衝突
パーティ後はずっと落ち込んでいた。Nも何も言ってくれない。つらい。
家に帰った僕はすぐさま日記に飛びついた。
N、ごめん。Sにやられた。君を笑わせることはできたかな。
ペンを置いて独りうずくまった。すさまじいほどの疲労感と虚無感が荒波のように押し寄せた。僕はご飯も食べずにベッドに潜りこんだ。
日曜の朝。寝るのが早かったせいか、起きるのも早かった。いの一番に日記を確認する。
君の必死さは伝わっていた。現在の好感度、二十万。
は……、はははっ! やった! 僕は……、僕はやったぞ! N、ありがとう! やっぱり、君って人は……。
うきうきと朝食をとり、うきうきと宿題をし、うきうきと彼女と連絡を取った。ああ、世界はこんなにも素晴らしい!
僕は日記に「ありがとう!」とだけ書き、豊かな休日を終えた。
今日も部活の時間がやってきた。スキップしながら部室まで行き、愉快な仲間たちに元気な挨拶をする。うーむ実に清々しい!
続々と部員が集結する。Nも来た! ……Sも来た。部長のくせに、遅れてくるとは。
まあいい、今日もNの顔が見れた。それだけで十分だ。今日の部活も楽しくなりそうだ。
……そう思っていた。
「あれ? S、どうしたその謎のキーホルダー」
AがSに尋ねた。Sは爽やかな笑顔で答えた。
「ああ、これね。Nからもらった」
……おい、何を言ってるんだ。
「すげー、独特だな」Mが言う。
……違う、違うぞ。それは、僕の……僕が彼女に……。
「バナナかそれ? 変わってんな」Oが言う。
……違う、違うっ、ちがうちがうっ!
「ちょっと、ししょー! それ言っちゃだめ……」
ああああああああああああああああああああっ!
「ってっめええええええええええっ!」
「うわっ!? なに……、うぐっ……」
Sの右頬に僕の拳が突き刺さった。
「きゃあああっ!」
「はっ!? おいHっ! お前何して――」
「死ねっ! クソがああああっ!」
よろけたSに覆い被さって顔面を殴り続ける。バキッ、バキッと骨の折れるような音が響いた。
「おい、やめろっ! Hっ!」
「こいつ押さえろっ!」
喉が破れんばかりの雄叫びを発しながら、僕は皆に取り押さえられた。Sの顔は血でぐちゃぐちゃになっていた。きっと僕も酷い顔になっているだろう。
「ううっ……、くそっ! くそっ!」
「H、どうした!? いきなり何してんだ!」
「うるせえっ! 今すぐこいつをぶっ殺させろっ!」
「何言って……」
「先生呼んでこよ」
「うん」
何人かの女子が走って出ていった。
S、S……お前は絶対、殺す……。よくも……よくも……。
「ししょー、大丈夫!? しっかりして!」
……なんでだよ。なんでそいつの心配ばかり……。なんで……。君は僕の味方じゃないのか……?
ああ、頼むから……、そんな目で睨まないでくれ……。