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閉話、疫病(上)

コロナのご時世に沿った話を書きました。

クーンではダイヤモンドを採掘する際、探査魔法を使い効率よく見つけ、比較的大きな原石を掘り出すのが得意だ。


「おーい探査頼む、掘り尽くした」


「おう・・・ゲフォ・・ゲフォ」


探査を担当する魔法士は咳が止まらず顔が赤い。


「どうした、大丈夫か!」


「ああ、魔力は大丈夫なんだが、欠乏症みたいに身体がだるい」


「無理なら今日はもういいぞ、結構出たからな」


「グフゥ・・・」


そして魔法士は静かに倒れヒューヒューと苦しそうだった・・。


「あら、倒れたぞ医務室に運ばないと」


採掘を担当する熊族の作業員は魔法士を軽々と抱き上げ、医務室につれていった。


ーー


「ウーン!」


薄暗い坑道の中にブーンと響く音、青く怪しく光る魔法陣、クレアは懸命に探査魔法を操り何かを探していた。


「どう?見つかった」


「水は平気でしたが、鉱石の類はめっちゃ難しいです!」


「あらら、見つけないと指輪に石が付か無いわよ」


「ピャー、がんばります!」


アーリーとクレアは探査魔法訓練の為にダイヤモンド鉱山に来ていた。それも掘り尽くしたと言われる廃鉱だ。


「フムフム、私には見えるけどね、そうね小さいのを含めて3カラットはいけるかな」


アーリーの超弩級探査魔法は、廃鉱と烙印を押された所でも見つけられるのだ。


「もう、反則よアーリー」


「ヒントをあげるね、あのね以外に近いわよ、けど精霊結晶が邪魔してるね」


「うわぁ、反射してイライラする奴だわ、けど頑張る!」


それから1時間ほど頑張ると、一瞬チラッと探索に引っかった!


「あった!もう、頭上じゃないの!」


下を向き頑張って探していたが、首が疲れて上を向いた時に一瞬見えたのだった。


「正解よ」


早速掘削機を入れ採掘を開始、数十分後、ヤシの実ほどの大きな塊がゴロンとクレアの目の前に置かれた。


「さて、上がって割るわよ」


「はーい、お腹すいたよ〜」


結構魔力を消費したのだろう、お腹がグゥーと鳴るクレアだった。


ーー


キーン、甲高い音を立てた超高水圧切断機が原石を切っていた。


「おお!見えて来た!」


持ち帰った塊を慎重に切り、余分な部分をレーザーで削ると鈍く光る透明なダイヤが顔をだした。


「モグモグ、大きいかしら、モグモグ」


クレアはアーネストから持たされたエネルギーバーを食べながらその様子を見ていた。


「あなた、魔力節約の方法を学んだ方が良いかも」


「そうね、アーリーみたいに底無し魔力じゃないからね」


アーリー直伝の魔法教室は魔力消費度外視だ。エネルギーバーを無心に何本も食べるクレアを見て思わず言葉が出たらしい。


「クレア様、どうぞ」


作業員があらかた原石を綺麗にして、次の工程の研磨に入る前に見せる。


「あれれ以外に小さくなりましたね」


塊から取り出された親指の先ほどの大きさの粒が3個渡され、それを少し残念そうに見詰めるクレア。


「そう?3カラット一つと1カラットが何個か取れそうよ」


「ウヒョ!(喜」


この後、研磨作業を食い入る様に見学し、その魅力の輝きがいつ手元に来るかワクワクしながら待つクレアだった。


「ブリリアンカット迄まだ時間が掛かるよクレア、お茶しよ!」


「ウフフ、そうですね待つのも楽しみですわね!」


採掘の町ブランディアはいつもの賑わいを見せていた。2人は近くのカフェに入りティータイムだ。


「おお、アーリー様いらっしゃいませ」


顔に認識阻害ベールを掛けて入店したが、アーリーが注文の際少しずらしただけでバレてしまった。


「お忍びよ、お茶2つにパイ2つお願」


「あっ、パイに生クリーム追加で!」


「畏まりました、個室にお持ちします」


「ありがとう」


まだ、お腹が空いているらしいクレアはせっせとカロリー補給だ。2人は個室に入りのんびりお茶を嗜みパイに舌鼓を打ちご満悦だ。なんの前触れも無くケネスが入って来てアーリーに耳打ちをした。


