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アーネストの意外な行動。

何やら不穏な事が行われようとします。

アーネスト「んっ?空のグラス持って何やってんだ」


アーネストは不審な動きをする手下に気がつき、少し遠目から様子を伺っていた。そいつはアーリー達の方に近づき、人を避けた拍子に躓いたフリをしてバジルの腕を目掛けてグラスを勢いよくぶつけようとしていた。


「あっ!ダイヤが!誰か探して!」


女の子が摘んで見ていたダイヤが指から落ちバジルの足元に転がる。その声を聞きクレアがダイヤを拾うために頭を下げるのと、グラスが向かってくるタイミングが完全に一致。アーリーが気が付きカバーに入ろうとするが、すでにクレアの顔にグラスがせまり、そのぶつかる瞬間ヒュッとどこからかメニュー表が飛んできて間に挟まった。


クレア「キャ!」


手下「パリーン!ぎゃー、イッテー!」


クレアはメニューに押されただけで蹌踉めくが、手下は割れたグラスが自分の手に刺さり大量の血が流れ出す。


参加者A「きゃー!」


参加者B「うわぁ、血だ血だ!早く!」


その惨状を目にした主催者のスタッフが慌てて近寄り即座にナプキンで傷口を塞ぎ、医務室に連れていくと、すぐに対処したため会場は自然と落ち着きを取り戻した。


「チッ、ドジな奴め(小声」


小さい声で呟くマーベリック、だがアーリーにはしっかり聞こえていた。


「・・・(こいつ本当に駄目な男だわ・・・」


そしてアーリーは少し大きな声でわざとアーネストを呼んだ。


「アーネストさんバジルさんがクーンの魔獣を見学に行きたいそうよ、少し教えてあげて」


「畏まりました」


それを聞いたマーベリックは自分の失態に気がつき、そしてアーリーはアーネストを見てウインク!その行動がバレて照れ臭そうな顔をした。


「・・・笑(ありがとう、もう、アーネスト粋な事するね!!」


「・・・困(俺、何やってんだろ・・・あのまま何もしなかったら大惨事になってパーティーが終わっていたのに・・・アーリーのこと守っているよ俺」


「・・・(うふふもう、アーネストったら」


アーネストの深層意識を読み取ったアーリーは思わず微笑む。


「さっきも助け舟出したし・・・何やってんだろ俺」


アーネストは自分がアーリーに惹かれていると完全に認識した瞬間だった。そんな事を考え戸惑っているところにクレアがやって来る。


「アーネスト、アーリーさんの護衛なの?貴方でしょメニュー表投げたの」


「バレた?結果的にそうなちゃったよ」


「ありがとう、流石にわかるわよあの角度から投げられるの貴方だけよ、それでアーネストはクーンに行くつもりなの?」


クレアから目を逸らし考え俯くアーネストからはとても悩んでる様子が見てとれた。そしてその表情を見て感じた彼女は自分の想いを吐露した。


「わたしより彼女の方がお似合いよ、ごめんなさい貴方の事をお父様に話したんだけど説得出来なかった」


「クレアごめんね、僕は君の事を好きだったけど諦めていた」


「ねぇ、2人とも庶民だったら良かったのに、好きよアーネスト」


「そうだね本当にそう思う、君の事好きだよクレア」


「うん、最後にその言葉が聞けて良かった」


「僕も気持ちを伝えられて良かった」


同時に告白した2人の表情は何故かスッキリとしていた。それは爵位の違いでこの先結ばれることがない事がわかりきっていた。だから最後に思いをぶつけ自分の感情に終止符を打ちたかった。


