ラインスラスト国とのファーストコンタクトは・・。
ラインスラスト国とのファーストコンタクトが始まりました。
フォーレストと和平条約を無事結んだデルタリアはクーンの宇宙技術を供与され、造船技術者を派遣し即座に新型戦艦の造船に着手、1年後20隻からなるデルタリア艦隊を突貫工事で作り上げた。そして処女航海を兼ねてトレミー星団に向かいラインスラスト帝国とファーストコンタクトを取ることとなったが・・・。
ダーフィット「こちらデルタリア宇宙軍、敵意はない」
司令官「どこの星の人間だ、何故言葉が分かるんだ!」
クーンの情報を頼りにトレミー星団に入り、ラインスラストの恒星圏内に入った直後、30隻からなる艦隊が待ち受けていた。因みにダーフィットは昇進して司令官になっていた。
「数年前にそちらの信号を受信し、解読したためだ」
「なんだと、貴官らはどこから来たのだ」
「2万光年以上離れたカラミティ星団から来たのだ」
クーン宇宙軍はアーリーの命令の元、トレミー星団の探査を行っていた。もちろんラインスラスト帝国の国名、言語などは既に解析済みで情報共有していた。
「そうか、敵意はないのだな此方としてもコンタクトを取りたいと思っている」
「司令!ルスランの船が戦闘態勢に入りました」
「なんだとすぐにやめさせないと、此方ボーグマンだルスラン敵対行動をとるな!」
ルスラン「ふん、異星人なんてビビらせた方が良いんだよ、最初が肝心なんだよこの場合は」
オープンチャンネルで聞いていた艦長の1人が勝手に行動し始めてしまった。前情報だとラインスラスト宇宙軍は無闇に敵対しないとの情報が上がっていた。何故そのことを知っているのか、それは勿論アーリーとアーネストが秘密裏に潜入し、国防軍の関係者から話を聞いていたのだ。
<<デルタリア艦隊目線>>
「艦長、主砲を展開、エネルギー充填している戦艦一隻を確認!」
ピッピ、ピー、火器管制レーダー照射され、艦橋内に警報が鳴り響く。
Ai「ロックオン信号8番艦に向け照射確認」
「確か向こうの主砲は半導体レーザーだよな」
「ええ、そう聞いています」
新しく建造した船はクーンの技術をふんだんに取り入れたデルタリア初の通常型20万トン、エルバート級戦艦だ。主砲は400ミリ大型素粒子砲を備え、新型シールドも装備していた。
「なら安心だ、此方の防御シールドなら防げるな」
「はい、ですが念の為レーザー阻害粒子を散布します」
「任せたよ」
バシューという軽い音と共にデルタリア軍の戦艦は阻害粒子を散布、停船しているのでその保護膜にすっぽり収まっていた。
ーー
<<ラインスラスト艦隊目線>>
司令「命令違反だ、直ちに戦闘態勢を止めろ!」
ルスラン「ふん、主砲発射!」
ジェネレーターがブーンと発電を開始すると、何の音もなく赤いビームが射出された。
「うへへ、これで沈めば俺の名声と昇進、勲章間違いなしだ!」
この男ルスランはマーベリックと同じ親父の権力を頼り、実力など皆無の馬鹿将校なのだ、考えていることはただ一つ、デルタリア軍に対し武力制圧を行い自分の手柄にし名声を手に入れようと簡単に考えていた・・。
<<デルタリア艦隊目線>>
「砲撃きます!」
数百キロ離れていたが数秒で着弾した、しかし阻害粒子で威力は100分の1以下に抑えられ船体になんの変化も無かった。まぁ粒子で阻害しなくてもシールドを張っていれば傷一つ付けれないのだが・・・。
艦長「今の攻撃は敵対行動と判断し、砲撃した戦艦を無力化開始!」
副長「了解、第1、2砲塔展開、相手砲台に向け精密射撃開始!」
デルタリア軍の指揮官は即座に反撃を開始するが、相手戦艦は脆弱なことを知っていたので砲台にピンポイント砲撃を行った・・。
<<ラインスラスト艦隊目線>>
レーダー手「デルタリア軍、砲塔展開反撃してきます!」
Ai「ロックオン信号受信、危険で回避して下さい」
司令「なんだと、あの馬鹿ルスラン余計なことをしやがって!」
ルスラン「ゲッ、効いてないよ、やっば!」
パッと閃光が光ると一隻の戦艦に4本のビームが吸い込まれ、直後強烈な衝撃が走り乗務員は壁に叩き付けられ、キャプテンシートに座っていたルスランは転げ落ちてしまう。
「なん、だと・・・」
態勢を立て直し艦外モニターを見るとそこには、全4砲台全てが砕け散り木っ端微塵になっていた。
「ルスラン艦長、砲台全て大破!エアー漏れ箇所多数、乗務員8名不明」
「な、なんて威力だ、に、逃げるんだ!」
Ai「ロックオン信号受信、危険で回避して下さい」
「信号確認、次弾来ます!」
ルスラン「急げ急げ!確実に殺される(WWW」
司令「だめだ威力が違いすぎる、撤退だ!最終防衛ラインまで下がれ!」
一撃で大破し、違いすぎる戦力差に恐れをなしたルスランは大慌てで尻尾を巻いて逃げ出す。そして司令官もその破壊力に驚き、同時に責任と言う名の最大級のプレッシャーに耐え切れず、謝罪の一言も無しにそのまま全力で本星最終防衛ラインまで下がってしまった・・。
