促すアーリー。
アシルを脅すアーリー。
翌朝、ガヤガヤガヤと側室の噂話で持ちきりのフォーレストの議場。
議長「只今より族長会議を始めます。本日の議題はクーン精霊王国との友好関係のために選ばれたフォーレスト代表者の行方についてと、来年上期予算に関しての討論となります」
族長A「またそれか、まだ見つかっていないのか」
族長B「他に現れないのか」
毎回、議題に上がるのだろうか周りからは不満が囁かれていた。
アシル「・・・」
アシルはその危機をじっと我慢して乗り切ろうとしていた。
議長「静粛に!本日、アーリー女王様がこの会議の視察に参りました。どうぞお入り下さい」
族長A「ええ!」
族長C「女王が来ていたのか」
議場の2階席の貴賓席にアーリーとアーネストが現れ、バチバチバチと大きな拍手が議場に鳴り響き2人は軽く一礼をする。
アーリー「皆様お久しぶりになります、本日はわたしの夫であるアーネスト国王と共にここフォーレストに挨拶に訪れました」
シーンと静まる議会。皆、真剣にアーリーの話に耳を傾ける。
「アーネスト国王陛下、挨拶をお願いします」
「ここにお集まりの皆様、私はアーリーに認められクーン精霊王国の国王になりましたアーネストと申します。今後とも友好関係を保ち、末長くお付き合いの程をお願いします。私はデルタリア下級貴族の・・・」
挨拶が終わると皆一斉に立ち拍手を送るとアーリーが追加の挨拶を行う。
「皆様、数百年の時を経てようやくクーン王が誕生しました。今まで以上にお付き合いの程をよろしくお願いします。しかしフォーレストの代表探しが難航しているとお聞きしました。誰とは申しませんがこの会場で不安の色が隠せない方がいらっしゃるようです」
「グッ」
その言葉に緊張したのかアシルの手が硬く握られた。
族長C「ええ」
族長D「やはり」
アーリーは大勢の族長の中に不安に駆られたオーラを感じるアシルを発見したので敢えて名指しは避けた。
「あえて指名はしませんが、不安でしたら一度私たちとお話しする事をお勧めします」
「仕方ないよな、だがこの中で成人した女性ってそんなに多くないぞ」
「確かに、フォーレストの代表になれるのはその中からさらに選ばれた女性だぞ」
アシル「・・・」
周りの声がアシルに突き刺さりドンドン顔色が悪くなる。
「私からは以上です、会議を進めてください」
話が終わった瞬間、噂話が駆け巡り議長がそれを否し、会議をはじめた。
「静粛に、静粛に!、アーリー様ありがとうございました。それでは議事を進めます。候補者について情報をお持ちの方挙手にてお知らせください」
アシル「・・・」
この議題は流れがいつもこんな感じなんだろう。シンと静まり誰1人挙手を挙げない。
「議長!」
「はい、アーリー様」
「私の探査魔法で探したところ、どうやらその女性は北半球に存在してるようです」
まさかの居場所に関しての情報が流れるとガヤガヤガヤと会場が色めき合う。
「静粛に!、アーリー様その情報は本当でしょうか」
「ええ、もう少し強力に探査魔法を発動すれば、地方名くらいは簡単にわかります」
因みに魔法上位者のアーリーは魔道士の頂点だ。強力な魔法を駆使すれば問題なくアデールが匿われている大まかな場所など簡単に特定で来る。
「促すために敢えて公表しないのでしょうか」
「そうです、分かっているのでしたらご自身で判断するか必死に探してください、それではわたくしは失礼します懇親会が楽しみですわ」
それだけ話すとアーリーは貴賓席を離れ控室でお茶をしていた。
「アーリー、居場所はわかってるの?」
「ええ、バルカン地方よ、黒ちゃんから北半球って聞いたから探査魔法を絞って使ったら見つかったわよ」
「精霊には得手不得手があるんだね〜」
「彼、直感で動くから聞いてもわからないし、そもそも精霊を束ねるのが彼の仕事よ、けど名前くらい聞いて欲しいけどね」
アーリーはちょっと不機嫌だった。流石に、いた、綺麗、偉い所の娘さんとか直接ヒントになるような事は言わないというか興味が無いことに腹が立っていた。
「懇親会でその地方の族長とコンタクトを取るの?」
「うんにゃ、席に座ってお酒を飲むだけよ」
「さすが酒豪!」
「相手が納得しないと禍根を残すことになるし、エルフは時間軸が違うから待つしかないわ」
「俺はいきなり増え過ぎても大変だからね」
「今夜こそ3人で楽しみましょうね!アーネスト」
「わ、私の拒否権は・・」
「今回は全くありません!(キッパリ」
クレアに拒否権が無いのは飲み口の良いエルフの酒をグイグイ飲んで酩酊しまったのだ。結局アーリーに介抱され着替えからシャワーまでお世話になったのだ。
「あの〜、三人ですか・・」
「そうよ!楽しもうねクレア!」
