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精霊の加護

黒の精霊と出会います。

一斉に声をかけてくれる元気な妖精達に見送られ、古びた扉を開け中に入ると12、3歳位の男の子が1人ポツンと座っていた。


「よく来たね、アーネストとクレア」


「あなたは?」


「僕は黒の精霊、全ての精霊を司る王様」


「それで、俺たちに何か用なのか?」


「君はアーリーに見染められた王、クレアはアーリーに認められた側室、彼女の夢が実現した」


「そうらしいな」


黒の精霊の話し方は何というか、感情の起伏が感じられないと言うか、淡々と話している。


「彼女は待っていた、仲間を増やし幸せになりたいと望んでいた」


「ああ、この後は任せろ」


「けど2人共6精霊に愛されたね珍しい」


「そうなのか?それがどうした黒の精霊」


「・・・不吉」


急に険しい表情になりぽつりと不吉だと呟く黒の精霊。


「苦難が待ち構えている、6精霊の加護だ、不吉だ」


「絶やさない為に多く出現するって事か、それで彼女の幸せは続くのか?」


「遠い未来はわからない」


「その時が来たら頑張るしかないのか」


「君達は6精霊の加護だがアーリーより劣っている」


「そうか・・一つ聞くが、君とアーリーは師事の関係か?」


「いや違う僕は精霊の王、アーリーは世界の女王」


「そうなんだ、何が違うんだ」


「説明する」


黒の精霊は必死に説明するがぽつりぽつりとしか語らないので要約すると、精霊達の絶対的支配者とは言うものの単なるまとめ役、おまけに精神体なので独占欲はないそうだ。因みに数万年前から任されているらしい。


「持ちつ持たれつの関係か、それで役割とは」


「役割・・女王が暴走したら俺が消す」


「殺すってことか?」


「そう、抹殺」


「君は暴走しないのか?」


「精神体は世界を支配しても意味がない」


「実体化できないのか?」


「出来るけど今は無理」


「どうしたら出来るんだ?」


「器を探す」


「器?適合者を探さないのか?」


「適合者はほぼ存在しない、それは・・」


適合者のことを懸命に説明するが、まとめると女王の血を引く子孫で且つ、受け入れてくれる覚悟というか好みが合えば憑依出来るらしい・・。


「うん、なんとなくわかったよ」


「君達はアーリーが認めたから僕を恐れない」


「そうなんだ、いままで女王に子供はいなかったのか?」


「子供の方が先に死ぬ」


「配下にして延命は?」


「禁忌だ、そもそも出来ない」


「女王も辛いな」


「先に死ぬから作らなくなる」


「なるほど、わかったわ」


「アーリーの事頼んだ」


「わかった、任せてておけ」


小屋を出た2人はテーブルのところまで戻り一休みをしていた。


「あの黒の精霊って感情がないというか変だったよね」


「そうだね、表情の起伏も少ないし喋り方も無機質だったね」


「冷静に考えたら、普通会えない相手だよね」


「黒の精霊は初めて聞いたよ、クーンのこと調べている時も出てこなかったよ」


「私達って特別な存在になるのかな」


「僕たちはデルタリア政府に対し、対等な関係になったんだよクレア」


「そっか、私はクーンの王様の所に嫁いできたんだよね。相手が貴方だから実感が湧かないわ」


「ふふ、今まで通りで構わないからね」


「ねえ、王様キスして」


チュっとテーブル越しに軽くキスした2人。


「キャー」


それを見ていたのか上の方から黄色い声が聞こえ、アーネストはフッと笑うとすかさず精霊が反応する。


「キー、今、笑ったでしょ!」


「デバガメ精霊」


「ウキィ!!」


ぷんぷん怒ってブンブン飛んでる精霊達。


「ねえアーネスト、あまり怒らせない方がいいんじゃないの」


「フッ(笑」


「ゴラァ!」


「放っておいて大丈夫だよ、構ってちゃんだから」


「フーンだ」


「ほらね」


「・・・」


「さあ、煩くなったから帰ろう」


「はい」


クレアはアーネストの腕に自分の腕を回し、微笑みながら森を離れた。


ーー


精霊の加護を受け元来た道を仲良く手を繋ぎながら城に戻ったが、門番の兵士は2人を見るなり緊張した面持ちに変わり、城に入れば皆深々と頭を下げていた。


アーリー「おかえり」


クレア「もどりました」


アーネスト「ただいまアーリー」


「クレア、今から説明するね」


精霊の加護を受けたことによる体の変化について説明を始めた。アーリーと関係を結んだアーネストは不死、クレアも同様、行為によって因子が入り込み不死なのだが、精霊の加護を受け不死になった場合、同時に魔力が溜まり魔法が使えると痛みが少なく、修復も早いと言われた。


「その魔力が溜まり始めるとどうなるの」


「ま、魔力・・私、魔女って事・・」


徐々に魔力が溜まり始め体に変化が起きると言われる、アーネストは落ち着いていたが本に出てくる魔女を想像したのかクレアはビビっていた。


「あーそうだ、魔力解放が数日のうちに起きるからね、2人共魔力ゼロの状態だから凄い高揚感を感じて無敵状態の気分になるけど何もせず治まるまで我慢してね。間違っても交わっちゃダメよ」


