350年+17歳のアーリー女王様!
アーリーは素顔を晒します!
偽装している女王は意外な所を隠してなかった・・それを見て感じたアーネストは失礼がない様に淡々と話し始める。
「資料によると精霊女王に就任して20年ですか、私が想定する年齢と合いません、もしかして20歳前後ですか?」
「な!何故そう思うのよ!」
いきなり確信に触れる事を言い放ち、アーネストはアーリーの反応を見ていた。そして一瞬だが驚いた表情を見逃さず話を続けるのだった。
「その反応の早さ、声の艶、眼球の澄み切った”濁りの無い白目”の部分で判断しました、加齢による症状が一切出ていません」
「・・・・!(黙」
ジャガー「・・・!!(汗」
素顔を知るジャガーは分かっているので、アーネストを直視すること無く明後日の方向を向いていた。
「図星ですか?沈黙は肯定として受け取りますよ」
20歳前後と話した瞬間の表情を観察していたアーネストは、一瞬、ほんの一瞬、目線を外したアーリーの行動に絶対なる確信を得た。
「・・・・!!(大汗」
「アーリー女王、何かそうしないと不都合があるのですね」
「・・・・そうよ、良く分かったわね」
アーリーは一発で偽装を見抜いたアーネストに対し素直に認めるのには理由があった。それは大昔、数百年前。未来を誓い合った貴族の男性とそっくりなのだ。2ヶ月間、彼をじっくり観察し大丈夫と判断、そしてこの機会を伺っていたのだ。
「若いと舐められるから精霊の力で偽装したとか、そんなところでしょうか?お気持ちは理解します、ですので本国には報告は致しません」
「なんでよ!」
「下心満載の貴族が押し寄せてきますし、見下して変なこと考える奴もいます。私はそれを望んでもいません」
「そういう、あなたはどうなのよ」
「私ですか?別に何も、年齢や顔で人を判断しません、女王に相応しいか見極めるだけです」
「ほんと、遠慮ないわね」
「ええ、それ特技ですから」
「フンだ!」
先ほどから冷静に答えるアーネストにイラつき、プイッと横を向くアーリー。
「あら拗ねたよ、可愛い所までは偽装できませんね」
「ななな!私の事馬鹿にしてー!馬鹿にしたでしょー!」
「馬鹿にしてませんよ、可愛いと思ったからそう答えただけです」
「ッン!」
可愛いと言われ顔が真っ赤になるアーリーの恥ずかしいは、もちろん自分の気持ちの表れなのだが、実はアーネストのペースにわざと乗っかり少しずつ態度を変えていた。
「もうもうもう!アーネストー!」
アーネストにツッコミを入れられ、イヤンイヤンしているアーリーは声のトーンが上がり言葉遣いと仕草がそれ相応の女性のその可愛らしい姿に戻っていた。
ジャガー「嗚呼、普段に戻った・・(小声」
「プッ!」
「もう!笑わないでよ!」
「だって、見た目40過ぎのオバサンが若い子の演技してんだもんそりゃ笑うよ」
「ひっどーい!」
「だって・・ププ!」
「キー!」
「ごめんごめん、悪気はありませんから」
「もう!」
「もしかして女王の出身地はデルタリアですか?」
「そうよ350年前ある日突如呼ばれたの、その時から肉体的年齢は止まっているわ、就任20年目は嘘よ」
「そうでしたか、ずっとお一人ですか」
「ええそうよ、6精霊の加護を持っているから不死なのよ、この事は報告しないでよ!」
「勿論です。デルタリアの人達が精霊を信じ、選ばれた者は特別だって理解するまでは話せませんかから」
肉体年齢が止まっていると話しても冷静に受け答えするアーネストの意識に変化が無かった。アーリーは胆力があり、精霊のことも理解している彼はクーンにとって必要な、是是非で迎えたい気持ちになっていた。
「貴方の理解力も大概ね。なぜそんなに冷静なのよ」
「そうですか?ここは違う星ですからデルタリアの常識は通用しません。ただそれだけです」
「貴方気に入ったわ私の専属の”窓口”になりなさい。そしてここを拠点とし活動しなさい」
「え゛!」
専属窓口という大役を軽く決め、とんでも無いことを言い放つアーリー。ちなみに窓口と省略しているが、それは実質No2の補佐を指し、クーン国内に対してもそれなりの権限が与えられ通商折衝など重要なことを決められる立場だ。