「指令、デルタリア軍より通信が入ります。返答しますか」
「む、無視だ、逃げろ、全艦隊急速離脱!最終防衛ラインまで下がれ!」
<<デルタリア軍目線>>
「あれれ、司令、蜘蛛の子を散らす様に撤退しましたね」
「限定的に砲撃して敵意は見せてないのだが、ちょっとやりすぎたかな」
「この後は最終防衛ラインで総力戦の流れですよね」
「ああ気が重い、せめて返答してくれればよかったのに・・」
アーリー「ダーフィット見てたわよ、先に進んで様子見ね!」
「アーリー様、相手の戦艦は”紙装甲”ですよ、反撃したくないのですが」
クーン艦隊はどこにも姿が無いのだが、アーリーから連絡が入る。
「もしもの時は助け舟出すから堂々としてなさい」
「はい、その時は頼みます・・」
ヤレヤレ感全開のダーフィット、尻尾を巻いて逃げた事の責任を感じているようだった。
ーー
そして十数時間後・・・。
「アーリー様、ラインスラストの特使が参りました」
「いいわよ、貴賓室に呼んで頂戴」
「畏まりました」
クーン宇宙軍旗艦エルフォードにラインスラストの特使を乗せたシャトルが接岸し船内を移動中だ。
特使「この戦艦に全く歯が立たなかったのか・・」
司令「特使、一時はどうなるかと思いましたが、正直、威嚇砲撃で済んだのは幸いでした。試しに撃てと言われましたが・・・」
落胆気味の艦長、その理由は艦隊を前にしてアーリーが、”一発くらい撃ちなさいよ!”と言われ反撃の砲撃をすると、”んっ、なに撃ったの?”と言われ完全に戦意喪失の状態だった。
「今回は此方に落ち度がある、敵対しないことを祈るばかりだ」
結局、船の性能が違いすぎて全く歯が立たなくラインスラスト軍はビビって撤退。最終防衛ラインまで下がり、総力戦の構えを見せ睨み合いの最中、中間地点にアーリーが乗るエルフォードがいきなりジャンプアウト。デルタリア軍より更に強力な主砲で威嚇射撃を行い戦意を喪失させ、交渉の場を結びたいと申し出て惑星ステラ近くまで移動。そして貴賓室の扉が開き特使が入場し今に至る。
「ようこそ、我が旗艦エルフォードにお越しくださいまして」
「初めましてアーリー女王様、まさか女王自ら戦場に赴くとは・・」
「特使、面倒臭い挨拶は抜きよ、こちらとしては先に攻撃してきたラインスラスト側が謝罪を申し出れば、和平交渉のテーブルに乗りたい思います」
「それでよろしいのでしょうか、クーン王国としてはどのようにお考えでしょうか」
「クーン軍は同盟デルタリア軍と同様此方としては戦う意思がありませんが、それでも戦いたければどうぞ。ふふ、貴方達この船に勝てるかしら?」
「此方としても戦うのは真意ではありません」
一言喋ると二つ三つ返答するアーリーに対し特使は既に大汗をかいて対応していた。そう、全く遠慮せず話をドンドン進めるからだ。
「そう、わかりました。先に発砲した艦長を処分してください話はそれからです」
「それはまた乱暴な、いきなりは無理です」
「わかりました、それではお帰りください。私とて脆弱な相手に対し攻撃したくないのですが責任の所在を有耶無耶にするのであればそちらの艦隊を殲滅、無力化した後、無条件降伏を総統閣下に叩き突きつけます」
ステルス状態で観察していた5隻からなるアーリー達クーン艦隊は傲慢な艦長による単独暴走行為だと知っていた。それを理由に早急に和平交渉を結ぼうと思っているのだ。
「す、少しお待ちください」
「連絡なら隣の部屋の無線機を使いなさい、トマス総統が即断すれば解決する問題よ、彼なら出来るはず」
「よくトマスの事をご存知で、わかりました早急に連絡を取ります」
強気のアーリーに押され慌てて本国に連絡、経緯を説明すると総統閣下は即断したのか、特使の表情は穏やかになって戻ってくる。
「それで、処分してくれるのね」
「はい、そのように致すとのことです」
「特使、間違えないでくださいね、デルタリア軍は交戦の意思が無い事を伝えた上で、それでも攻撃してきたのはそちらですから」
「はぁ、総統も頭を痛めておりました。ここだけの話その艦長は有力者の息子でして・・」
「そんな馬鹿な奴の事どうでもいいわ、取り敢えずここにサインして下さらない休戦協定の覚書を結びましょう」
「いきなりでしょうか?」
「明日でも1年後でも結果は同じよ、それとこの文章を確認しなさい不戦協定に不可侵条約、友好的パートナーシップ協定、通商に関する覚書よ」
「一気に進めるのでしょうか?」
「これ覚書よ、ちまちましてたら条約締結に何年必要なのよ!」
「アーリー、向こうは戸惑っているよ、少し待ってあげたら考える時間が必要だよ」
流石に物凄い勢いで進めようとするアーリーを諌めるアーネストが止めに入るのだった・・。
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