結ばれた二人だが・・。
2人は結ばれますけど。。
「ねえ、今日は帰らないよね」
夜も更けた頃ホテルに戻ったが、困惑した顔のアーネストはスィートルームの前で躊躇している。そう、ほんの数時間前、お互いを認め合いキスはしたが急な展開で悩んでいた。だがアーリーはこの先を望んでいるというか心待ちにしている。既に”今日は帰らないよね”と言って手を握りしめ部屋に引き込もうとしていた。
「本当に泊まっていいの?」
「もち!もち!じゃ、入って」
そんな彼女の気持ちを考えると自然と足は動いてしまうが、まだアーネストは考えていた。何故こんなに急ぐのだろうと。
「ねぇ、化粧落としてくるよ」
「ああ、そうだね」
アーリーは化粧を落すために洗面所に入るとアーネストは目を瞑り深く思考を始めるが答えには至らない、分かっているのはアーリーは俺に抱かれたいという事だけだった。いくら考えても答えが出ない。ならば引くより波に任せた方が良いかと考えてしまう。と言うかそれを望んでいる自分が恥ずかしくなった。
「はぁ〜終わった〜、お待たせ!いくら不死って言っても肌は別なのよ手入れしないと張りが変わるのよ〜あれ?アーネスト!」
ソファーの上で寝ているアーネストを見て悪戯を始めたアーリー、何度も頬を突くと・・。
「もう寝ちゃったの?悪戯しちゃえ!ツンツン、ほれツンツン」
弄っていると、パック!と指を咥えられると、ひゃ!と驚きアーネストは目を開ける。
「こら、寝たふり!」
「ふふふ」
至近距離の2人はお互いの気持ちの近さだ。少しの間じっと見つめ合い確かめ合っていた。
「いい笑顔だねアーリー、君は化粧を落としても綺麗だね」
「そう?貴方もいい顔しているわよ」
「うん、君は今まで出会った中で一番だ」
「もう、恥ずかしいよ」
アーネストはアーリーが俯いた瞬間に、チュ!とキスをする。
「もう!また不意打ちでキスされたよ、次は私からよ!」
言葉通り、チュ!とキスをし返すアーリー。
「ふふ、ねえ、私のこといつ好きになったの?」
「うーん、クーンにいた時からかな、けど最近気がついたんだよ。そう、自分も知らない間に君に尽くすことばかり考えていた」
「えっ?そうなの、私もその懸命な姿を見て好きになちゃったよ」
「惹かれあったのかな」
「多分そうかもしれないね、気が付いた時には貴方が心の中に住んでいたよ」
「それ僕も同じだよ、だけどなぜ急ぐのアーリー、別にこの先の事は嫌いじゃないよ、けど僕を求める理由が知りたい」
「アーネスト、ねえ、お風呂入ってくるよ寝ちゃだめよ」
答えは無粋と言わんばかりに身を清めてくると言い、”アーリー、こんな僕で良いの”と問うと、優しい眼差しでアーネストの頬に手置くと、”うん!”そう彼女はにこやかに呟き恥ずかしそうに浴室に消えた。
「ふむ、これ以上聞くのは野暮だな・・・」
アーネストも別の浴室に入り汗を流し客間に戻ったが姿が見えず、寝室に入るとベッドに浅く腰掛け背筋を伸ばし振り向くアーリーの姿が目に飛び込んでくる。
「待ってたよ、愛しい人」
あの日、あの朝、見た姿の比ではない綺麗な曲線美を晒していた。一応薄い布らしき物を着ているがその姿がとてもセクシーだ。そして隣に座り軽く抱きしめお互いをたしかめる。
「今まで見えなかったけど、凄い傷があるのね」
ローブの隙間から見えるアーネストの胸元に付いている無数の切り傷。アーリーはソレを人差し指でなぞっている。
「くすぐったいよ、アーリー」
「だってカッコいいんだもん」
「君の肌は透き通る様に綺麗だ」
「ンンッ!恥ずかしいよ」