「嫌なの?じゃ、何よ」
「そう言う訳じゃないのですが、今月末に婚活パーティーがあって出席しなきゃいけないのです、まっ合コンです」
「なにそれ、ごーこん、こんかっつ?」
「あのですね、”伴侶を探す会食”と言えばわかりますか?」
「あー、お見合いみたいなやつ」
「そうそう、それですちょうど任期が今月末ですのでそのまま帰ります」
「それで一時的にデルタリアに帰りたいと、成程わかった!(微笑」
少し難しい顔をしていたがフッと軽く笑みになる、アーネストはこの表情を”諦め”と読んだのだが。そうアーリーは、わざと笑みを送り、偽装を解くチャンスと思い”微笑”を送ったのだった。
「ふぅ〜、よかった素直に諦めてくれて・・・」
「アーネスト、それ私も参加するから!」
アーリーは自分も参加してアーネストを伴侶として迎える、分捕り作戦を頭の中で既に描いていた。
「はい!はい!貴方ここの女王様ですよね、いや、あの、流石に・・・」
「ええ、興味があるから参加するのよ、気に入った男性がいたら連れて帰るよそれでも駄目?何で駄目なのよ」
「はい、申し訳ありませんが、一応、20歳以下限定の集まりでして・・・・」
アーネストは年齢制限がある事を伝えるが段々と声が小さくなる。それは偽装の言葉と、先程の笑みが引っ掛かりとんでも無いことになる予感がしたのだった。だがそんな心配事とは無縁と言わんばかりのアーリーはこのタイミングが一番と考えていた。
「もう!アーネスト見てなさい!!ふん!これならどうよ!」
「パッ」と一瞬眩しくなるとそこには今までいた”おばさんアーリー”ではなく、綺麗な長いブロンドの髪の毛、170弱の高身長、小顔に大きくキリッとした青い瞳、高い鼻筋、シュとしたあごのライン、なんとも色気のあるヒップ、Eカップはある双丘を持つ完璧美少女がそこに立っていた。
「うわぁ〜、反則だよ〜、スッゲー美人だし」
「何がですの?」
「だってコレ、見た目18歳だよコレ」
「コレとは何ですかコレとは!!私は17歳!これが本当のアーリーよ!」
コレ、呼ばわりされプンスカ怒るアーリー。
「もしかしなくても350年と17歳のアーリー嬢ですか」
「そうよ、何か文句ある?350年は余計よ!」
「いえ、何もありません」
「それじゃ貴方の任期延長じゃ無くて、貴方を正式な窓口としてデルタリア議会に要望書を出しておくから」
「わたしに死ぬまで使えろと」
「そうよ私が気に入ったの、待遇は勿論高待遇よ!」
「・・・いや待ってよ、議会が荒れるよ」
「ふん、新米貴族を送りつける議会など、浅ましくて片腹痛いわ!」
即座に、うんも言わさずデルタリア議会に要望書を女王直筆で提出すると、承認を巡り議会は荒れに荒れた。それは強欲貴族たちが窓口と言う絶好の機会を逃したからだ。そして議会で決めた推薦人の候補者リストを送るが全拒否し突っ返すと、アーリーの素顔を知らないその者たちは機嫌を損ねることを嫌い了承したのだった。
ーー
そして1ヶ月後・・・。
「ミーシャ、こっちにおいで」
「はい、女王様すぐにまいりますニャ」
ミーシャはアーリーのお気に入りの猫族の侍女、お気に入りと言うことは配下ということだ。モフモフしたくなりそうな大きな耳を持ち、可愛らしい顔立ちなのだが、実は陸軍トップの成績優秀者でもあった。因みに普段はとても優しいが怒るとバーサーカー状態になり手がつけられない程凶暴化する。。
「いい、私が帰ってくるまであなたが代役よ教えた事は覚えているわよね、それじゃ今から魔法で私の偽装した姿に変わるわよ」
「はい!もちろんですニャ!」
シュワーン、ミーシャに偽装魔法がかけられ微調整が終わる頃、アーネストが呼ばれ部屋に入ってくる。
「アーネストです、お呼びでしょうか?」
「アーネストいいわよ、入ってきて」
そしてアーネストの目の前には偽アーリー40歳と本物アーリー17歳が立っていた。思わず吹き出しそうになるが堪え、アーネストはわざと偽アーリーに化けた”ミーシャ”の方に跪く。
「アーリー女王様、お呼びでしょか?」
「ニャ!ニャ!」
「コラ、アーネスト!」
「はて?そちらの方は?あっこれは失礼しました!350年と17歳のアーリー様」
