作者はくだらない物語と出会った
前半は作品紹介的な部分になります。
後半から物語を進めていくとともに人間性を少しでも表すことが出来たらなと思っています。
これは遠い昔の話。
人々はあるものを作り上げた。
それは当時のプロをも打倒すると騒がれていた。
それは人々の仕事を奪うかもしれないと騒がれていた。
それは動物の形をしたものに魂を吹き込むものだと言われていた。
だがそれも過去の話。
かつて作り上げられた者達によって引き起こされた戦争によって技術は喪われ、今では魔物はびこる世界となっていたのだ。
その戦争の名は・・・『種別終末戦争』と呼ばれることになっていた。
時は現代。ギルド、組合、組織と様々な名を持つ場所《冒険者集会場》の受付の1人である少年クーシュの趣味は物語を描くことだった。
様々な人が集うそこではネタに尽きない。
様々な英雄譚に失敗話。彼の趣味はそれを残し、世に広げることなのだ。
英雄譚は子供たちの笑顔に変わり。
失敗話は冒険者たちの酒の肴になる。
移動の際に持ち込めば魔物の注意する点が書かれているのが魅力的だということもあり彼は重宝される受付員とも言えるのだった。
そこで気になる彼のステータスは・・・。
名前:クーシュ
性別:男
年齢:19
種族:人種
魔法適正:水、風
ランク:B
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筋力:B128
俊敏:C110
耐久性:C98
武術:D99
魔力:A89
魔法制御:C52
汎用スキル:並行思考、把握、筋力上昇
希少スキル:鷹の目、執筆師、心眼
制限スキル:締切、変貌
魔法:文房具使い
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上記がクーシュの持つギルドカードに記されたステータス
下記がクーシュ自身しか見ることの出来ないステータスである。
ランクは年2で行われる昇格試験に受かると昇格され、落ちると降格するというものだ。
ゆえに、期末テストのようなものだといえよう。
受付なのに何故戦闘向きのステータスなのかと言うと、単純に会社員と派遣社員のようなものだと追記しておこう。この話については後に述べることとする。
それでは、この少年について多少わかったであろうから物語を進めることにしよう。
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喧騒の中、ひたすら筆を動かすものがいた。
自分の世界に入っており入っており、周りのことなど気にしていない様子だ。
「クーシュ、そろそろ依頼こなしにいく時間じゃないのか?」
クーシュの同僚ガーツの声も喧騒の中かき消されていく。
ボリボリと頭を掻き、めんどくさそうにクーシュの側に寄った彼の姿に周りの人は皆「まだ始まった」とばかりに机をどかすのだった。
「さっさと仕事に戻れ文房具オタクが!!」
叫ぶと同時にクーシュの座る椅子を蹴り、胸ぐらを掴み持ち上げるのだった。
もちろん、蹴られた椅子は壁に突き刺さるだけで机などは何も被害を受けていない。
「まったく、痛いじゃないかガーツ。紙が破れたらどうしてくれるんだ」
まったく悪びれもしない彼にガーツもいらだちを覚えるのだが、周りはいつの間にか賭け事に発展していた。
「ガーツが勝つに銀貨2枚!」「クーシュに銀貨1枚!」「ガーツに・・・」「クーシュに・・・」
そうこうしてるうちに時間だけがすぎていく。
10分ほど争っただろうか。
ガチャりと扉が開く音が聞こえたのは・・。
「いい加減、仕事してくれないとサービス残業させるけどいいね?」
シーンと静まる現場。
シーンとつかみ合う2人。
苛立たしげに扉の前にたつ女性。
「仕事してきまーーす!!」
「こらまて抜けがけすんなぁぁぁ!!」
「定時までに終わらせてきなよ~」
飛び出していくクーシュ。追いかけていくガーツ。
ここでも残業は嫌だとわかる現場だったのか。はたまたこの女性が怖いだけなのか・・・。