2人の距離。
微妙に距離が縮まります。
「これはマズイな返り血でべっとりだ」
アーネストは着替えを持ってなかった、アーリーと朝から買い物に連れて行かれることが確定だったので持って来てなかったのだ。
「ホレ、俺の着替えを使えよ」
クレアを抱きしめたアーネストの服は上半身がドス黒く血で染まっていた。流石にこのままでは出歩けないのでラッセルに予備を借りシャワー室に向かった。アーリーもドレスから普段着に着替えホールに戻って来るとラッセルに呼び止められる。
「アーリーさん、先ほど蘇生の儀式の際にお名前が聞こえたのですが、貴方様はクーン女王様本人なのですね」
「そうよ私は女王のアーリー本人よ、けど女王様って呼ばないでね」
「そうでしたか、何か雰囲気が違うと思っていましたが」
「アーリーさんスージーと申します」
「貴方は確かああそうだ、たしかラッセルさんのお相手さんよね」
「ええそうです、それにしても凄いですね先程の光は精霊の力でしょうか?」
スージーは魔法に興味があるのか、初めて見て感動しているのかアーリーに羨望の眼差しを送っていた。
「そうよ精霊の力を借りてクレアに魔法を施したの蘇生と細胞再生よ、馬鹿には即死と強制蘇生よ」
「そうなのですね、精霊の力を目の当たりにして感動しています」
「ふふ、クーンに遊びに来てよ、もしかすると精霊に愛されるかもよ」
「はい、ラッセルと一緒に伺います!」
「アーリー、お待たせ!」
「あら、その衣装似合っているじゃない、うんかっこいいね」
アーネストの姿はオールドファッション系のジャケット、ダメージジーンズの組み合わせに黒のTシャツ姿だ、アーリーはその似合っている姿を見て微笑んでいたが急にお腹が空いたのか飯を食わせろと言ってきた。
「ははは、それじゃアーリーは何が食べたい?」
「にく!、肉!、ニク!うん、魔力回復には大量の肉!」
「それじゃ味が濃くて柔らかくて美味しい肉料理なんかどう?味が染みておいしいよ〜」
「それって、うへへ〜、想像するだけで涎が出てきちゃった」
猛獣アーリーは魔力を相当使ったのだろう、瞳から肉マークが輝いていた。
「お腹空いた、早くアーネスト!!」
アーリーに急かされながらも、スマホを取り出すアーネスト。
「もうもう、早く行きましょ!」
急かすアーリーを無視してお店に電話をし料理を注文するアーネスト、それは焼き上がりに時間がかかるからだ。
「もしもし、今から向かうから先に焼いてくれないかなリブハーフで、うん、味はそれで名前はアーネスト、個室を頼むねじゃよろしく」
「ねえ、もしかして到着してすぐに食べれるように先に注文したの」
「そうだよ、とってもおいしいけど、焼き上がりに20分以上掛かるからね」
「もう、アーネスト好き!チュ!」
「あわあわわ、積極的・・」
速攻でアーネストに抱きつきキスをするアーリーをスージーが見て唖然としていた。
「さあ、行きましょ」
「そうだね、スージーも一緒に行く?」
「いえ、お二人でどうぞ(呆」
2人は食事が終わり次第クレアが入院している病院に向かうとラッセルに告げ、歩いて10分ほどで目的のレストラン、リブ・ラボに到着。
「リブ・・そのまんまだよ、ウヘヘ美味しそうね」
「俺たちの間じゃリブラって呼んでるけどね、味は保証するよ」
「じゃ早速いこ!」
店に入ると個室に案内されサイドオーダーの注文をして少し経つと。焼き上がったばかりのリブがドーンとテーブルに鎮座する。
「うまそー」
既に獲物を狙う猛獣の様なアーリーはフォークナイフを持ってスタンバイしていたが、サクッと切り分け持ち手に紙ナプキンを巻き渡すとかぶりついて食べ始める。
「モグモグ、アーネストこれ確かに美味しいね、もぐもぐ」
「口に合う?」
「うん、このソース甘塩っぱくて美味いよ!」
アーリーは蘇生術を使うと体力を相当奪われるらしくモリモリ食べている。何を食べているかって?それはね。甘くコクのあるソースが染みたスペアリブのグリルだ。食べ始めて15分、もう既に4本目に手が伸びそうだった。
