困ったちゃんの黒の精霊とアデールの行方。
可憐なアデールの続きです!
クレア「ねぇ、アーリーそのフォーレストの代表ってどうやって分かるの」
アーリー「黒の精霊が見つけても大体の場所しかわからないから後はあっちに任すの、聞いても適当な答えしか返ってこないし」
アーネスト「何故、今までウィル男爵の子孫はさがさなかったのアーリー」
「うん、存在するのは知ってたよ、だから何回かデルタに入って探したけどだ若過ぎたり、結婚してたり駄目だったの」
「そうなんだ、それで300年近く待ったの」
「そうよ不死だし、クーンの統治でチョ〜忙しかったからね、あっという間だったよ」
アーリーはウィルと別れた後、デルタに数度探しに来たらしい。他の男を選ばなかったのは森の管理を精霊に任せたのと約束を守ろうと決意したからだ。
「ねぇアーリー、私に適性がなかったらどうしたの」
「ん?側室(仲間)増えて良いじゃん」
「・・・・(汗!」
即答するアーリーにこれ以上聞いても無駄だと悟りクレアは少し引き気味だ。
「アーリー、そのエルフって見つかっていないんだよね、別に急がなくても良いんでしょ」
「うーん、探している筈なんだけどね連絡来ないのよ、黒の精霊何も言わなかった?」
「その手の話は何もしなかったよ」
「もう、黒ちゃんは相変わらずなんだから!」
「アーリー呼んだか」
呼ばれたと勘違いしたらしく、いきなり現れる黒の精霊。
アーネスト「うぁ!いきなり現れたよ」
「悪いか」
「いやそうじゃ無くて空気読めよ」
「空気は透明だぞ、どうやって読むのだ?君には見えるのか」
アーリー「相変わらずだね!」
アーネスト「あかん!」
クレア「ないわ〜」
黒の精霊「ふん!」
全拒否され流石にご立腹の男の子・・。
「それでエルフは見つかったの?」
「ああ、美人だぞ」
「いやそこじゃ無くて、居場所だよ!場所!」
「わからん」
「なんでよ」
「見つけた、行った、話した、問題ない」
「ほんと困ったちゃんね!!」
アーネストに困ったちゃん扱いされ、流石に黒の精霊は出来る限り丁寧に説明をしたが、森で見つけたとか、美人だとか、良家の娘で感じが良いとか、運動神経は抜群だとかいまいち要点が掴めなかった。そして数ヶ月前から突然気配が消えたと言う。
「今度来たときは居場所を頼むわよ」
「わかった」
そして黒の精霊はフッと黒い霧となって消えていく。
「黒ちゃん相変わらず感情薄いわね、けど性格は悪くはないよ」
「ああ、ぶっきらぼうだけど、まぁ正直だし」
「あのね適正を試すときはもう少しましらしいよ。いやほら、相手に伝わらないから頑張るんだって」
「はっ?さっきでしょ」
「待つしかないね〜、取り敢えずエルシーに聞いてみるか」
「エルシーって?もしかして女王?」
「そうよフォーレストの代表だよ」
聞くと言って連絡を入れたが、結局、今から現地のフォーレストに行く事が決まった・・。
「嗚呼、面倒だわ今から行くから!」
クレア「す、凄い行動力・・・」
「エヘ!、おーいジャガー!フォーレストに行くよ〜」
「はい、承知しました」
「スゲェ、驚かないジャガーも大概だね」
「いえ、この程度は普通ですから・・・失礼します」
アーリーの思いつき行動は普通なのだろう、淡々と各所に連絡を入れ始めるジャガーだった。
ーー
乗組員「アーリー女王はいりまーす」
アーリー「今からフォーレストに向かって」
艦長「御意」
ジャガーは慌てる事無く準備を進め10分も経たずにシャトルは出発、戦艦エルフォードに乗船。艦橋に入るなり目的地はフォーレストと言い放つと、即座に戦艦エルフォードは発進していった・・・。
「エルフに会うのは初めてだから緊張するよアーリー」
「アーネストでも緊張するんだね、けど”デン”と構えた方がいいよ王なんだからさ、まぁ私が仕切るから大丈夫よ」
「お任せします」
「どんとこい!」
そして数十分ほどで到着、シャトルに乗り換えエルシーの待つホテルの駐機場に着陸、ジャガー達数人の護衛が先に飛び降り、周辺確認が終わるとアーリーが颯爽と降りて来る。