今晩は間違いなくアーリーの攻めに耐えるしか解決策が無いクレア、既に弱い所?は攻略済みの女王に対しては白旗を上げるしかなかった・・・。
「アーリー、彼女が嫌がるなら止めてね」
「うん分かってるよ、けど興味もあるよね!」
「わわ、思考を読まないでください!」
アーリーの大胆で開放的な所が羨ましくて嫌いじゃない、けどアーネストとラブラブしたいけど、あの日の快感も忘れられないクレアは色々と思考を巡らせていた・・。
「うふふ、変な拘りは捨てて楽しみましょ!」
「そ、そうですわね・・・(恥」
「私は貴方の事が好きよ!」
「ピャー」
大胆告白?レズ?スケベ?クレアの思考は、ハムスターが回る廻し車の様に思考がぐるぐると回想していた・・。
エルシー「失礼します」
お茶をしているとエルシーが頃合いを見てアーリー達の所に様子を伺いに訪れた。
「エルシー、来月あたりにデルタリアの使節団が来るわよ、一応私が書いた紹介状を持ってくるから」
「盛大におもてなしした方が宜しいですか?それとアーリー様は同行しますか?」
「あー、適当でいいわ、相手は初めて訪れるから緊張して楽しめない筈よ、彼らに任せる。私は平和条約を結んだ後でいい」
もう既に親書を携えるとか手の内をバラすアーリーは、めんどくさい事に関しては適当だった。緊張してコンタクトを取るデルタリア軍は気の毒だ・・。
「畏まりました」
アーリーは使節団が条約を結んだあとジャンプ技術を提供すると述べ、そしてクーンの戦艦を更新し星団外に探査に向かうと考えていた。
「ええ、星団外ですか?」
「トレミー星団が近いからそこに行くと思うよ、クーン探査隊の報告だと同じくらい進んだ文明があるみたいよ」
「たしかトレミー星団は人が住める惑星が何個かありますね、夢が広がりますね」
アーリーはクーン探査隊を使い事前に情報収集をしていた。それは相手が侵略して来た時に対処できるようにするためだ。
「私はカラミティ星団だけで精一杯よ!」
「ふふ、そうですわね。それとアーリー様、適正者は1人だけですか」
「黒の精霊の話だと1人よ、その適性者はバルカン地方のどこかに囲われているわ」
「その節はありがとうございます。ですが、このまま放置は良くないと思いますけど」
「これ以上深入りはしないわ。今回、結構脅したから数年経って追っ手を出せばいいじゃない」
「ご配慮ありがとうございます」
アーリーが配慮した理由は強制的に連れ出すと遺恨を残し統治するエルシーが大変になるのだ、だから時間をかけ徐々に包囲網を狭めお互い納得する形を取るのだった。
「数年は必要かしらね、まっ、気長に待つわよ」
「はい、そう思います、本当にそうしていただけると助かります」
エルシーとの話も終わり、少し経つと懇親会が始まったが、いきなり酒を飲み出すアーリーがそこにいた。
「ゴキュゴキュ、ぷっはー」
「だ、大丈夫ですかアーリー、昼間っからそんなに飲んで」
「クレア大丈夫よ、ちょっと喉を潤すくらいしか飲まないわよ」
「ちょっとの量が違う様な気がします・・」
のんびり飲みながら時折くる族長や有力者と挨拶し、時折席に座ったまま話すなど和やかに過ごしていた。そして1時間後・・。
「ほんとアーリー、宣言通り動かないね、バルカン地方の族長は来ないのかな」
「挨拶に来ていないのはバルカン地方とダジュール地方の族長だけね。アーネストに挨拶しないと不敬に当たるから、最後は来るわよ」
「不敬ね、やっぱ俺の地位って凄いんだ実感が沸かないよ」
「そうよ、今更知ったの?」
「アーネスト国王陛下、お初にお目にかかります。バルカン地方を束ねる族長アシルでございます」
噂をしていると早速アシルが現れるが、表情が暗いと言うか緊張していた。早速意識を読み取ろうとしたが、案の定強力な遮断魔法で読ませないようにしていた。
「よろしくお願いします、アシルさん」
「アーネスト陛下、さん付けは不要です」
「わかりました。アシル宜しく」
「貴方がバルカン地方の族長なのね、宜しくアーリーよ」
「以前、遠目で拝見したことがありますが、直接の挨拶は初めてになりますアーリー女王様」
「ええ、内政干渉をしないのが約束ですので今まで疎遠でしたね。ですがクーン王が誕生しましたので関わりが物凄く増えるかもしれませんね!アシル!」
アーリーはわざと遠回しにアシルに対しプレッシャーを与える。
「その際は何卒宜しくお願いします」
「わたくし古の約束を守り、フォーレストの中心部以外は訪れたことがないのです。暇な時にバルカン地方を案内してくれますか」
「ええ勿論です、喜んで歓迎いたします」
「広大な領地を持つバルカン地方には是非一度訪れたいので楽しみですわ、ふふふ」