「もぐもぐ、うまっ!」
「よく食べるね」
「うん、蘇生術を使うと魔力消耗が激しいからねまだ食べるよ、もぐもぐ」
「ほんと?」
「うん、もぐもぐ、あとね3本はいけるかな、もぐもぐ」
「野菜も食べてね〜、すみませーんリブクォーター追加で!」
あまりの食べっぷりにアーネストは自分の分をアーリーに譲り追加注文を入れていた。
「だってこれ以上痩せたらいやでしょ、たぶんね食べないと胸がぺったんこになるよ、うん」
「ええ、そんなに奪われるの、そ、そうなんだいっぱい食べて」
男子が好きな双壁はまぁ、趣味もあるが大きい方が好まれる割合が大きい、アーネストは違う意味で言ったのだが、どうやら定説通りなのだろうとアーリーは受け取る。
「あっ、アーネストおっぱい大きい方が好きなんでしょ!」
「あっ、いや、別に、恥ずかしいよアーリー」
恥ずかしがるアーネストを弄るアーリー。
「ふふふ冗談よ、減るのはお腹からよ」
「もう、アーリーの冗談は聞いている方が恥ずかしいよ、ほらまた頬にソース付けて」
「ん!」
「はいはい」
遠慮せず甘えたように顔を付き出す彼女に、アーネストはまた優しくナプキンでソースを拭う。
「へへ、ありがと」
「いいよ」
もう恋人同士の様に振る舞っていた・・そして結局、リブハーフを完食したアーリー。
「はぁ〜、食べたわ〜」
「凄く食べたね、けどお腹は膨れてないね」
「うん、そうよ必要な栄養は全て魔力に分解されるからお腹が膨らまないんだよ」
食べても食べても膨れないお腹を見たアーネスト、自分の”子分”も栄養になるのかと一瞬考えてしまった。
「エッチ!どこ見てんのよ!」
「ハハハ(汗」
アーリーは思考を読まなかったが、胸を凝視していると勘違いしたようだ。アーネストはこころが読めたと勘違いして引きつっていた・・。
「それじゃ病院に行こう」
「そうね、少しお話したいわ」
食事が終わり、そのままクレアが入院している病院に向かう2人。受付で身元確認のため身分証を提示する。
「えーと、貴族のアーネストさんとクーン精霊王国、王女アーリーさん・・し、失礼しました!ど、どうぞ此方に」
不審者を侵入させないよう厳重な管理をしているのだが、まさかの王女の身分証を見て驚く受付嬢は平身低頭な態度でクレアのいる病室に案内され、中に入るとラッセルとスージーがまったりしているのが見えた。
アーリー「あら、あなた達まだいたのね」
スージー「うん、心配だからね」
ラッセル「クレアは検査と点滴が終わっていま戻ってきたところだよ」
クレアは斜めにベットを起こしスージーと話をしている最中だった。
「うふふ、もう大丈夫でしょ、けど刺し傷の表面は痛むかもね」
「アーリーさん、本当にありがとうございました」
「ああ良いのよ、馬鹿がアーネストを殺そうとして、あなたが間違って刺されたんだから、このくらいの事当然よ」
「いえ、普通なら死んでいましたから」
「ねぇ、もっかい聞くけどどうだった、アーネストとの最後のキスはおいしかった?」
「ア、ア、アーリーさん」
思い出したのか赤くなるクレア。
「こらアーリー、弄るなよ」
「だってねえ、聞かなきゃわかんないんだもん、アーネストが私を選んでくれた時は最高だったよ!」
「私もです!美味しくいただきました!」
「こらクレア参戦するな!」
「わわわ」
刺激が強いのかスージーの顔は真っ赤になっていた。。
「元気そうね、その様子じゃ大丈夫だね、もう退院して飲み行こうよ!」
「えっ、もうですか、流石に今日は」
「あー、調子悪くなったらヒールかけるからさ」
トンデモ発言に周りはドン引き。あまりのアグレッシブなアーリーに付いて行けない様子だ。
「お誘いは有り難いですが今日はこのままゆっくり休みます。ほんとアーリーさんはアグレッシブですね」
「だって時間がもったいないじゃん、わかったよ退院したらクレアと遊びに行きたいな、約束してよ待っているからね」