「アーリー様、問題ありません。そのままお降りください」
「ありがとうジャガー」
タラップ下には女王らしき格好をした長身のエルフが待ち構えていたが、既に頭を下げていた。
「やっ、エルシー久しぶり!わるいね夕方にいきなり」
「ようこそお越しくださいました。我らの支配者アーリー様、何も問題ありません」
エルシーは嫌な顔一つせず、心よりアーリー来日を喜んでいるようだ。それだけ絶大な影響力を持っているのだろう。
「今日は王と側室連れて来たからね」
「はい、存じております。お部屋をご用意していますので其方に移動しましょう」
2人を先導にホテルに入っていき最上階の部屋に案内され、アーネストとクレアが挨拶をするが、終始エルシーは腰が低いままだった。
「アーネスト陛下、私に遠慮は不要ですので言いたい事は何でも仰ってください」
「僕は偉そうな態度は出来ないし、無理難題は言わないからこちらこそよろしくお願いします」
「アーリー様、素敵な旦那様ですわね」
「でっしょー」
「お初にお目にかかりますクレア様」
「初めまして側室のクレアです。エルシー様こちらこそよろしくお願いします」
「アーリー様と違って慎ましいお二人ですね」
「もうエルシー、硬っ苦しい挨拶はもういいでしょ!」
「そうですね、ふふふ」
笑みを浮かべながら、パンパンとエルシーが柏手を打つと侍女達が大勢入室しテキパキと宴の準備が進められた。
「本日は此方でご用意しました、準備が済むまであちらで寛ぎましょう」
エルシーに案内され違う部屋に入ると、そこには飲み物などが既に準備してあった。そして早速飲み会を始める・・。
「それじゃ、新しい仲間とエルシーに、乾杯!」
「乾杯!」
「ごきゅごきゅ、ぷっはー、クー!やっぱエルフが作るこの酒は最高!」
アーリーはエルフが作るシュワシュワとしたルビー色の酒が好きなのか一気に飲み干す。
「アーリーこれは?シュワシュワして色んな味がするけど」
「それはね、ここで獲れる果実を色々入れて発酵させて作ったお酒なの」
「私のはトロッとしてますよ、甘酸っぱくておいしいです」
「それね、意外に度数が高いんだけどおいしいんだよね〜、大丈夫よガンガン飲まなきゃ」
「わわ、そんなにお酒強くないですよ」
「基準が違うからな、程々にねクレア」
「アーリー様、明日、緊急会合がありまして全ての族長が集まります。ご挨拶をお願いしたいのですが、議題はフォーレスト代表の選ばれし女性の事です」
「あら、頑張って探してくれてるの?」
「はい、以前は判明してもクーン王が不在でしたので側室として娶られることがなかったのですが、今回アーネスト王が誕生し急いで探しております」
「それで、適性者はどこに隠れてるの、数百年ぶりの事だから気持ちよく送り出せないのかしら」
「そ、それが探査魔法に引っかからないよう魔法障壁を展開しているようで・・申し訳ありません」
エルシーは困った顔をしていた。そう探査魔法に適性者が引っ掛からないのだ。もちろんそれはアシルが秘密裏に匿っているのが原因だ。
「黒の精霊は会ったらしいんだけど、多分何処かの族長の娘よ」
アーリーは黒の精霊が北半球の何処かの森で見つけ適性を試したところ合格したが、その日を境に居場所がわからないと説明した。
「そうですか、族長となると手厚く育てていたのでしょう、紋様を見て隠したのではないのでしょうか」
適性者は身分を問わず能力が高く、精霊が認めし成人したての若き女性に紋様が現れるのがカラミティ星団では普通なのだ。
「それは困ったわね・・・」
ーー
アーリーが訪れる数日前、バルカン地方のとある別荘では・・・。
「ウギギ・・はぁ〜、開かないわ・・」
「アデール、何をやっとる」
一生懸命窓を開けようと試みるアデールの元にアシルが様子を見にやってきた。
「お父様、私を幽閉してもう何ヶ月経っていると思っているのですか、なぜこのような事をするのです、理由を教えてください」
