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可憐なアデール。

この回でアデール登場します。

アーリーがアーネストと出会う十数年前のお話。


>>>


フォーレストに出来たばかりの高級ホテル「フォーチュン」の宴会場を貸し切って誕生祭が行われている。壇上には純白のドレスを身に纏い、薄緑色の長い髪と特徴的な尖った耳をした1人の女の子が座っている。その会場では200名程の招待者達で賑わっていた。


客人「アデール、お誕生日おめでとう!」


「ありがとうございます」


「おめでとうアデール」


「あっ、ルーシーありがとう」


招待客は一人一人、雛壇に座るアデールに挨拶をしていた。


「アデールお姉さま、誕生日おめでとうございます」


「カティーナありがとう」


「ほんとお姉さまは羨ましいです、凄くお綺麗ですわ」


「カティーナ、貴方も凄く綺麗よ」


カティーナは5歳違いのアデールの妹だ。姉同様可愛い顔立ちだがおっとりしている姉と違い少しキリリとしている活発そうな女の子だ。


「ふふ、ありがとうございますお姉様」


ブリタ「ほほ、今日はおめかししたんじゃな、あんた頭の中が嬉しさが詰まっとるよ」


「うふふそうよ、ブリタも祝ってね!」


「もちろんじゃよ」


犬族のブリタはアデールの幼馴染で親友、彼女は高位なテイマーの素質がある魔法士だ。本人は魔道士まで上り詰めたいと日頃から話していた。


「おお、今日で40歳(人間換算15歳前後)かアデール。ますます可愛くなってきたな」


「アシルお父様、このような盛大なお誕生祭、誠にありがとうございます」


「何を言う、5年に一度の誕生祭だ。それを盛大に祝って何が悪い」


父親のアシルはバルカン地方を束ねる代表者、いわゆる族長だ。長大な領地はフォーレストの中でも1位2位を争うほどで、絶大な権利を持っている。


「あなた、アデールを可愛がりすぎですわよ」


「君と俺の自慢の娘を祝って何が悪い、なあランゲ」


「はい、勿論でございますお館様」


アデールの専属護衛のランゲは狼族だ。額と左目には切り傷があり勇ましい風格が滲み出ている。


「最近はどうだ、変な虫が寄ってくるだろ」


「ハッ!アデールお嬢様は下校の際、男子に必ず声を掛けられ警備も大変でございます」


「そんなにか!」


アシルはアデールを溺愛していた。警備が大変と聞くや否や送り迎え用のシャトルを準備しろといいだす。学校の規則で駄目なのだがそこは実力者、早速学校関係者を呼び出し許可を迫り、言い返せないのか即座に了解を得た。


「あー、娘の安全の為に送り迎えはシャトルを使うからな」


「わ、分かりました。。アシル様」


「お父様、私は構いませんのよ、男子とお話し出来るのは移動中の僅かな時間だけなのですよ」


「何、学校内で男子と喋っているのか、駄目だ、駄目だ、まだ早い」


アデールの通っている学校は男女共学とは言え、要人の子供には必ず警備が付き纏う。お話しできるチャンスは移動中すれ違うほんの僅かしかないのだ。


「嫌ですわお父様何もありませんのよ、もう40なのですからお茶くらいお付き合いしないと、男子の考えを理解出来なくなってしまいます」


日常と言うか当たり前のことを話すアデールだが、アシルの表情は怪訝だった・・。


「うぐぐ、お茶に付き合うだと・・」


「もう、族長の娘に悪戯する人なんていませんのよ」


「それはそうなのだが」


「あなた、過保護がすぎますわよ」


「ミレア、もしアデールに何かあってからじゃ遅いんだよ」


妻のミレアはアデールに良く似た美人さんだ。髪の毛の色が若干薄いがよく似ている。


「あなた、娘が可愛いのはわかりますが、貴方が私に求婚した時の事覚えていますか」


「そ、それは言わない約束じゃ」


「お母様、何それチョット聞きたいのですけど」


「ふふふ、お父様はね私の事を」


「わーわーわ」


「あなた!お話の途中ですよ、あのね・・」


慌てて止めようとするアシルを軽くあしらい、妻のミレアは当時の様子を語り出す。アシルは婚姻の許可を取るため家に押しかけお爺さまに直談判、だが話し合いは数分で終了、最後は殴り合いになり2人とも倒れたのだ。