「あー、これでスッキリしたわ。いつまでも友達だからね。けど、最後に抱きしめて」


「いいよ、もちろんずっと友達だよ、おいでよクレア」


「うん・・・うんアーネスト・・・アーネスト・・・本当にごめんなさい」


「いいよクレア、僕もダメ男だね」


2人は吸い寄せられるように抱きしめ合い、そして彼女の目尻に光るものが大きな粒となって溢れていた・・・。


「ありがとうアーネスト・・・」


一方、抱き合うクレアとアーネストをチラッと見ていたアーリーは全く気にしていなかった。それより目の前の馬鹿をどう料理しようか考えていた。


「アーリーさんどうでしょう、私をダンスの相手に選んで頂けませんか?」


「先程の話しぶりですと、女王は間違いなく納得しません。何か他に手立てはありますか?」


騒ぎが収まりダイヤを仕舞うと面倒なマーベリックが話しかけてくる。アーリーはお話にならないと一蹴しようとしたが、逆に弄ろうと考え相手にすることにした。


「そうですか、これはまだマル秘情報ですがクーンに定期便の船が就航予定です(よし、ウソの情報で騙そう」


「あら、それは女王も喜びますわ(ありゃ、嘘八百・・」


アーリーの前で嘘をついてもすぐにバレてしまうことを知らないマーベリックはドヤ顔だ。


「そうですよねこの件は私の父が提案したのです。どうですか私を味方にすると有益な情報が即座に来ますよ(どうだ、これで」


「凄いですねマーベリックさん(うん、嘘つきには信用した素振りが一番よね」


「やっとわかってくれましたか、任せて下さい絶対損はさせません(よし、このバカ女はもうすぐ落とせる、もう少しだ一押しで決まるぞ」


「ええ、太いパイプは出まかせと思っていましたわ、それならクーンを任せる事が出来るかもしれませんね(ふふふ、騙される振りって最高!よし追い打ちをかけるぞ」


「そうでしょう、任せてください必ず発展させますから(来た来た!!」


「その言葉を信用してよいのですか?それでは楽しみにしています(これでどうだ」


「ええ勿論ですお任せくださいアーリーさん(よし、これで俺のもんだ!」


司会「はい、皆様フリートークタイムは終了です。それではここでのパーティーは一旦終了、今から30分後ダンスホールにてお待ちしています」


次は皆が待ちかねたダンスタイムだ。だが波乱の幕開けでもあった・・。


司会「お集まりの紳士淑女の皆様、これよりダンスタイムです」


30分後、大きなダンスホールの上手側に女性が並び、下手に男性が並んでいる。アーネストはアーリーと対角線上に離れていた。


男性参加者「おー!」


女性参加者「きたわ!」


淑女たちはダンス用のドレスに着替え、皆とても煌びやかだ。その中でもアーリーの立ち姿は一際艶やかだ。


アーネスト「うわぁ、凄いな存在感が段違いだよ」


アーリーの透き通るような肌と真っ赤なドレスは見る者の目を奪う。それは純黒の生地が絶妙に配置され、黒の手袋とストッキング、エナメルの真っ赤なヒールがとてもバランスが取れ、それを更に完璧なプロポーションが更に引き立てていた。


スージー「ありゃー、ラッセルも釘付けだわ(オコ」


そのドレスは美乳を強調する為に胸元が大きく開き、”あの”豪華なネックレスの存在感が光る。その王族を彷彿させる優雅な立ち姿を見た女の子たちのため息が聞こえる。


令嬢A「はぁ~、レベルが違いすぎるわね・・・」


令嬢B「ほんと、彼女がデルタリア貴族でなくてよかったわ・・・」


その美貌に男性たちもその艶姿に釘づけだ。


ラッセル「凄いな、気品が漂っている、まるで女王の様だ」


マーベリック「まさに完璧の言葉しか出ないな、これならクーンに行く価値あるな」


司会「えー、それでは皆さんパーティ恒例の告白タイムの時間です。最初は男性諸君お目当ての女性の前で告白をお願いします」


事前に約束をして決まっているカップルはすんなりと相手を受け入れ、ホールの周りの椅子に座り後の様子を伺っていた。


ハイナー「よろしくお願いします」


マーベリック「選ばれることを心待ちにしています」


アーリーの前にはドヤ顔のマーベリックが右手を差し出し頭を下げ、ダンス承諾の返答を待っている。しかし彼女は全く彼等を見ずに顔を少し上げてどこか遠くを眺めている。


スージー「わわわ、見てみて、2人の顔すら見てもいないわ」


「おおおお」


「わわわ」


アーリーの行動を注力し見ていた人たちが異変に気が付き会場がどよめき始めた。それもその筈だ。申し出を断る時は、作り笑顔で遠回しにお断りするのが貴族の作法だ。しかし目線すらあわせない彼女の行動は敵対する相手に送られる態度だ。


「おおお、この展開は荒れるぞ、この後どうするんだ?」


ラッセル「おい前代未聞だぞ、ガン無視って」


アーネスト「ありゃ〜、やっぱそうなったか」


クレア「もうアーネスト、行けば良いのに!」


そして追い打ちをかけるように、アーリーの一言が会場全体を凍らす。


「役不足ですわよ、お二人共に!顔を洗って出直しなさい!」


アーネスト「うわぁ!言い放ったよ・・」


ドヤ顔のアーリーはこの時を狙っていたようだ。身分差を自分の実力として勘違いしているマーベリックに鉄槌を下した。まぁ、感の良いやつなら言われた意味を考えるのだが・・。