「アーネスト殺す!」
「ニ゛ャー(大汗」
アーリーの手先が青く光り、それを見たミーシャがビビっていた。多分強力なアローが飛んでくるのだろう・・。
「はは冗談ですよ、ほんとに行くのですか?」
「もう!そうよ、身分証も新しく作ったわ、はいこれ」
渡された身分証を見ると、名はアーリー・フェアフィールド 年齢17歳、”職業女王”、住所 1-1 クーン・クーンシティとなっていた。
「なんじゃこりゃ、偽名はいいですが”職業女王”ってだめでしょ」
「ん?何かまずい?じゃ、王族に変えるか」
「そうして下さい、ですがアーリー女王、呼び名をどうしますか?流石にデルタリアで女王様とは呼べませんよ」
「ああ、呼び捨てでアーリーでいいわよ」
「やり辛いな・・・」
「何か言いまして?」
「なんでもありません、承知しましたアーリー様」
「それじゃー、その呼び方もやめてね!だって見た目は貴方の方が年上なんですもの、敬語使ったらおかしいでしょ」
「そうだね、わかったよアーリー」
「早!」
「ウヒャヒャ、面白いニャ〜」
そして数日後、パーティー前日デルタリア国際空港に到着した2人・・・。
「おー、ここがデルタリアの中心部なのね、ずいぶん変わってるわ」
空港を出てシャトルに乗りデルタリアの中心部に向かい、そして繁華街に繰り出した2人。アーリーの格好はどう見ても普通の大学生にしか見えない。薄紫のフワッとした少し短めのスカートに白のシャツとピンクのカーディガンを着ている。
「そりゃ350年も経てば変わるでしょ」
「そうだねー、あっ!!可愛いい〜洋服みっけー!」
「嗚呼、、もうどうしよう普通の女の子だし。。。」
「これ欲しい!けど金無いよ!ねぇ買って!買ってよアーネスト!」
「・・・・・」
「ねえ、ねえ、アーネスト!買って!!」
まるで宝物を見つけた子供のようにはしゃぐアーリーを見て苦笑いをしながら商品を手に取るアーネスト。
「サンキュー、後で返すからね」
「アーリー、パーティーの最後にダンスがあるんだけど、そのことも考えて服を選んでね。君が気に入った男性と最後2人で踊るんだよ」
「どんなダンス?こう?”イケイケノリノリ”のダンス?こう?」
アーリーはその場で踊り出す、なかなかのキレッキレダンスだ。マイ△ルジャ×ソン顔負けだ!体を回転させるとスカートが捲れ上がり、太ももの奥にあるピンク色が一瞬見えたアーネストは慌てて踊りを止めに入るが既に顔が赤い。。
「アーリー、アーリー!!もういいから!下着が見えてるよ」
「スケベ!アンタ見たから顔が赤くなってんのね」
「なんだと、この痴女」
「キー!痴女とはなんですか痴女とは!」
「下着を見せるの好きなの?趣味なの?あのね、ワルツってわかる」
「それは確かに恥ずいわね、ワルツねもちろんそれ位は踊れるよ」
「最後にダンスホールに移動して社交ダンスを踊るの!さあ、行くよ!」
「はーい!ねえアーネスト、お金欲しいからこれ換金できる?」
ポケットから雑にゴソゴソと何やら取り出すそれは大粒の2カラット以上のそれはブリリアンカットされたダイヤモンドだ。数にして10個以上手のひらに乗っている。税関を無視してポケットに入れっ放しでそのまま通過しアーネストに怒られる。
「あのですね、王族なので税関はスルーで今回はバレませんでしたけど、見つかると罰金が凄い事になりますからね」
「あー、あっそ、別にいいじゃん」
「女王頼むよ・・・」
「はいはい」
「ゴラァ!アーリー」
「・・・・ゆるちて」
軽い返事がアーネストの怒りを買い更に怒られたが、結局30個のダイヤをアーネストの名前で近くの宝石店で換金すると、売却税を差し引いて渡した金額がなんと5000万だった。アーリーは税は理解していたがクーンはまだ国として認められてないので肩代わりすることになった。
「ほら、これで借りたお金は返せるね〜、貴方のデルタペイに送るわ」
「そうですねー、まいどー(棒」
売却税を支払いに銀行に出向き、アーリーの電子決済も同時に作り支払いを済ませたのだった・・。
「ピッピ、デルタペイ!」
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