「お父様って意外、すごい」


「まぁ、なあ」


褒められたアシルは意外にも照れていた、娘に褒められ悪い気分にはならないのだろう。


「まぁ、私もおさの娘だったからね、力でねじ伏せるのが習わしなのよ」


「えっ、エルフ族って争いを好みませんよね」


「長の娘になるとそれは別なのよ、プライドを掛けて実力で承諾を得るのよ」


「そうなんだ、私が”恋人”作ったら大変な事になりそう」


「アデール、冗談でもお父さんの前でそう言う(恋人)ことは言わないでね」


「ゴゴゴ」


娘を守りたくて仕方ないお父様は、恋人というキーワードだけで即噴火を始めた。


ミレア「遅かった・・」


カティーナ「うわぁ・・」


「なんだと!彼氏だと!」


そのキーワードを聞き、顔が真っ赤に燃え上がり、噴火し憤慨するアシルお父様!


「お父様、仮の話ですから、ね、ね、落ち着いて」


「アデールは彼氏を欲しているのか!」


「いえ、そんなことはありませんわ、ね!ね!お父様」


プッシュー、なんとかアデールが拒否するとやっと鎮火したアシル。


「うむ、それなら良い」


「はぁ〜」


「いいわね、お姉ちゃんはお父様にとっても愛されて」


「カティーナ、あなたも少し経ったら同じになるわよ」


「えー、それやだ〜」


「私は35歳超えてからよ」


「いやー、もう4年しかないわ」


「ふふ、その時、私を笑ったことを後悔するのね」


「いやぁ〜ん、お姉様ごめんなさーい」


なんとも平和なやりとりが永遠に続くと思いきや、10年後、成人を迎えたアデールの前に黒の精霊が現れる事になるのだった。


ーー


10年後、ホテルの控え室では美人姉妹が何やら恋バナを咲かせていた。


カティーナ「お姉様!!成人おめでとうございます、。お父様から聞きましたけど婚約者の候補者が式に参加するそうじゃありませんか」


「ありがとうカティーナ、成人前のあなたにも求婚の話が来てるとかなにかとか噂を耳にしましたよ」


「いやーん、その話は言わないでお姉様!」


10年経ちアデールは少女と大人両方の雰囲気を持つ可憐で、繊細な美を持つ大人に変わりつつあった。


「うふふ、わたしのガードが硬いから貴方に向かったのね!」


「もう、アデール姉様!」


カティーナはしっかり者としての認識があるのか、父アシルはアデールほど厳重に保護してなかった。相対的にアデールより男子との接点が多く、その美貌に似合わず活発で誰とでも忌憚なく話し人気が急上昇、とある地方の有力者の息子がカティーナを一眼見ただけで惚れ込んでしまい、あの手この手を使い猛アタックしていたのだ。


