハッ!匂いですか?ワルワラさんに胸の匂いを嗅がれましたし、彼女の匂いは想像通りでしたね!」


「はい、とても良い匂いでした、何というか良い人の香りがしました」


「エ゛!もう既にそんな仲なんだ・・・」


クーンの獣人達の愛情表現というか、普通、初見の異性に対し近距離で匂いを嗅ぎ合う事は無比なのだ。匂いを嗅ぐ距離イコール仲の良さと考えるのが一般的だ。ウラッツェンに対し何を思ってワルワラは行動したのか分からないが、既に彼女は全てを受け入れる準備が出来ていた、と言うか要するに”告白されて3秒”で一目惚れという事だ!


「そ、そんな仲とは・・もしかしなくても距離が近いって・・友達以上って事ですよね!」


感が良く意味を理解したのか、ものすごく嬉しそうなウラッツェンを見て、意識を覗いたアーリーは頭を抱えることになった。そう、ちょっと意識の色がおかしいが相思相愛らしい・・。


「コラァ、ウラッツェン!ワルワラ!お前達分かっているよね!」


アーリーはある決断をする。それを確実に実行するために叱り飛ばすのだった。


「ひゃー、女王様お許しを・・」


「わわ!怒った」


アーリーの怒りに触れたワルワラは一瞬毛並みがビッと硬直し、慌てて平伏し頭を床に擦り付けていた。それを見たウラッツェンも躓き顔色が青くなる。


「もう、ワルワラ貴方はクーン宇宙軍に配置転換するから!」


「それって、私の為にですよね」


「ふん、そうよ、軍に入って私に忠誠を誓いなさい。そうすれば付き合っていいわよ」


2人の意識を読み取ったアーリーは即座に判断。ワルワラを軍医に配置転換し忠誠を誓わせるのだ、それは情報漏洩を嫌っての判断だった。


「あ、ありがとうございます。アーリー女王様、わたくしワルワラは貴方様に忠誠を誓います、です!」


ワルワラは一旦立ち上がり胸に手を置くと跪き頭を垂れる。


「ワルワラ、その忠誠を受け取った!軍医として邁進しなさい」


普通、一介の兵士が直接個人的に女王の許しを得る事は普通あり得ない。今回は直々の発令なので勅命と同じ効力を発揮する。もし裏切れば叛乱と判断されてしまうのだった。


「はい!畏まりました、アーリー女王様」


ワルワラは先ほどとは違い、今にも泣き出しそうなほど喜びに満ちた表情に変わっていた。忠誠心が強い彼女なら裏切りなどないだろうとアーリーは思った・・。


「2人とも客間に行くわよ」


「えっ、客間って・・」


「お茶よ、お茶!」


「え!アーリー様とお茶ですか、き、緊張します、です」


「あのねワルワラ貴方のことをちゃんと説明した方がいいと思うの」


「はい・・・そうですね」


そして2人を連れ客間に入りお茶を一口飲むと、アーリーがワルワラが何故ミックスなのかその訳を話し始め、最後に本人に確認すると想像通りだった・・。


「はい、私は母親1人に育てられました、お父さんは・・・写真でしか知りません」


ワルワラは片親だった。どちらかが惚れ結ばれたが戒律の厳しい狼族はミックスを嫌い許さず2人を引き離したのだろうと考え、全くその通りだった。


「ワルワラ、僕は全然問題ないよ」


「うん、ありがとう」


出会ったばかりなのに、既に信頼し合う恋人同士の様な2人、だがアーリーはその変な色の意識はもしかしてコイツはアレ(ケモミミ好きオタク)と思い、思わずツッコミを入れる。


「ねぇ、ウラッツェン、ケモミミ好きなんでしょ!」


「あ゛、バレてた・・」


「まぁ、忠告しとくけど、ワルワラちゃんは独占欲が強いというか、一途になるから幸せにしてあげてね」


「は、はい、ですが何故そこまでわかるのでしょうか」


「忠誠心が強い狼族の血を引いているのよ!それくらい分からないの?」


アーリーはウラッツェンの想像する獣人とは違い、本能が性格の一部と化すことを説明。出会い一瞬で決断する早さ、余程のことがない限りその判断は覆らないと話す・・。


「うわぁ、アニメとやっぱ違うな、けど可愛らしくて僕の理想そのままだよワルワラちゃん最高!」


「。。。いやーん(恥」


彼女はウブなのだろうか、褒められ真っ赤になり耳がしんなり折れていた・・。


「けどね、その狼の血は怒らすと怖いよ〜、特に女性絡みは」


ワルワラは腐っても狼族の血を持ち縄張り意識が異常に強い、もし二人目の妻を娶ろうなどと考えた場合、彼女が認めない限り絶対許さない、もし勝手に連れてきたら全面戦争に発展するほど独占欲が強いのだ。


「は、ははは・・(汗」


ワルワラは口説かれ3秒で一目惚れ、ウラッツェンは自分の好みの最高のケモミミ少女と出会ったのは何かが惹かれあったのだろう。お互いを見つめ合う表情はとても穏やかだ。アーリーは政務のため一旦離席、その後2人は城下町に繰り出して行った。


宜しければブクマ評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