「そんなに私と遊びたいのですか?良いですよ落ち着いたら遊びにいきましょうね」
「勿論よ、アーネストが好きだったクレアよ、興味あるし友達になりたいし」
「欲張りですね」
「そう?自分に正直なだけよ、じゃまた明日くるね、行こアーネスト」
「はい、お待ちしています」
無理矢理約束して病室を出るとアーネストが不思議に思って聞いてくる。
「アーリー、さっきすごく無理矢理まとめたよね」
「だって女王だもの、引き取れるなら引き取らなくっちゃ!」
「引き取るって、ねぇアーリーまさか・・」
「ウフフ、感がいいね!アーネスト」
アーリーの独壇場で終わったクレアのお見舞いは、実は仲間に引き入れるための前段階に過ぎなかった。アーネストはその態度と発言を聞いてなんとなく察知していた。そして病院を出ると早速飲みに行きたいと言い出す。
「ねえねえ、アーネスト飲みにいきたいんだけど、個室がいいな~」
「聞かれちゃいけない話でもするの?」
「それもあるけど、今日は甘えたいの」
「わかった、任せて」
シャトルタクシーに乗り少し走ると海岸に出た。そのまま道沿いを走ると海に迫り出た大きなビルが見えそこが目的の場所だ。脇の階段を降り黒い大きな扉を開けると中は薄暗いバーになっている。店名は「アクアリウム」バーカウンターは透明なガラスの水槽、壁も至る所に埋め込み式の水槽になっている。
「うっわ!なにこれ」
「面白いでしょ、ここはね隣の水族館が経営しているバーなんだよ」
その水槽全てに魚が泳いでいて、金魚、熱帯魚など多種多様な魚が泳ぎまわっていた。
「こちらの部屋になります」
店員に案内され一番奥の部屋に行く。そして扉を開け中に入り驚くアーリー。
「うわぁ!ここ凄いね。それにしてもよく知っているわね」
「ほら商社の仕事って接待の時に使うから、色々知っていないと駄目なんだよ」
「ふーん」
「ここの個室は密談するときによく使うんだ。あのね防音、電波遮断とまあ政治家もよく使っている所だよ」
「さっすが!それにしても部屋4面と床まで水槽って凄いね」
「ほら、水を挟むと電波が通りにくいし音声も伝わり難くなるから」
その場所はまるで海の中にいる感覚になる部屋だ。入口以外は全面ガラスで覆われ、透明アクリルのベンチ椅子にガラステーブル。周りには小魚の大群、カラフルな魚が泳ぎ回っている。早速飲み物を注文し乾杯すると・・。
「コクコク、ンッー、ウマイ!!」
「いい飲みっぷりですねー、そう言えばアーリーってお酒強いの?」
「うん、そこそこ飲めるよ、くっつくね」
腕を絡め体をアーネストに預けピッタリくっつくアーリー。
「ア、アーリーあの、胸が当たってるよ」
「大好きなアーネストと一緒にこうやってベタベタできるって最高だね!うん、どう?気持ちいい?」
「ち、ちょ、ちょっと刺激が強いよ」
「ふふ、それでね大事な話がるの怖がらずに聞いて」
「いいよ、覚悟はできている」
「あのね、このままね、深い関係になったら私の影響を受けて貴方も不死になるの」
「ふ、深い関係・・・そ、そうだよね、君は精霊の力があるんだよね」
遠回しに喋っているが、アーリーが認め迎え入れ肉体関係を結んだ時点で精霊の力が発動し相手も不死になるのだ。
「ふふ、感がいいね、それでね精霊の加護を貰えるか試して欲しいの」
「わかった、貰えるといいね」
クーン城の裏手の祠は精霊の住処の一つだ、そこに行くと適性者は加護を貰える。
「それとね、貴方の家族に報告しなきゃいけない事があるの。とても重要なことだよ」
「ま、まぁ、そうだね・・明日行こうか?」
「うん、とてもとても重要な報告なの、お願いね」
「う、うん、そんなに重要なの」
「うふふ、明日全てを話すよ」
何やら意味深な言葉を残しアーリーは話題を切り替えたいのかアーネストにキスをした・・・。
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