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技術移転。

お待たせしましたデルタリア宇宙探検編に入ります。

これから先、展開が早くなる予定です。

<<デルタリア共和国、デルタ城王宮>>


「アーリー。。。このメンバーは全員造船関係者なのか」


「そうですわよ、デルタリア宇宙軍20隻の戦艦を短期間で作る為に呼んだのです」


アーノルド国王が驚くのも無理はない、アーリーが新型戦艦を突貫工事で作りたいと言い出し造船ドッグは必要ないが、作業員に激励を送って貰えないかと言われ、王宮正面の広場に出向くとそこには数千人の獣人達が所狭しと並んでいた。勿論全員ではなく主任クラス以上だけが集まっていた。


「皆聞け、我がデルタリア国王アーノルドだ、アーリー女王の援助のもと、君たちの力を借り初の艦隊を創設する事に決めた。クーンとデルタリアは強固な絆で結ばれ未来永劫同盟国として共に発展していく所存だ・・・」


挨拶が終わるとやる気に満ちた彼らから盛大な拍手が送られ、アーノルドはフッと笑みになる。


「アーリー、ありがとう」


夢にまで見た宇宙探検が現実を帯びてきて実感が湧いて来たのだろう。アーノルドは何とも言えないワクワク感、胸の空くような感覚を覚えるのだった。


ーー


「アーリー様、この場所は最高です!」


首都から数百キロ離れた山脈が見下ろす広大な草原地帯に、クーンの貨物船が無数に並んでいた。


「皆、頼んだわよ。クーン技術者の意地を見せなさい!」


「はい!全力でがんばります!」


疫病が流行りアーリーがウィルスを進化させ撃退して2か月後、デルタリアで戦艦を作ると発表。するとあの時のお礼と言わんばかりに応募者が殺到しその数は4万を超えていた。


「早速メインフレームの建設を始めます」


「今回は人手が多いから、全て同時進行で出来るかしら」


「はい、組み立てながらエンジンなど大型部品を入れつつ内装も同時進行で行う予定です」


クーンの戦艦はメインフレームを組み上げ終わると、反重力エンジンを先に載せ浮かせた状態で、中心から枝が伸びるように基本骨格を組み上げていく。そしてすぐさま雨対策で上部装甲を取り付け、その後ユニット型の船室を繋げるだけだ。


「デルタリアの資材供給が一番不安なところです」


「技術士官を連れて納期確認の頻度を上げ、無駄のないようにしてね」


「わかっております、着工から10ヶ月で浮かせてみせます!」


今回、クーン標準型戦艦は全て同じ形式なので無駄が無く、特注品を載せることも無いので作業は順調に進んでいた。そしてデルタリアの技術者を招き見学会を行った。


技官「メインフレームに手こずっているように見えますが」


プライドが高い技術者なのだろうか、いきなり上から目線で工程表と見比べ遅れていると思い指摘してきた。それは何度も同じ部品を嵌めては動かし、取り外すと職人が微調整を繰り返し中々進んでないように見えたのだろう。


