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第九十天 Simple is Bestッ!

「おおおおおおッ!」

 一英がハンマーをもってつっこんでくるッ!

 信はギルティーにうちのめされて、判断ができないッ!とりあえず、桜吹雪ッ!!!

 花びらが刃となって、舞い散るッ!

「きかぬッ!レジェンドメタリックアーマーッ!!!」

 一英のボディーが銀に染まったッ!めちゃくちゃ固そうだッ!

 いや、マジで花びらの刃は一英を傷つけられないッ!

「くッ!」

 信は飛びのいて、距離を取ろうとした。

 だがしかしッ!一英はプレッシャーロイヤルローズを振り下ろさず、突き攻撃だッ!

 真紅の花が大きくなるッ!だが、信はその場をすでにはなれていて、当たらないッ!

「その光景は、とうに見たわッ!」

 一英は、ぐぐっと腕を伸ばしたッ!ハンマーの間合いからはとっくに離れているはずなのに、なぜか花の巨大化はとまらず、信を飲み込みそうだッ!!!


―――柄が伸びたッ!!??


 信は、刀でギリ受け止めた。しかし、巨大なプレッシャーロイヤルローズの花の勢いはすさまじく、木にたたきつけられた

「ごはぁッ!」


「油断が過ぎる・・・。いつわたしが遠距離攻撃を持たないと言った」

「・・・今のはききましたよ」

 信が体を起こした

「これが最後通告だ。次は本気で殺す。貴殿も力を出さぬままでは、死ぬに死に切れぬだろう?そろそろ本気を出すことだ」

「降参します」

「なんだとッ!?」

 信の発言に、一英はめちゃくちゃびっくりしたッ!どころか、この林全体がどよめいたようだったッ!もっとも御聖院の歴史の中で、降参すると言った者は信をおいて他にいなかったであろう。なんせ、200年に一度しか挑めない大試合。その勝負を投げる者などいるはずがなかった。どこかにひそんでいる光良やその他大勢もびっくりしたに違いない。

「貴殿、寺の者としてのプライドはないのかッ?!戦士としての意地はどうしたッ?!いや、子として父の悲願を成し遂げようという気概はないのかッ!!!」

「わたしはわたしです。父ではありません。あなたがた御聖院にも興味はないし、あなたが魔でない以上殺す理由もない。ですから、降参すると言っているのです」

「まるで、わたしが魔なら殺せるとでも言わんばかりだな」

「そうとらえてもらっても、かまいませんよ」


「ホウ・・・まあ、それはいいだろう。だが、降参ッ!それは無理だ。御聖院の果し合いは、どちらかが死ぬまでを決着とする。つまり、貴殿がわたしを殺すか、わたしに貴殿が殺されるかの二つしかない。逃げれば、都中の戦士が貴殿の命を狙うであろう。御聖院に貴殿の父が挑戦状を送り付けた時点で、貴殿の運命はすでに決まっているのだッ!さぁ、死合おうッ!先ほど叩いた大口、証明してみせよッ!」

 一英は、両腕をひろげて、殺る気にあふれているッ!

「己が思い通りにしたくば、力を以て捻じ伏せる事だッ!!!」


―――大聖天様のように・・・自由に・・・


 と、信は目を閉じて、空をあおいだ。張り詰める殺気すら無視して、涼しい夜風を肌に感じた。

 周りからグダグダ言われるくらいであきらめるなら、やめちまえ。その通りだ。

 だが、あきらめたくないッ!父だってそうしたのだッ!


「だから、降参しますよ」

「まだ、言うかッ!この親不孝者がああああああああッ!!!!」

 プレッシャーロイヤルローズを鞭のようにしならせて、信を襲った。

 しかし、信は目を見開き、しっかりと覚醒していたッ!よゆうでよけてるッ!

「フッフッフ・・・己が思い通りにしたくば、力を以て捻じ伏せろ・・・。あなたの言う通りですよ。だから、わたしは、あなたを力で捻じ伏せて、降参させていただくッ!!!」

 バラの花が信に当たるかと思った刹那ッ!信の姿はかすんでぼやけ、桜の花びらに化けたッ!!!あら不思議ッ!

「なにぃッ!!!??」

「桜華・花霞・・・」

 出たッ!信の新技だッ!


―――桜華・花霞。つまりは桜を使った変わり身の術。相手は勘違いする


「いつからわたしが遠くにいると勘違いしてたんですか?フッフッフ」

 信はよゆうのキラーズスマイルッ!

「ぐぬッ!おのれぃッ!」

 一英はハンマーを振り回した。しかし、信は片手にした刀であっさりと受け止めて、微動だにしなかったッ!!!

「馬鹿なッ!わたしの一撃を受け止めただとッ?!しかも片手でッ!?」

「おどろくほどのことじゃありませんよ。あなたが非力なだけです」


 いや、物理的におかしかった。しかし、そんな非常識を可能にしているのは、圧倒的な内からあふれる聖なる気だった。信からあふれるスーパーパワーが、プレッシャーロイヤルローズのパワーを押しのけ、強固に支えているのだッ!

 人間の筋力、物理法則すら超越してしまうほどの力を、信は数々の死闘によって体得していたッ!


「だが、ふところに入るとは愚かな奴よッ!棘の餌食となるがいいッ!!!」

「その前にわたしがあなたを斬るッ!」

 信が横なぎの姿勢に入るッ!

「無駄なことッ!わたしには、レジェンドメタ・・・おごぉッ!」

 一英は腹をおさえて、うずくまった。銀色のボディは固い。だがしかしッ!信のパワーがこもった一撃はいともたやすくぶち破った。

「安心してください。峰うちですから」

 一英はそのまま気絶して、ずずぅんんんと崩れた。


 パチパチパチパチ

「見事じゃ」

 と、光良が拍手しながら闇から現れた。

「そなたこそ、一を名乗るにふさわしい。桜の使い手、一桜の誕生じゃッ!さあ、とどめをさせぃッ!」

「いえ、降参しますから」

「降参などというものはない。これは殺し合い。終わりは死をもってでしかありえない。そなたは自由が欲しいのだろう?ならば、殺せッ!さすれば、そなたは自由だ」

「戦いはここで終わりです。わたしは降参します」

「・・・強情をはるのも大概にのぅ。我々、御聖院に逆らえば、そなたは未来永劫命を狙われることになる。死におびえ、逃げ惑う日々。まさに生き地獄ッ!そなたとて、そうはなりたくなかろう?」

「かまいませんよ。狙いたければ、いくらでもわたしを狙ったらいい。ただし、今後わたしの行く手を阻む者は、魔に与する者として、容赦なく斬ります」

 光良は眉をぴくくとさせた。しかし、ニヤリとわらった

「吠えたな!・・・良かろう。そなたがこの御聖院を敵に回して、どこまで生き延びれるか。この光良、見届けてやろうッ!ゆめゆめ安息の日が訪れる等とは思わぬことだッ!ホッホッホ」


 光良は闇に消えた。

 辺りの緊張も消えて、一英もいなくなっていた。

 それにしても、とんでもないことになってしまったッ!


―――しかしそれでも、自由は守れた


 信は不安をにじませながらも、一筋の希望にほほ笑んだ

 黒い杉林は静かに揺れるだけだった


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