マーベリック「なっ!」


ハイナー「えっ!」


クレア「わわ、けどそうよねあのバカとは私も踊らないわ」


「それでは、お下がり下さいませ!」


ツンっと顔を上げ、目線を下げ、見下す様に言い放つと完全無視をして何処か遠くを見ていた。ここでアーネストを見れば更に騒ぎが大きくなるので遠慮したらしい。


「ぐっ!調子に乗りやがって、無事に帰れると思うなよ」


「マーベリックさん、下がりましょう」


マーベリックはワザと勝ち取ったように見せる為に手下を使っていた、だがしかし目論見が外れ大恥をかくことになり大激怒、プライドを傷つけたアーリーに対し殺意を徐々に抱きはじめた・・。


「許さない!絶対許さない!」


司会「おー、凄い展開になってきました~」


アーリーの向かい側には承諾を貰えなかった男性6人が立っている。勿論、馬鹿2人もその中だ。その中で唯一女性の前に立たなかったのはアーネストだけだった。


司会「それでは、次は女性からのアプローチタイムになります」


女性は7人残っていたその内の2人は歩き始めそれぞれの男性の元に向かい、1人は手下のハイナーの前に、もう1人は他の女性に振られた男性の前に近づく、クレアはダンスの承諾を断りその場所から動かなかった。


ハイナー「悪いね、マーベリックの頼みだから」


彼女「もう、やめてよ、こっちが恥ずかしいじゃない」


手下の方は事前に約束してあったのだろう、即座に決め相手をエスコートし椅子に座る。


「やっぱフラれたよ」


「ふふ、だから言ったでしょ私を選んだ方が良いって」


「そうだね、やっぱ分不相応だったよ。ありがとう」


もう一組は少し話をすると相手の男性が了承したのか無事にその場を離れた。フった相手はもちろんクレアだ。


司会「さあ皆様まもなくお時間となります、もう宜しいでしょうか!」


司会が終了を告げる前から会場の全員はアーリーの動きを注視している。まだ動かないのか、デルタリアの貴族は役不足なのかと、ヒソヒソと漏れ伝わり始めた瞬間、アーリーはその場からゆっくりと歩き始める。


参加者「おおお!」


スージー「動いた、アーリーが動いた!」


クレア「やっぱり彼女は最初から決めていたもんね・・・」


ハイナー「誰の所だ!」


マーベリック「まさか、俺の所か?」


アーリー「・・・・」


マーベリックは一瞬喜びそうになるが・・その目の前を無情にも無表情で通り過ぎるアーリー。


マーベリック「クッソ、馬鹿にして!」


ラッセル「おお、やはりアーネストを選んだのか!」


スージー「す、凄い展開よ」


クレア「そうよね・・」


クレアはその自信に満ちた表情と優雅な歩き方でアーネストの元に向かうアーリーを見て、急に悲しい気持ちが込み上げ諦めの表情に変わるのだった。。


「アーリー、最初から決めてたんでしょ」


ドヤ顔でアーネストの前に立つアーリーは軽く曲げた右手を差し出し、早く引けと言わんばかりだ。


「そうよ、けどあなたは気を使いすぎ、クレアが寂しそうよ抱きしめて女の子を泣かせちゃダメでしょ」


「うんわかってる仕方がないんだよ、さっき別れを済ませた」


「知っているわ、彼女の表情で察しました」


「相変わらず鋭いね君は、それで僕に何の用かな」


「ですから職業は”女王”ですわ、だから決まているじゃないあなたを奪いに来たのよ」


アーネストを奪う宣言を言い放つアーリー。


「それは嫌だね、御免被りたい!」


「どうしてよ!」


「決まっているのさ、僕が君を奪うから・・」


「あっ!」


喋り終わる前にアーネストはアーリーの右手を引き、抱き寄せそのままキスをする。


「んんん!」


突然の事でびっくりした彼女は一瞬目を大きく見開くが、そのまま瞑りアーネストの背中に腕を回す。会場の全員が注目していた二人のその予測不能な光景に会場は一瞬でシーンと静寂に包まれる。


司会「あわわわ」


数秒後、あっけにとられた司会がマイクを落とし、ゴン!キーン、ハウリングが響き渡るとそれを合図に2人の唇が離れる。


「待たせたねアーリー」


「私を選んでくれてありがとうアーネスト!」


「おおおおお!!!!」


そのやり取りを聞いた瞬間、一斉に会場が盛り上がる。


司会「あわわわ」


慌ててマイクを拾う司会がつまずきながら「ダーンスターイム!!」と叫ぶと優雅な音楽が流れ、皆一斉に立ち上がりダンスを始める。


「さあ、踊りましょうアーネスト」


「ああ、そうだね」


「やっぱ、あの二人には敵わないよ、おめでとうアーネスト」


そんな楽しそうにダンスを始める2人を見ているクレアからは祝福の笑みがこぼれていた。一方コケにされたマーベリックは”怒怒怒怒怒”とドス黒いオーラを全開で放ち怒りを溜め込んでいくのだった。


宜しければブクマ評価お願いします。

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