工場長「メインフレームのすり合わせを疎かにすると、船体強度が下がりやすいので一番神経を使うのです」


職人たちの擦り合わせ技術は機械では出せない精度を手作業で叩き出す、そうマイクロ単位ではなくナノとかのレベルなのだ。


「ふん、戦艦なんてマイクロで十分だろ」


「はい、1万トン級ならそれなりの精度でも不具合は出ませんが20万トン級となると負荷が100倍位以上違いますので」


「なんだ、装備品が重いので曲がる時に負荷がかかるのか」


この技官、悪気はないのだが微妙に話が噛み合ってなかった。


「旋回行動する場合、同じ軌跡ですとそれだけ質量的に大きくなりますので」


「はっ?同じ軌跡?えっ?」


クーンの戦艦は1万トン級と同じ旋回行動を取ることを前提に作り上げると知らなかったのだ。


「ええ、そうです。1万トン級に合わせて行動することを視野に入れています」


「も、もしかして女王が乗る旗艦もなのか」


「勿論です。ですから旗艦に関してはベースフレームを組むだけで14ヶ月の期間が必要となりました」


「すまん!俺は盛大に勘違いしていたようだ」


その技官は素直に頭を下げ発言を訂正するのであった。たが、乗船が決まっているのだろう、司令官らしき高級将校が主砲に関して不満を漏らし始める。


「なんでこの戦艦は400ミリの主砲なんだ、武装が貧弱ではないのか」


どうもこの技官、旗艦エルフォードの主砲、650ミリと比べ見劣りしていると考えているようだった。


「初めての戦艦運用ですし、基本の400ミリに慣れた後、口径500ミリに変更したほうが良いと思われます」


「慣れだと、それを含めて訓練すれば良いのではないのか!無駄だ、無駄」


「私が思うに今回搭載のメインジェネレーター容量は400ミリに適してまして飽和砲撃後、即座に動かすことが出来ます」


「それなら最初から500ミリ用を搭載すれば良いだろ」


「あのですね、500ミリ用を載せると積載量最大になり操舵手が対応できるとは思えません。初めて20万トン級を動かすのは相当神経使いますので」


戦艦勤務上がりの工場長は知っていた、フルスペックの重い艦より軽い方が自由に動かせることを。そして積載重量最大だと操船がより難しくなる事を・・。


「そんなに神経質なのか」


「はやる気持ちは理解出来ますが、基本を習得し操舵手を増やし余裕が生まれた段階でフルスペック艦の操舵を経験させた方が逆に近道です」


早く艦隊を運営したい気持ちが先に出て基本を蔑ろになっていた様だ。工場長は遠回しに説得していた。


「そ、そうか、そうなんだな」


「戦艦の操縦には戦闘機のような身体適性検査はほぼ必要としません。適性者を60人ほど選んでクーンで訓練を重ねた方が宜しいかと」


「わかった、その件についてはそちらの全面協力がないと動かせないからな」


「はい、早めにお願いします」


そして翌週に70人の操舵手候補がクーンに向かうことになった。


ーー


クーン宇宙軍養成学校内。


訓練生「ええっと船体のX軸がこれで、艦隊の基本軸がこれで・・・」


教官「3Dレーダーで自艦の位置と艦隊全体を見ながら操船するんだ!推進力で発生した慣性は表示されている、微調整して上手く打ち消すように」


「うわぁ、下の船が、距離が・・」


「やばっ、ぶつかるぞ」


艦隊シミュレーターに乗り訓練しているのだが、3Dモニター内ではバラバラに動く戦艦が映し出され、とても艦隊と呼べる様な動きでは無かった。


Ai「危険です、回避してください」


Aiが警告を知らせた直後、ピー、と甲高い警告音がシュミレーター内に鳴り響き、3Dレーダーマップには衝突を知らせる赤く点滅する2隻が映し出された。


「ああ、僚艦の艦尾に衝突してしまった・・」


クーンに送られたのはほとんどが普通の船、そう海に浮かぶ船乗りたちだった。せめて潜水艦乗りが来ればまだ早かったのだが、基本の空間認識からの訓練となりカオスになっていた。


「はぁ〜、せめて潜水艦の操舵手が欲しいよ・・」


訓練が終わり、クラス毎に反省会を行なっていた。


「教官、スラスターを止まる方向に噴射しても何故船体が傾くのでしょうか、勿論、慣性予想線を見ながら操船しているのですが」


訓練生は大きな3Dマップで自艦の位置を確認しながら、補助のマップ上に映し出される慣性予報線を見ながら噴射角度を決めるのだが、勢いを打ち消したつもりでも中々思い通りに動かず苦戦していた。


「君たちが運用している1万トン級以下の船は反応速度が速く簡単に動かせるが、この大型艦はAiに頼らず操船することは難しいのだ。実技では身体に感じる加速度で動く先を予測して操船するのだよ」


