半分現実、半分夢?
(俺、死んだのか……案外痛くなかったなぁ……
次どこ行くのかな……天国?地獄?でもいい事も悪い事もしてないからな……まさか地縛霊とか?それは面倒くさそうだな……あれ?そういえばなんで俺意識戻ってるんだ?
なんか尻の下がふかふかするし……五感が戻ってる!?)
目を開けた。まず見えたのは長テーブル。沢山の椅子。
貴族とか王族が食事に使ってそうだ。
次に手元を見る。肌は見慣れたうすだいだい色。着ている洋服も、座ってる椅子もすごくゴージャス。王様が使ってそうだな。だけどなんだろう、この違和感は。全て禍々しい。
王族というよりは、それに敵対する魔王軍が使ってそうだ。
すると、お誕生日席ポジションにいる俺は魔王か?(笑)
「その通り。我は魔王ヴァルホンスだ。」
(!!)
声が聞こえた。どこからだ?右でもない、左でもない、
ど真ん中だ。まるで自分が喋っているような……
「違う。我の中に貴様が入り込んできたのだ。」
口が勝手に動く。どうやら俺が喋っているらしい。
だが意識はしていない。本当に勝手に動いている。
怖い。とりあえず外に出よう。
そう思い、立とうとしたが足が動かない。
「まあ落ち着け。そう焦るでない。」
まただ。死んだ衝撃で俺は壊れたのか?
怖すぎる。そう思った瞬間、頭の中に沢山の情報が流れ込んできた。
──痛い、怖い、気持ちいい、腹が立つ、好きだ、
気持ち悪い、嬉しい、悲しい、驚き、焦り、
恥ずかしい、虚無、憧れ、憎悪、殺意──
様々な感情が津波のように押し寄せてくる。
意味がわからない。耐えきれない。脳が焼き切れそうだ。
「落ち着け!落ち着くのだ!」
なんか聞こえる。これも自分か。んな事よりやばい。意識が遠のいていく……
(そろそろ起きろ!タロー!)
(ん……うるせぇ……)
(う、うるさいだと!?我にうるさいとは何事だ!
いいからさっさと目を覚ませ!)
「んああぁぁ……」
目が覚めた。どうやら俺は気絶していたらしい。
さっきと場所は変わっていない。魔王チェア(仮)の上だ。
てかさっきからなんなんだ。ヴァルホンスとか。
死んだ衝撃で第2の人格が目覚めたのか?
てかさっきのはなんだったんだ。
と、思っているとまた勝手に口が動く。
「いいか、我は魔王ヴァルホンスだ。貴様が創造した人格などでは無いし、これが夢な訳でもない。さっきのは我の記憶だ。今は我が抑えているが、意識を離せば貴様にまた記憶が流れ込む。今からそれを細切れにして貴様に送り込む。
話はそれからだ。」
よく分からない。特に前世に未練もないし、流れに任せることにした。その時、ヴァルなんとかの言った『記憶』が流れ込んできた。。。