激おこアーリーはテディーを懲らしめた!
運命の日がやって来ました・・・。
アーリー達が帰国した数日後。ディーン男爵の元にテディーが押しかけていた。
「ふん!最初から情報を渡せば良いんだよ」
テディーはディーンから奪うように報告書を掴み取った。
「テディー、この予報に絶対はないからな、天気予報を毎日チェックして判断してくれ」
「お前が直前に教えてくれれば良いんだよ」
「それは証券法違反になるから教えられない、くれぐれも私の情報とは言わないでくれよ。情報提供は今回限りだ」
「そのために映像に納めているんだろうが!」
テディーがもし負けた場合ディーンからの情報で損をしたとか言わせないため、しっかり言質を取る必要があったのだ。勿論秘密裏な事なので契約書を作れないのも理由の一つだった。
「返事はまだ聞いてないぞ」
「ああ約束する、負けても儲けても君から貰った情報とは言わないから」
こうしてディーンが1番信頼する情報がテディーの元に渡ってしまったのだ・・。
ーー
ディーンが情報を渡した翌週、輸出入に必要な防疫、害虫に関する規制の実務者協議を終え、法律制定の為入国したアーリー達。
「ディーンお父様、畑に雨が降らなければよいのですね」
「そ、そうだが、本当に出来るのか」
「ウフフ、今回私は条件を整えるだけですけどね」
アーリー達は首都デルタから遠く離れた広大な穀倉地帯にやってきた。それも強力な協力者としてクーンから数千匹の精霊と共に。
水の精霊「アーリー適度に雨を降らせれば良いね?」
「そう、頼めるかしらサポート役として風と土の精霊をつけるから」
「わかった!数日後には自由自在に降らせるように出来るから!」
やる気十分の精霊たちはふわりと浮かび上がり今にも飛んで行きそうだった。
「ちょっと待って先に報酬を払うわ」
アーリーの周りを取り囲む精霊達に与えるのは進化に必要な精霊結晶だ。ゴソゴソと袋から大きな鉱石を取り出し見せると皆大喜びだ。
「ひゃー、大きい!」
それは惑星フォーレストの森の奥深くにある魔獣の墓場近くのダンジョン奥深くで採取された大型結晶だ。アーリーは魔力を注ぎ共振させるとパーンと粉々になり、同時に祝福のオーラを発動し皆に分け隔てなく振りかけた。
「わーい、ありがとうアーリー!」
精霊達は嬉しそうに砕かれた結晶を両腕を広げ懸命に摂取?取り込んでいた。
「結晶って好物?美味しそうには見えんけど」
「あれはね魔獣の亡骸が土に還り、時を経て残渣がなくなって結晶化するの、精霊曰くあれを取り込むと進化が加速するらしいのよ」
「自分達では採掘できないの」
「ええ、ダンジョンの奥深いところにあるし、使う場合高位な魔法士がその場で砕く方法しかないからね」
そして報酬を貰った精霊達は思い思いの所に飛び立って行く。
「頑張る〜!」
「さて、雨が降る前に一仕事しますか!」
そう、今にも雨が降り出しそうな黒い大きな雲が辺りを暗くしていた。アーリーは両腕を広げ空間魔法を発動、ビューンと物凄い音がすると大空に透明の膜が出現、あっという間に穀物地帯に広がって行く。
「ふふふ、これで大雨が降っても畑には適量しか降らないわ」
「アーリー様、土の保水率が高いのでこれも不作の原因なのですが・・」
「まかせなさーい!、よっと!」
次にアーリーは風魔法を発動、これは土の保水率を下げる乾燥した風を起こし水分を蒸発させるのだ。
「キャー!」
ゴォーと強風が吹き荒れるとクレアのスカートがめくれ上がり、ピンク色の可愛らしい谷間があらわになった。
「もう!だからアーリーはパンツスタイルだったのね!」
「畑に行くんだからスカート選ばないでしょクレア!」
幸いディーンは目にゴミが入りクレアのアレは見なかったのが救いだったが、アーネストはフッと笑っていた。
「もう、恥ずかしいよ」
「可愛らしい谷間が見えたよクレア、いてて、もう酷いな」
プンプン怒ってバシバシ肩を叩かれたアーネストは恥ずかしがるクレアを見てまた笑ってしまった。
「ふん!」
「今回の魔法はアーリーが構築したの、痛!」
プンスカ怒るクレアを無視してアーリーに質問したらアーネストは思いっ切り脇腹をツネられていた。
「フン!」
「そうよ、気候を弄ってもいいんだけど報告書には雨が降るって明記したんでしょ」
ディーン「気候を弄れる・・・」
アーリーはテディーを破産に追い込み、且つディーンに迷惑が及ばない方法を考えたのだった。それは適量の雨が降るように空間魔法を仕込み、余分な雨水は川に流すのだ。もちろん上空高くで処理するので地上の人には見えない。雨が降ったと言う事実が欲しいのだ。そうすれば報告書に堂々と大雨のため不作と明記できるからだ。
「さて、最初の大雨はこれでいいけど、あとは精霊頼みね」
数日続く大雨はアーリーが防ぎ、その後は精霊達が雨をコントロールしつつ土の状態を適正に保てば豊作間違いなし、これで全ての準備は整った!