胸元を見られ頬を染めるアーリー。
「けど、凄いな君は350年もこの姿なんだろ、精神的にはおかしくならないのか?」
「それはね、大体50年を一括りにして記憶を別の所に保管するの。もちろん全部じゃないよ」
「凄いね、チョット安心したよ」
「もう、いま、おばあちゃんと思ったでしょ、最近リフレッシュしたから実年齢とほぼ変わらないわ」
「この身体は若くて最高だけどね」
「こら!」
「冗談だよ、綺麗だよアーリー」
「うん・・・・」
アーリーの頬にやさしく手を差し伸べると、首を傾げその手を何とも言えない表情で甘えてくる。
「うふふ、いま最高に幸せだよ、ずっと一緒だよアーネスト」
「アーリー、もちろんずっと一緒だよ」
「うん!」
軽くキスをすると、アーリーに引き寄せられるようにベッドに沈んで行った。そう、何故俺なのかを聞かずしてそのまま交わった。
ーー
早朝、2人は仲良く生まれたままの姿で抱き合って寝ていると、ポーン!と呼び鈴が鳴った。
「ん?」
「アーネスト・ウェブスターここにいるのは分かっている、逮捕状が出ている大人しく同行しろ!」
中空モニターに刑事らしき人物が2人映っている。気分をぶち壊しだ!朝からオッサンの説教は聞きたく無いと思ったら、不機嫌に気が付いたのかアーリーが起きてしまった。
「どうしたの?」
「招かざる客みたいだね」
「もう!私が相手するわ!任せなさい」
飛び起きたアーリーはインターフォン越しに刑事とやり取りをはじめ、逮捕状があるから今から踏み込むと息を巻いていたが、あら、私の裸を見たら国際問題になるわよと脅し強権発動、着替えが終わるまで待たせたのだった・・・。
「はいどうぞ、お待たせしました」
「貴方がアーリー女王ですか?」
「そうよ、これが本来の姿よ」
「映像とかなり違いますね」
若いアーリーを見て怪訝な顔をする刑事に対し、魔法を使い、おばさま姿を披露すると、びっくりしながら納得した。
「わかったかしら?」
「ええ、凄いですね」
「とりあえず奥にどうぞ、それで用件はなんでしょう」
「アーネストさんに殺人未遂容疑の件でテディ公爵が緊急逮捕状を発令されました」
「マーベリックの父親だっけ、昨日の事を説明するね」
昨日の状況を説明したアーリーの話を聞き、上級貴族のテディーが息子に頼まれ罪を擦り付けたと直感で思ったが、職務上逮捕を執行せねばならず躊躇していた。
「テディ侯爵から聞いた話だと、アーネストさんが刺したといわれました」
「酷いな、仲のいいクレアを何故刺さなきゃならん!」
「ふーん、あの馬鹿息子が逃げたいから嘘を付いたんだね、それでクレアはまだ病院なの?」
「ええ、そうなのですが面会出来ません、昨日より意識不明の状態です」
「あら、彼女を蘇生したのに会えないんだ。ふーん、私を完全に怒らせたいようねあの馬鹿は」
それを聞いたアーリーの顔が厳しくなり、いきなり威圧を発動!刑事達をおさえこんだ。
「あうっ!ウググ・・な、何だこの威圧は!」
「貴方、病院に案内しなさい」
刑事2人は威圧に押され、苦痛の表情だ。
「うっ!私はアーネストさんを」
「黙りなさい、このまま死にたいの!」
ブン!さらに威圧を高めるアーリー。
「ぐっ、わ、わかりました」
「アーリー・・・」
心配したアーネストが声を掛けるがアーリーは全く動じなかった。
「アーネスト行くわよ」
「わかったよ」
激オコアーリーはビビる刑事達の尻を叩いて病院に案内させるのであった・・。
ーー
「さぁ、いくわよ!」
気合の入ったアーリーが先導を切ってクレアの病室に向かうと、ドアの前に屈強な男が立ちふさがっていた。
