1/3
プロローグ
穏やかな昼下がり、広場のベンチに腰掛け体を休める
周囲を見渡せば、光の矢で的当てをする人や、空中を飛び回り追いかけっこをする低学年の子たち…
といった具合に平和な日常が広がっている
200年ほど昔は、人は空を飛ばず「飛行機」という鉄の塊が空を飛んでいたらしい
「 今は自分で飛べばいいから楽なものだ」
これは魔法史の教諭が述べた一言だ
彼は今年で328歳になる、もはや生きた化石だな
時は西暦3022年
「魔法使い」の登場から約二世紀を経て、魔法使いは一般人となった
老いによる死はとうの昔に克服され、人類は不老不死を手に入れた、いわば昔の人の、理想の世界
人は空を飛び、光の凝縮、火や水の精製も可能だ
これらはすべてスクールにおいて必修科目となっている
そんな世界で俺はある噂を耳にする
ーーいまはもう使われることのない物理実験室の片隅
に、謎のマシンがあり、
それに近づいた人が姿を消したーー
「りそうのせかい」の はじまりはじまり…