「ねぇアーネスト疲れちゃったよ」
魔力を結構使ったのだろう、アーリーは疲れた表情に変わっていた。
「取り敢えずご飯だね!」
「肉!肉!」
ディーンは術後のアーリーの食欲を知らなかった。ステーキ専門店に行って300gのレアで焼かれたステーキ3枚も食べる姿を見てびっくりしてた・・・。
「あー、美味しかった!」
ディーン「・・・」
アーリーの構築する魔法はイメージをしそのまま発動するので、魔力を結構消費するらしい。高位な魔法士は普通緻密に計算、極力魔力消費を抑えるのだが彼女はそれが面倒らしい。
クレア「うわぁ〜、全然参考にならないわ・・・魔法陣すら使ってないよ」
「あー、これくらいなら使わないかな。進化魔法とかはちゃんと組むよ!」
でたらめな魔力の使い方ができるアーリーは、やはり桁違いだった・・・。
ーー
そして数ヶ月後、先物取引スタートまで残り数分。専用口座を作った証券会社には大勢の参加者と共にテディーはもちろんディーンも訪れていた。アーネストとアーリーはクーン国籍なので見学席でまったり、まだ国籍を移してないクレアは取引に参加していた。
テディー「バカめ最初から情報渡せば苦労しなかったのにな!」
執事「ええ全くです、下級貴族のくせに私達に逆らうとは」
「それじゃ不作で高騰間違いなしだな、買いで始めるぞ」
「はい、指示通り保証金100億入れましたから、信用取引で5倍まで行けます」
「ふん、これで男爵から抜け出せるな」
「今年の先物取引がまもなく始まります、みなさま準備は宜しいでしょうか」
取引所内はアナウンスが流れ嫌でも緊張感が高まっていた。今回の取引は現物だけだ。理由はオンラインの場合Aiを駆使し強制的に場を操作する恐れがあるからだ。それと人間には対応できない速さで約定を繰り返し実情と合わない結果になったため禁止になったのだ。
9:00
ポーンと始まりを知らせる時報が鳴り響き、一斉に取引が始まり数秒遅れて初値24650の表示が映し出される。この数字は去年の値段を参考に開始されるのだ。
「良し!買いだ買いだ!イケー!」
テディー男爵は不作の情報を元に買いでスタートし、ひたすら買い注文を出す。
クレア「売りで行くわよ!」
クレアはアーリーから保証金を借りて50億の信用売りでスタートしていた。
アーリー「ウフフ、楽しみね!」
それでは先物取引開始のアナウンスが流れて初値24650からのスタート。刻一刻と値段が変わる。
24700
24800
「良し、順調だ!買え買え!」
24750
24600
24400
「まだだ」
24700
24650
「よしよし!買いだ、続けろ」
開始3分、ずっと買い注文を出していた為か初値近辺をウロウロしていたが突如下げに転じ始めた。
23000
21000
20100
「はっ!これはまずい売りだ売り!」
テディーは急いで売りに転じるが買いの約定が定まっておらず、売り注文に入るタイミングが少し遅れてしまった。
19800
19000
18000
17500
「早く売りだ売りだ!早く、早く!」
5分後、刻一刻と値段は下がり続け、悪いことにニュース解禁の時間を迎え、豊作と情報が無情にも流れた。
<速報です。今年の穀物育成状況は順調に進んでいます>
「ま、間に合いません、今から売りに転じます」
「何でもいいから早くしろ!」
16000
15500
14000
13500
「ああああ、どんどん下がる・・・」
豊作のニュースが流れ1分も経たないうちに5000ポイントとほど暴落、その勢いはまだまだ止まらなかった・・。
12500
11500
11000
9500
8500
8750
8800
9000
8800
8000
7500
7800
7200
7200
無常にも底値に向かってまっしぐらの先物相場・・・。
「政府買取価格と同じ金額になりましたので、これで底値は確定しました」
なんとニュースが流れ2分もしないうちに下がり切り、政府買取価格、事実上の底値確定のアナウンスが流れてしまった。