「チッ、まだ十年先だと思ったのに」


お茶し、こころ安らぎリラックスした表情から一変、厳しい顔に変わったアーリー。


「アーリーどうしたの?」


「”口減らし”が流行り始めたの、前回の失敗は2度と繰り返したくない!」


「口減らし?」


アーリーの言う口減らしとはとある伝染病の事だ。言葉の意味同様、罹患するとバタバタ死に絶え多くの方が亡くなったのでつけられた名だ。因みに正式名称はあるが長ったらしい名称なので専門家しか使わない。


「ケネス、緊急事態宣言発令!」


「御意!」


「えっ、そんなに凄いの・・」


そう、それは体力の無い老人や慢性的に疲れが残った人々を死に追いやる厄介なウィルスなのだ。健康そうでも免疫が落ちているとバタバタ死んでしまうので早急に対応が必要なのだ。


「ケネス、老人はシェルターに避難させなさい、街は封鎖、南半球には注意勧告を出しシャトルは飛行禁止、急いで!」


今回は北半球、それも同じ街ブランディアの鉱山からの報告だった。まさかそんな近くで起きるとは思っても無かった・・・。


「アーリー様、鉱山の作業員全て隔離完了しております」


「さすがケネス、今回は完全に抑えるわよ!」


「はい!」


この口減らしは200年単位で必ず流行するウィルスなのだ。前回、前女王ミシェーラから1週間ほど様子を見て慌てず処置すれば大丈夫と言われていたが、ヤバいと思ったアーリーは3日目に緊急事態制限を発令したがあっという間にクーン中に広まり数千万人亡くなってしまったのだ。


