宴席
今日という日をどれだけ待ったことか。Nもそうだろ?
たこ焼きパーティ、楽しみすぎる。一体どんなシチュエーションで戯れられるのか。一緒にたこ焼きを作ったり、お酌をしてもらったり、もしかしたら、はいあーん……、ぐへへ。
日記のほうはどうだ。なんて書いてある?
頑張れよ。現在の好感度、十六万。
うっひゃー! もちろんだよN!
「おいしいねー」
ほんと、おいしいな。
「あっつ! まだまだまだまだまだっ!」
ほんと、熱いなこれ。
「お前下手くそすぎ帰れや」
ほんと、こいつら下手くそだなあ。
皆楽しんでいる。僕もとっても楽しい。Nもずっと笑顔だ。
それにしても、余興はいつ始まるんだろう。もうたこ焼きもなくなってきたぞ。
「はいじゃあ余興始めまーす。一年女子からお願いしまーす」
きたきたあっ! これだけのために来たようなものだ!
一年のはほとんど聞き流した。用があるのは二年だけだ。次は女子か。どうやら話している話題を僕らが当てるゲームみたいだ。
ああ、N、とってもキュートだ。くだけた口調が僕の性癖に刺さる。五年後には、喋る相手が僕で場所がファミレスになってるだろうね。
僕は答えなんかまったく考えずに彼女の姿ばかり見ていた。
「次は二年男子でーす」
よしきた! 最後にふさわしい僕の番だ!
僕は羽織代わりの安っぽいシートを手に、堂々と前へ歩み出た。Oが説明を始め、SとOが炭酸を飲めないことも付け加えた。ふふ、これは使える。
シートをかぶってOの後ろについた。隣はS、Aペア、奥がM、Yペアか。もらったな。
「ようい、スタート!」
始まった! まずは僕の知的さを出すために座標を使うぞ!
「マイナス五十! マイナス五十!」
「マイナス五十!?」
これは大爆笑間違いなしだ! ウケをとるためにあえて進行を遅らせよう。
「あーっ!」
なんだっ!? 何もしてないのに歓声があがったぞ!?
む、Oのこの動き……、隣を見ている……? しまった! Aの野郎か!
「おおおおおっ!」
「待ってっ! 炭酸待ってっ!」
「S頑張れー! S頑張れー!」
まずいっ! 流れが完全にまずいっ! このままでは奴らの一人勝ち……、じゃなくて二人勝ちだ! いや待てよ……? 二人羽織だから一応一人の設定か……、ちがうっ! そんなことはどうでもいい! 早く僕らもっ……。
そうだ、伝家の宝刀、炭酸飲料っ! こいつで一発逆転だ!
僕はゆっくりとコップに手を伸ばし、Oの口に近づける。頼む、O……、吐き出すとかしてくれよ……。
「……」
いや反応なしかよっ! あの前振り何のためだったの!?
あああ……、もうだめだ。負けた。N、僕は全力を尽くしたよ……。
その後は何をしたかも覚えていない。