「やったー!」
後ろではクレアの喜びの声が聞こえていた。
「すっごーい信用売り5倍で売り買いしまくったからとんでも無い利益が出たよ!」
クレアは一瞬にして700億近い売り上げを手に入れたのだ。一方、テディー男爵は最初の買いが響きマイナス600億の負債を一瞬で抱える結果になった。
「終った・・終った・・破産だ・・」
悲壮感全開、青ざめたテディー男爵はその場で座り込んでしまい落胆、それを嘲笑うかの様に見学席から移動してきたアーリーが腰に手を当て目の前に立つ。
「ごきげんようテディー男爵、あらその様子ですと先物で損でもしたのかしら?」
「お前はアーリー女王・・ま、まさか、お前が何か仕組んだのか?」
「失礼な、わたくしは何もしていませんわよ、クレアの様子を見に来ただけです」
見上げるテディーは勝ち誇ったようなアーリーの見下すような態度を見て急に不機嫌になり睨むが、”あら〜クーン国籍では参加できないのよ”と嫌味全開で言い返された。
「くっ!なん、だと」
「だって、締め切りはずっと前ですし、クレアが興味があるからやってみたいと言ったのでちょっと貸したのよ、ふふふ」
「絶対お前が何かやったんだろ」
「はて、輸出入に関する会議に訪れ数日滞在しましたが、その間に何ができるのでしょうかね?」
「・・・・・」
テディーは確かにアーリー来日のニュースは知っていたが言われたままだった。悔しいのか苦虫を噛み潰した表情は更に苦いものへと変わっていた。
「それではごきげんよう」
「・・・・」
アーリーの微笑みながら去る姿を見て頭に来たテディは、アーネストの父親ディーンの所に押しかけた。
「貴様、嘘の情報を渡しやがって!」
「残念ですテディ、そもそも参考までにと申しました」
「ウググ、損する事が分かっていたんだろ!」
「いえまさか同じ情報です、参加していたら私も損してました」
「何故だ、何故貴様は参加しなかった!」
顔真っ赤に詰め寄るテディー、先物は自分の判断、責任が基本なのだがどうしても責任転嫁したいらしい。
「貴方に情報を渡す際、私の名前を言わないようにと申しましたが、数日後数件の問い合わせが来て情報をくれと言われました、ですので参加を見送ったのです」
テディーは仲間の貴族に今回は勝つと豪語、もちろん直接名前は言わなかったが”下級貴族の情報”と言い放ちディーン男爵が発信源だと気がついたのだ。
「な、名前は出してないぞ」
「この様な問い合わせは初めてですので、名前を出さなくとも私から情報を貰ったことが知れ渡った様ですね」
「うぐぐ」
「それでは失礼します」
自分の行いがブーメランの様に突き刺さったテディーは、参加しなかったディーンをこれ以上責める理由が見つからなかった。そして静かに去る彼の姿を見つめるしかなかった・・。
執事「それでは旦那様、私は今日を境に執事を辞めさせてもらいます」
「な、なんだと、裏切るのか」
いきなり執事からも見放されるテディーは愕然としていた。
「いえ今日は月初め、月末の給料は出ない事は確定なのでこれにて失礼します」
「・・・・・・」
この後、テディー男爵家は多額の借金を返すために屋敷も、シャトルも、爵位も売れる物は全て売り払った。執事、侍女、使用人、料理人はもちろん解雇。それでも300億程の負債が残っていた。そして裁判所に出頭したテディーは破産宣告を受け完全に平民と同じになったのだ。
「儲けすぎましたねアーリー」
「じゃ、お返しすれば」
クレアは取引手数料を支払い、孤児院に50億ほど寄付し高額納税を回避、アーネスト家に100億、自分の家に200億、アーリーに元金を戻し150億ほど手元に残った。これで当分お金には困らないのであった・・・。
「うふふ、これでテディー家はおしまいね」
「アーリーを怒らすと怖いよ・・」
「そう?馬鹿を処分しただけよ」
本気で怒ったアーリーはやはり凄かったのであった・・・。
宜しければブクマ評価お願いします。