「おいランゲ、姿見鏡を二つ持ってこい」
「はい、旦那様」
「えっ?何を始めるのですか?」
「まぁ、待ってなさい」
程なくすると姿見鏡を運んでくる侍女達。
「旦那様お持ちしました」
「アデール、悪いがお前の背中を見せてくれぬか」
「・・・・」
年頃の女の子は流石に背中と言えども父親に見せたく無いのか、ものすごく困った顔をしていた・・。
「俺がお前を隠す理由を教える、肩甲骨のあたりが見えれば十分だ。」
「・・・はい」
見せないと理由がわからないことを理解したアデールは、衝立の裏側に回りシャツを脱ぎ、侍女が用意してくれたタオルで胸を隠しアシルの元に戻っていく。
「それではアデール、鏡の前に立ってもらえるかな」
「はい・・・恥ずい」
背中が丸見えのアデールはとても恥ずかしそうに鏡の前に立つ。
「自分の背中が見えるかアデール」
「はい」
合わせ鏡には白い肌を曝け出し、いつもと変わらぬ綺麗な立ち姿だった。
「ランゲ、少しだけ窓を開けてくれないか」
「親方様、位置が特定されるかも知れません」
「少しだけでなら特定されんから大丈夫だ」
「はっ」
ググ、力任せに窓を少しだけ開くと、ほんの少し外の光が差し込んでくる、ちょうど昼前なのだろう真上から照らされていた。そしてホワ〜ン、アデールの背中、肩甲骨の上辺りにクーン特有の黒い紋様が浮かび上がってくる。それは6種類の紋様が一つに集まった形をしていた。
「お、お父様これは・・・」
自分の体に紋様が現れ、驚くアデールは信じられない表情を浮かべていた。
「見えたか、もう窓を閉めてくれ、さぁ、服を着てくれないか」
窓を閉めると今まで出ていた紋様がスッと消え綺麗な肌に戻った。服を着たアデールは静かに椅子に座るとアシルが語り始める。
「さっき見た紋様は精霊に選ばれフォーレストの代表としてクーン精霊王国に仕える者に現れる印なのだ」
「私がですかお父様、まさか、その候補者に選ばれたら私は側室として・・」
「そう、クーン王の側室として仕えるのが慣わしだ、族長会議では毎回その候補者探しの話で持ちきりなのだ」
数百年も前からアーリーが王を決めなかったので紋様が現れても報告する事はなく、逆にそれが好奇の目で見られる事があり、以来成人を迎えたクーンの女性は適齢期が過ぎるまで背中を晒してはならないと暗黙の了解となっていた。
「お父様、適齢期を過ぎれば候補者に選ばれないのでしょうか」
「そうだ、人間で言う20歳を超えると候補者から外れる」
「もしかして、それまで隠れ住まなければならないのでしょうか、私は成人したばかりです当分このままなの・・」
自然が、森が大好きな彼女が日の当たらない部屋で何十年暮らすと考えるだけで悲しくなるのか、今にも泣きそうにな、悲壮感に埋め尽くされ不安な表情を見せている。
「万が一、見つかればお前を差し出さなければならないのだ」
「クーンの王様・・」
「そうだ、何処の馬の骨かわからん奴に差し出すなんて俺には出来ない」
娘を愛し目に入れても痛くないほど可愛がっているアシルはとんでも無い判断をしてしまう。
「お父様、見つかってしまったらどうするおつもりでしょうか」
「だから、強固な魔法防御を張っておるのだ」
この別荘には幾重にも魔法陣が施されており、そう安安と探査魔法に引っかからない様になっていた。
「あと何年ここに閉じ込めるおつもりなのでしょうか」
人間より3〜4倍ほど寿命が長いエルフ族の場合、最低でも25年は隠れ住む事になるのだ。
「そ、そんな・・・25年も」
「頼むアデール分かってくれないか、お前の幸せの為なんだ」
「私の幸せ。。けど・・」
優しいアデールは必死に頼む父親の姿を見ると”いいえ”の言葉が出なかったが、自分の身に起きた事を考えるとその責務を果たさないといけないのではと一方で考えていた・・。
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