「えっ?アーリーみたいに助平になるのかな・・」


「コラ!私の事なんだと思ってんの!」


「だって、不安しかないもん」


クレアは魔力解放と聞き怖くなったのか詳細を聞くとすぐさま顔が真っ赤になった。そう初めての開放時、側に意中の相手がいると高揚感が性欲に置き換わり求めてしまい交わってしまうと、毎回魔力を補充する際その時の事がフラッシュバックのように蘇ると言われ、そして最後の一言が凄かった。


<あのね、魔力を消費して溜まる時に、あの時の快感が呼び起こされて無性に欲しくなって手当たり次第漁り始めるわよ>


「わわわ、そ、それは・・淫乱じゃないですか」


「ふむ、危ない薬と一緒てことか」


「解放が起きた時、私が近くにいたらフォローしてあげるから」


「それ聞いて安心しました」


その後、死なないと思って無理をするなと釘を刺された。魔力さえ残っていれば灰にされても時間は必要だが再生出来る。しかし魔力、体力を限界まで消耗し更に無理すれば消滅すると言われた。


「絶対死な無い訳じゃないのね」


「そうよ絶対は無いよ、黒の精霊に頼めば死ねるし、魔力と体力を使い果たして更に無理をしたら復活する前に精神体になって戻れなくなるよ」


「わかったわ・・・無理はしないようにするよ」


他にも怖い話も飛び出した。非道の限りを尽くし、目に余るようなら黒の精霊が出てきて始末されると語る。


「し、始末って、抹殺って事でしょ」


「ほら、数百年生きていると価値観が変わって、殺す事に躊躇しなくなったりするから」


「怖いです」


「初心を忘れなきゃ大丈夫よ、それでクレアは子供欲しいの?」


「いえすぐには、ここの生活に慣れてから考えます」


「そうよね、私も数年は思いっきり甘えたいからね、みんなで楽しく生活しましょう」


そして各自の部屋を案内された。アーリーの私室とアーネストの私室は隣同士で簡単に行き来ができ、クレアの部屋とも繋がっていた。そしてその正面の部屋には超キングサイズのベッドが置いてありクレアはそれを見て驚いていた。


「アーリー、もしかしてここで3人で寝るのですか」


「あー、どこでも良いよ、このベッドはみんなで集まった時に使うのよ。だってこれくらい広くないと寝れないでしょ」


「はぁ、まぁそうですが」


クーンに戻る前に連絡し準備させたようだ、それにしても性に対し開放的なアーリーにクレアは戸惑っていた。


「ほら、私室にはダブルベッドが置いてあるから普段は好きな人とそこで寝ればいいよ」


「かなり大雑把ですね」


「じゃ、今晩はクレアと一緒に寝ようかな」


「!!・・・・(硬」


いつもの様にとんでもない事を言い出す、クレアは理解不能と言わんばかりに固まっている。


「あれ、女性同士は嫌い?まぁ、終わりが見えないからね」


「そこじゃないと思います」


「ウフフ冗談よ、じゃまた3人ならいい?」


「それならまだ、いやいや、貞操観念がおかしくなっていませんか、あの時は不意を突かれて、なんと言うか流されて・・」


弄られた時のことを思いだしたのか恥ずかしそうに俯き話すクレア。


「なら、明るく皆んなで楽しめば良いじゃん」


「もう、恥ずかしいよ、アーネストも何か言いなさよ」


「アーリー、お嬢様育ちのクレアを弄るなよ」


「だって嬉しいじゃない」


「そうだけど戸惑っているよ」


「ふふ、クレアここの生活は自由だからね楽しもうよ、そうそう後1人増えるからね。けどまだフォーレストから連絡来ないのよ」


「えっ?まだ増えるの?もしかしてそれって獣人の方ですか」


「うん、そうだよエルフだよ」


「はい?」


「あのね昔からそうらしいのよ、元々デルタリアの代表はクレアだよ」


「えっ?そうなの、決まっていたの」


アーリーは信じられない事実をサラッと話しだした。それはデルタリアに適正者が複数人存在すると黒の精霊が伝え、特徴を聞くと銀髪緑眼の貴族が含まれていた。以前、アーネストに貴族目録を見せて貰い先にクレアの存在を知っていたのだった。


「わたし・・既にクーンに行く事が決まっていたんだ」


「決ってはいないよ、アーネストが私を選んでくれると思ったから、貴女には悪いと思ったけど少しきつい話をして試したのよ」


「あ゛っ!、いまちゃんと理解しました、ですがたったそれだけで分かるのでしょうか」


控室でのやり取りは、実はクレアを適正者として試していた。しかしその程度で判断するとは信じられなかった。


「あのね、今日から訓練すれば人の深層意識が見えるようになるよ、2人とも魔力が溜まり始めるから」


「え゛!」


「嗚呼、そういう事だったのかアーリー・・」


不意に心の隙間を突いて来たり、押しが強くても嫌悪感が沸かないアーリーの行動を振り返ると納得してしまう2人だった。


「ウフフ、私が魔法の先生だね!」


この後アーリーの超適当なスパルタ教育を受け、アーネストとクレアは徐々に魔法を習得していくのであった・・。


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