不敵な笑みをアシルに送るアーリー。
アシル「・・・(バレているのか・・」
アーリー「・・・(ふふ見えるわよ貴方のその不安のオーラが」
アーリーの前でどんなに強固な魔法障壁を張ろうが無意味だった・・。
「それでは失礼しますアーリー様」
「まぁそう言わずに貴方、1杯くらい付き合いなさいよ」
「いえいえ、恐れ多い」
「はいどうぞ」
全く話を聞かないアーリーはコップを差し出しコポコポとトロリとしたあの液体をコップに注ぐアーリー。
アシル「。。。(汗」
アーネスト「あらら、それって強い酒じゃないの」
アーリー「そう?はい乾杯!お近づきの印よアシル」
アシルは酒に弱いのか、軽く一口飲んだだけだったがアーリーは勿論コクコクと全て飲み干す。
「あ゛ー、全部飲み干したよ」
「・・・ないわ〜」
「ぷっは〜、うまい!あらアシル、遠慮しないで飲めばいいのに」
「いえ、流石に女王の前では酔えませんので」
「ふーん、お堅いわね」
「アーリー様は何用でフォーレストに来たのでしょうか」
「決まってるよ、エルシーの近況報告とアーネストの側室を探してみんなで楽しく過ごすためよ」
「た、楽しくですか・・」
「そりゃだって不死なんだもん、昼も夜もみんないっぱい愛し合うのよ〜、仲が良くないと前女王みたいに塞ぎ込んじゃうでしょ」
「それは、ふ、不埒すぎませんか」
噂に聞く前女王、特に王に関しての酷い話は流石にフォーレストの族長の所には届いていた。
「そう?楽しく過ごさないと、これから先何百年も生きていけないし」
「アーリー、省略しすぎ!」
「もう、わたし1人で大変だったから、皆んなで手分けして楽しく仕事して、夜も一緒に楽しむの!」
「そ、そうですよね、ですが皆とですか・・・」
「前女王は真面目すぎたのよ、私がちゃんとケアをするから大丈夫よ、あなた知ってるでしょ私の年齢と能力くらい」
アーリーの方が100歳ほど年上、魔法は星団最強、おまけに不死だ。
「はぁ、まぁそうですね・・」
アシルはこの時アーネストと接して嫌悪感は抱かなかったが、そもそも人間の元に自分の娘を嫁がせる事自体を嫌がっていたので表情は暗いままだった。
「アシル何か不安な事でもあるの、表情が暗いですわよ」
「歳を取ると色々考えることが多くなりまして」
「悩んで解決出来ない事は諦めるしか無いわよ、いつでも相談に乗るわよ」
フッとアーリーは微笑し流し目を送ると、アシルは自分の悩みを見透かされたと思ったのか、ギュっと手を握り締め表情が固くなった。
「ありがとうございますアーリー様、解決出来ない時は知恵を拝借したいと思います」
そう言うと席を立ち軽く頭を下げ離れていくが、アシルの頭の中は不安でいっぱいだった。
「。。。(嗚呼、駄目だバレているいつまで隠し通せるか・・」
祝賀会が終わりホテルに戻ったアーリー達は宴会を始めていた。族長の挨拶に追われ殆ど食べ物を口にしてないからだ。
「ねえアーリー、結構脅してたよね」
「そうね、あのくらいしないと駄目なのよ、数年は待つけど動かなきゃこっちから挨拶に行こうかしら」
「時期に関しては任せるよ、所で前女王の事なんだけど」
「貴方知らないでしょ教えてあげるわ」
そしてアーリーは説明を始めたが内容は壮絶だった。前女王は子供を産み育て、90年後寿命で先に冥府に旅立ちそれ以来、夜の営みを極端に嫌い全てを側室に押し付け政務に邁進。王は側室達と楽しんでいたが・・・。
「史実だとミシェーラが側室達の望みで冥府に送ったと記されていたが」
「そう、望みじゃなくて強制的に送ったの、女王がいくらケアしてもダメだったらしいの」
「ケアしてもダメなの、それでそうしたの」
「ダメっていうか嗜好って変えられないんだよね。秘密裏に残虐行為を繰り返し行って、それがバレて女王が全て灰にしたわ」
「ええ、王は止めなかったの」
「だって王が自ら行って側室達もそれに加担したのよ、狂気の世界は伝染するのよ」
「俺大丈夫かな?それでその内容は壮絶だったと」
「酷すぎるから省略するね」
アーリーはミシェーラから聞いた話をアーネストに話し始めた。初めは側室達と仲良く営んでいたが、途中、侍女達を加えて乱行三昧を繰り返し、気が付けば奴隷を買ってきて残虐行為に及んでいたらしい。
「すごく省略してるけど、想像を絶する行為が行われたと」
「そうね、ひどいの一言じゃ済まないわね、まぁ、女王がちゃんとフォローしとけば防げたのにね」
「うん、君なら大丈夫、けどエルフの側室は時間が必要だね」
「そうね、素直に出してくれれば良いんだけどね」
結局、エルフ族と時間軸を合わせる為、アデールが姿を現すのはまだ数年先となるのだった・・・。
良ければブクマとか評価とかお願い申す。