「Aiを頼らず試験をクリアしなければならないのですね」


「そうだ、戦術コンピューターが汚染されれば自分たちの力で動かすしかない。これでも最大積載量にはなってないから楽なはずだ」


「はぁ〜、操船といっても五感に頼るのか・・」


獣人訓練生「俺たちの様に動かしたければ訓練するしか無い」


訓練生の約7割が人間、残りの3割は獣人だ。それもアーリーの勅命を受けているエリートばかりで操船なんて当然と言わんばかりの腕前だ。比較するのは可哀想だが頭一つ抜けた存在は良きライバルになり、諦め、心折れ無いよう送り込んだのだった。


「わかった、君たちに出来て俺たちに出来ないのは言い訳だな、みんな頑張るぞ!」


「おー!」


そして、何とか訓練を進め、70人中40人が第一次試験をクリアした。しかし運用予定の戦艦は20隻、とても数が足りず慢性的な操舵手不足に陥ってしまうのだった・・。


ーー


同日、実戦訓練シュミレーター室。


船長「主砲発射!次弾装填」


砲撃手「着弾、20秒後」


「次弾装填まで現状維持」


教官「だめだ、即座に次の目標に対し連携して船の向きを変えなければ」


「ですが、着弾確認が済んでません」


「その為の作戦モニターだ!そんなもん小窓で確認すればいい、それより敵弾の到達予想を考えろ」


「わ、わかりました!」


別のシュミレーターでは艦長になる為に猛烈な訓練が行われていた。素粒子砲では無く通常弾薬による砲撃訓練だ。地上とは違い実弾の飛ぶスピードは物凄く速く、のんびりしていると逃げ場が無くなってしまうのだ。


「レールガンの訓練だと着弾はもっと速いぞ、素粒子砲なら判断する時間は数秒も無い!」


実弾を使用する際、相手との距離は100キロ程度、素粒子砲なら数千キロの位置で撃ち合うのが常識だ。両者とも中々当たら無い距離だが、少しの判断ミスが勝敗を決めてしまい気が抜けないのだ。


レーダー手「敵弾突然現れました、間も無く着弾!」


「馬鹿野郎!弾頭にステルス塗料が塗ってあるって言っただろ、なぜ発射直後に予報射線を操舵手に知らせなかった!」


「す、すみません」


「これで2隻は被弾だ!」


3Dレーダーには僚船に着弾を知らせる赤い点滅が映し出されていた。


「これで恒星、衛星周りの砲撃戦だとカーブして飛んでくるのか」


「そうだ、引力射撃だ、高度な指示が無いと当たらんぞ」


「嗚呼、寝る暇なく予習復習をしなければ・・」


今回のシュミレーターは外部要因なし設定だ。急いで簡易な戦い方を習得させ、次に待っているのは応用編の特別メニューが用意されている。その訓練レシピ?カリキュラムを見て頭を抱える新米艦長だった・・。


ーー


所変わってここは機関室・・。


「こ、これがジャンプコア・・」


機関室では初公開のジャンプコア見学に機関士候補生数百人が訪れていた。シュミレーターはなく実際の戦艦に乗船しての訓練だ。


「ふむふむ、これでイオン化して燃焼させ易くするのですね」


エンジンコア、イオン変換器など一通り説明すると、技術者魂が揺さぶられたのか、どんどん知識を吸収していった。


「ジャンプコアは臨界点で発動ですね、なるほどこのコア自体が亜空間の扉を開きそのまま加速して通り抜けるのですね」


「ふむ、君たちは理解するのが速いな」


「そうですか?理論さえ理解すれば後は試すだけです」


なんと、技術士官の理解力には脱帽することになった。未知の動力源に興味を持った若い研究者達が我先にと手を挙げ、明晰な頭脳が集結したので当然と言えばそれまでだが。


「教官達に聞いたが、他の部署は出来が悪いらしく頭を抱えていたぞ」


「ははは、私たちは機関士と言うより研究者ばかりですからね」


「なるほどデルタリアの頭脳が集まったのか、納得したよ」


機関士、武器部門、調理師など専門職の連中は何も問題なく訓練は進んでいくのであった・・。


宜しければブクマ評価お願いします。

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