「私疲れているから罹患するのかな・・」


「人間は大丈夫よ感染しない筈、だけど用心してね不死だと言っても病気にはかかるから」


「うん・・」


魔力を結構消費し体力が下がっていたクレアは少しビビっていた。


ーー


「おい、しっかりしろ」


気を失って倒れた魔法士は医務室で意識が回復したが、ガタガタと震えが止まらず、毛布に包まって横になっていた。


「治癒魔法士はまだか!」


容態が急変したのだろう、急いで治癒専門の魔法士を呼んだようだが、中々来なかった・・。


「今、上から連絡が入ったんだが緊急事態宣言が発令されて、鉱山に入った作業員は隔離するらしいぞ」


「まさか伝染病か」


「女王が即座に指示を出したらしい、あれだよ口減らしだよ」


「と言うことはこの魔法士も患者なのか。。」


青ざめる熊族の作業員、そう彼は背負って医務室まで運んでいたのだ。


「ヤバいな、俺も病気になるかもしれない、水と食料を持って現場で待機する」


他人にうつしたくないのか自分1人で採掘現場で待機すると言い出した作業員。


「いや、この医務室自体を隔離するからじっとしてろ、病気の魔法士はカプセルに入れる」


「わかった」


作業員たちは地下深く潜っていた。今回、伝染病が発覚したのは地上にある休憩所で急患が出たのだ。


「閉鎖!閉鎖だ!」


地上の採掘場は大慌てだった。アーリーの指令が飛び5分後、ズズズと重い扉が閉められた。


「皆聞け、マスクをして喋るな!飛沫が飛ばなければ感染のリスクが下がる、熱がある奴は医務室にいけ!」


作業員達は鉄の結束を誇っていた。たまに起きる崩落事故など起きた場合協力し全力で助け出す団結力があるのだ。


「・・・(黙」


皆、黙ってマスクを付け、休憩所の椅子に座ると無言になった。


ーー


10時間後・・・。


「前回は症状が出るまで2日程よ、確避難所に食糧と水、マスクを配りなさい!」


報告が上がる前に次々と指示を出すアーリー。クレアは南半球の状況を確認していた。


「アーリー、南半球にはまだ発症者の報告は無しよ、飛んでいたシャトルは空港で足止め、今検査に入る所よ」


2人は急遽役所に作られた対策本部で各方面に指示を出していたが、医務室に患者が次々に運びこまれていたのだった。


「まずいわね、市中感染が始まったわ、この地区だけだといいんだけど」


「アーリー様、病院より薬が届き今投与しています」


ケネスも走り回って情報を収集していた。


「SNSの情報では各地で急患が多発しております」


「急いで隔離するのよ、重症患者を優先で、シェルターが足りないなら貨物船を使いなさい」


時間が命とばかりに矢継ぎ早に指示を出していたが、上がってくる報告はかんばしくなかった。


<クーンシティで集団発症確認>


<シャトルの乗客全て陽性>


「クッソ、これだけ早く対処しても駄目か!」


最初の報告から12時間が経過していたが感染のスピードは異常に早く、アーリーが取った対策を嘲笑うかの如く陽性者が増えていった。


「アーリー、軍は隔離完了、皆作業用のマスク装着して対応している」


軍で対応していたアーネストから吉報が送られてくる。


「嗚呼、良かった軍の高性能な防毒マスクが役に立ったのね」


発令した際アーネストは軍本部にいた。すぐさま宇宙服に着替えさせ全員放射能防御用高性能マスクを使わせていた。この対応で軍内部の伝染を防ぐ事ができた。


「装備が揃い次第、各地に補助要員として送る」


「アーネスト助かる、老人が避難しているシェルターとブランディア鉱山に向かわせて」


「了解!」


ーー


最初の発症者が確認されて48時間後、対策本部には大型モニターが設置され、各都市の感染状況が映し出されていた。


「駄目だ、前回よりマシだけど大勢死ぬわ」


「アーリー、症状が緩和されてないけど薬はきかないの?」


「クレア私も遊んでたわけじゃ無いのよウィルスも進化するの、前回のDNAを解析して薬は作っていた。けど型が少しでも違うと効き目が悪くなるの」


「ならワクチンは使わないの」


「作れない訳じゃないけど、どんどん変異して行くから間に合わないのよ」


「アーリー、状況は芳しくないのか」


ブランディア鉱山にアーネストが完全装備の救護班を引き連れやって来た。


「ええ、見ての通りよ。前回ほど酷くはないけど重症者の数が増えているわ」


「ふむ、根本的な解決策がないのか・・」


アーリーも手をこまねいていた訳じゃ無かった。シェルターを作り防疫訓練など定期的に行い迅速に対応しており、前回よりは感染拡大はそれなりに食い止めていた・・・。


「このまま弱毒化を待つしかないわね、前回も何回か変異して収束したから」


「と、言うことはこのウィルスは進化型なのか、それなら収束するまで待つしかないか・・」


「ふーん、ウィルスって進化するんだ知らなかったわ」


「クレアは知らなかったの意外ね」


「流石にアーリーほど病気に関してはそれほど知識はありません、今後勉強します!」


流石にそこまで知らないクレアが普通だ。アーネストとアーリーの会話を聞いて知らない事に対しての探究心なのか、恥なのかは分からないが勉強を始めると言い出した。


「ねぇアーリー、その進化する期間てどのくらい必要なの?」


「うーん、前回は2年で弱毒化して、発症者の出現率が大幅に下がったのは4年後かな」


「うひゃ〜、そ、そんなに・・それなら早く進化させればいいのでは?」


体の中で変異することを知らないクレアは突飛押しのないことを言い放つ。


「クレア、体の中で変異するんだよ、どうやって進化させるの?」


「あっ、そっか」


「うん、貴方達の魔力があれば、もしかしてだけどそれ出来るかも!」


「はい?」


アーリーが進化出来ると言い始めた。何か策があるのだろう2人をじっと見つめていた。

宜しければブクマ評価お願い!

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