「そこをどきなさい」
「なんだ、女だれ・・・ぎゃ!」
アーリーが腕を振ると扉の前を塞いでいた大柄な男が宙を舞い、壁に激突し頭から床に落ちる。
「うわぁ〜、やっぱアーリーを怒らせると怖いな・・・」
隣で見ていた刑事が「コクコク」と頭を小さく振る。荒事に慣れてるとは言え人外な力を目の当たりにすれば当然だ。そして扉を開け中に入ると白い服をきた医者らしき男が立っていた。歳の頃は40代、人相は何というか一言で言うならいやらしいオヤジだ。
「ん?、誰じゃ?」
「ふん、クレアの様子を見に来たのよ、アンタが何かしたのかしら?」
「グフフ彼女は目覚めることはないぞ、マーベリックに頼まれて特製の薬で夢の中じゃよ、永遠になキヒヒ」
「そう、つまらないことするのね」
アーリーが腰に手を置きドヤ顔でやり取りをしていると、男の手先からシュッと何かが飛び出て太ももに刺さる。
「クッ!」
「それわな即効性の薬じゃよ、あと10秒立っていられるかな。キヒィ、キヒィ!倒れたらその体を、俺が遊んでやるよ。意識はあるから辛いけどね・・いひひ〜」
メガネ越しの卑猥な目線はアーリーを舐め回すような視線だ・・。
「アーリー!」
一瞬屈んだアーリーは刺さった針を抜き、プス!その医者らしき男の頭にそれを刺す。
「ギャー!」
「バーカ、聞くわけないじゃん」
「イヒャイヒャ〜、バタン!」
アーリーが腕を横に振るとその男は扉の方に飛んでいき、ドカンと激しくぶつかるとそのままだらしない恰好のまま気絶する。
「あわわわ」
刑事たちはアーリーの特殊能力を何度見ても驚愕していたが、アーリーは気にせず優しく彼女の頬を愛でる。
「クレア、あなたには迷惑ばかりかけるわね。我、アーリー・メンディエタ精霊女王が望む、6精霊たちよクレア・ハリウェルの身体を浄化せよ!」
アーリーがそう唱えるとクレアの身体が光り出し、やがて光が収まった。
「アーネスト、もうこれで大丈夫よ」
「僕の出番は何もなかったね、けど何で素直に喋ったの?変じゃない?自分から白状していたよ」
「うふふ、精神魔法だよ!喋るように仕向けたのよ、それで刑事さんさっきの会話聞いていたわよね、あのバカ息子を捕まえてきてよ」
「そ、それは流石に、すぐには・・・」
「もう、今日はアーネストの両親に挨拶に行かなきゃ行けないのよ!!ぷんぷん!」
何故か腕を組み、別な怒りを現す激オコアーリーがそこにいた。
「そこ?」
「当たり前でしょ!」
「アーリーさん・・・・」
無駄にクレアの前でやり取りをしていると流石に目が覚めた。
「はい、目の前でこれだけ大騒ぎすれば流石に・・・」
「あらやだ」
「おはようございます、何かあったのでしょうか?」
クレアから別れた後の話を聞くと、医者が来て点滴に薬を入れたら意識がなくなり、そして騒ぐアーリー達の声で目覚めたらしい。
「その医者ってあいつ?マーベリックが指示して、昨日の事をアーネストに罪を着せようとしたのよ」
「それは、ひどいですね」
「これから捕まえにいくのよ」
「アーリーさん、あいつ1人じゃ何もできないので絶対父親のテディー侯爵が関与していると思います」
「分かったわ、膿を出しに行きましょう」
「おお、面白くなりそうだ」
「こら、アーネストさっさと終わらせるわよ」
「はーい」
「あー、やっと見つけました!」
黒縁眼鏡をかけたスーツ姿の男が何やら話しながら入ってくると、咄嗟にアーリーの手先が光りそいつに向ける。
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