執事「お時間になりました、会場にお入りください」


そして迎えたアデール成人の日も盛大にパーティーが開かれていた。


アシル「そうかやっと成人したか、おめでとうアデール、君の結婚相手として候補者を選んできたぞ」


「もう、お父様、婚姻はまだ先の話ですわよ」


「ほほほ、何を言う俺が選んだいい男達ばかりだぞ、時間を掛けて品定めしなさい」


「もう、恥ずかしいですお父様・・」


そう、良縁と言いつつ候補者が既にアシルの後ろに控え、挨拶の時を待っていたのだ。順調に挨拶が終わる頃、アデールの体に異変が起きる。


「お、お化粧直しに行って参ります」


体が異様に火照り全身が熱くなっていたアデールは、顔を朱に染めたまま化粧室に入ると心配した母親ミレアが一緒に入ってくる。


「あら貴女、魔力解放が起きているじゃない」


「こ、これが魔力解放・・・」


身体の火照りが治まり身体中に魔力が漲る、なんとも言え無い気分になっていた。


「うふふ、私は成人の前に起きたけど貴女ほどはっきりとは出なかったわよ」


「なぜ今なのでしょうか」


「婚姻の話が出てきて大人の気分を味わって成長したんじゃ無いの」


母親のミレアはアシルと付き合い出しすぐに魔力解放が起きたが、総量が少ないのかあっという間に治まったらしい。


「嗚呼、空間魔法が簡単に発動できそうです・・」


「凄いわね、相当魔力が上がったのよそれ」


精神的に成熟しているエルフ族は爆上がりすることは少ないのだが、アデールは気がつけば魔力が大幅に上がり、顔立ちも子供の面影が消え少し大人びていた・・。


「嗚呼お母様、顔が・・・」


「あら、貴女いきなり変わったわねすごく美人よ、その顔立ちの可憐さは心の現れよ」


男耐性がないアデールはやっと思春期を迎えたらしく、急激に顔立ちが変わりつつあった。おまけに魔力総量がとんでもなく多いのか、全身から溢れ出ていた。


ーー


そして成人式を終え数日経ったある日、アデールは家の敷地の広大な森を1人で散歩をしていた。もちろん周辺には魔獣が警備し、限られた者しか入れない。間違って入ってしまうと即座に取り囲まれてしまう所だった・・。


「1人で散歩はやっぱ最高ね!」


精霊と自然を愛す森の住民エルフは一歩その中に入れば、普通の人間ではその姿を簡単に見つけることは出来ない。アデールは森と一体化したようにスルスルと歩いていた。例え盗賊に追われてもそう簡単に捕まる事はないだろう。


「あれ、今日は精霊さんがいないわね、どこ行ったの?」


いつものコースを歩き、いつもの大きな大きな大木の所に行くと、必ずフラフラと妖精が現れ、そして他愛ないお話をすると知らない間に心が癒やされるのがお決まりだ。


「今日はご機嫌が悪いのかしら、ねぇ魔獣さんあなた知らない?」


「・・・」


いつも森に入ると警護する魔獣は隠れ見守っていたが、当然アデールにはバレているのでいつも困った事があるとなんとなく聞くのだったが今日に限っては反応が無かった。


「えっ?」


そして背中にゾクッと凍る様な感覚を覚え、振り返る事なくダッシュで木に飛び乗り逃げようとしたが、その着地点にある筈の枝が黒い霧になって消える。


「キャ!」


一瞬驚いたがバランスを崩すことなく落下しながら木の幹を蹴り無地に着地すると、足元のが黒い沼のようにドロドロと身動きが取れなくなりそうになるが、パッと手をつき空間魔法を発動させそれを踏み板代わりに沼から抜け出た。


「あれ、違う魔獣さんね、けどそれ危ないよ」


抜け出た先には見た事のない大型魔獣が目の前に立ちはだかり凶暴な爪が喉元に向けられていた。


「やはりエルフを森の中で捕まえるのは大変だ」


いきなり現れたのは小学生くらいの男の子だ。


「あ、貴方様は黒の精霊様」


「あれ、もうバレちゃったね」


「はい、勿論でございます。本日は何か御用でしょうか」


危険を察知した瞬間に逃走を図り殺意の無い魔獣に足止めをされたが、全ては黒の精霊が仕組んだことと理解し、アデールは跪き次の言葉を待っていた。


「君は土壇場で冷静に判断できる優秀な子だね」


「そ、そんな事はありません、必死でした」


「君は適正者として合格だ、じゃ!」


「へっ?適性者?」


そう言うと黒の精霊は霧になって消えていくが、何のために、何の適性者なのかわからないアデールは急に不安になり急いでアシルの元に向かう。


「お父様、本日森を散歩している最中に黒の精霊様にお会いし、適正者と言われました」


「なん、だと・・」


黒の精霊の言う”適性者”の言葉を聞いたアシルは何も理由を言わず、防御魔法に優れた術者を呼び、森の別荘に強力な魔法障壁を展開しそのままアデールを軟禁してしまうのであった・・・。


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