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第八十七天 竜牙、御昼食ッ!朝霧、二往復ッ!

「ただいま戻りました」

 と、ふすまを開けて朝霧が入ってきたのは七時前だった。

 竜牙は床の間を前に寝転がっていた。

「騒々しいな」

 竜牙はイライラするぜッ!

 それというのも、紙袋がガサガサとすれあってうるさかったのだ。

「朝霧、買い物付き合ってくれてありがとう」

 と、明江は竜牙を気にする風もなく言って、そしてッ!なんという事でしょうッ!朝霧の方に不意打ちキスをくらわしたッ!

 竜牙の方を見ていた朝霧は、頬の見えない柔らかい感触におどろいて、ぼっとした。

 明江は軽い恥ずかしさからか、隣の部屋へ駆けていった。

 竜牙は背を向けたままで、朝霧はほっとした。

「え、あッ!竜牙、肩の傷はどうですか?」

「ずいぶんと楽しいショッピングだったみたいだな」

 竜牙はニヤケながら振り向いた

「あ・・・まあ」

 と、朝霧は唇の衝撃にしばられているッ!!!

「なぁに、ビビってんだ?」

「いや、なんでもありません」

「今度は俺の昼食に付き合いな」

「まだいただいていないのですか?」

「あん?ここでは食った。だが、たりねぇ」

 朝霧はわらった

「いくぞ」

「はい」

 竜牙に朝霧はお供した。


 山間から下りてきた河はとても広く清らかさに満ちていて、街中の雑踏でありながら、夕暮れののどかさが強烈に迫ってきたッ!この都が持つ不思議なパワーであるッ!

「親子丼が食いたいぜ」

 竜牙はとつぜんだった。

「親子丼ッ!?」

「電車にのるぞ」

 と、ローカル線にのりこむ

 そうして、どこへ行こうかと考えても、二人とも地元じゃないから、よくわかんなくて、やっぱりショッピングした町にきてしまったッ!ご旅行は計画的にッ!であるッ!

 竜牙達は、河をわたらず、パフェの通りを歩いて、近所を散策した。

 やっぱり和食系が多かった。だから、親子丼もよゆうで発見ッ!


「親子丼二丁ッ!」

「へい、1960円ッ!」


「わたしもですかッ!?」

 朝霧にも親子丼がおかれて、とまどった

「てめぇは、俺の親子丼が食えねぇってのか?」

「いえ、よろこんでッ!!!」

 ビビって、朝霧は箸をとったッ!

「くぅッ!山椒がチリッと辛くてうまいぜッ!」

 竜牙は感動した。このあたりの山椒はマジ絶品ッ!っていうか、山椒屋があるくらいの本気っぷりッ!お土産に買ったし

 そこにとろとろの卵がまざりあって、ほどよい弾力のチキンである。もちろん国産ッ!これが白いご飯にボディプレスで、最強のハーモニーが丼ぶりという狭いリングにおさまっているッ!!!

 この凝縮された世界こそが、丼ぶり物の最強たるゆえんなのであろう


 これにはさすがに朝霧も感動のダメージであるッ!

 じゅるじゅると夢中でご飯をかきこみながら、

「肩の傷はもうよくなったぜ。やっぱり聖地にいれば、傷の治りも早いぜ」

「そうでしたか。それは良かった」

「アイツの腕も大丈夫そうだ。飛んできた矢を見事にとってたぜ。障子は破れたがな」

「柱には刺さらなかったのですか?それならば、やりますね」

「ハッ!俺なら、障子も破らせねぇ」

 竜牙はきれいな丼ぶりを置いて、ほうじ茶タイムである


「最近、明江さんとあまり口をきいてないみたいですね」

「あん?俺はもともとあいつと話すことなんざ、なにもねぇよ。そもそも世話係はてめぇだろうが」

「たしかにそうですが、今日も明江さんは竜牙のことを気にしてました。やっぱり竜牙のことが好きなんですよ」

「ホゥ・・・てめぇがキスされたのにか?」

「・・・見えていたんですか」

 朝霧は恥ずかしくなった

「俺を誰だと思っていやがる」

「いや、わたしを好きなのとは違いますね。竜牙にヤキモチをやいてほしいんです。明江さんは、好きな人が自分を見ていてほしいんでしょう」

「そんなこと俺の知ったことじゃねぇよ。俺は俺の見たいものを見るぜ」

 竜牙はてきとうな方向を見た。目をそらした感じ

「まったく素直じゃないんですね」

「ああんッ!?どうやら、てめぇ殺されてぇみたいだな」

「いやいやいやいや、ごめんなさい許してください。ただわたしは気になっているだけですよ。明江さんも竜牙も態度が明らかにおかしい」

「なにがおかしいんだよ」

「今日だって竜牙をショッピングに誘わなかったじゃありませんかッ!」

「ハハハッ!てめぇのがおかしいぜッ!さっきヤキモチがなんとかって自分で言ってたろうが」

「好きな人とやっと一緒にいられるチャンスなのに、いなくなる人がありますかッ!」

「それくらいヤキモチ焼かせたいんじゃねぇのか?知るかよ」

「・・・あの酔っ払って帰ってきた夜にいったいなにがあったんですか?」


 竜牙はとつぜんのことに天井を見た。店内はざわざわとさわがしく、やかましさだけがやたらめったら気になる

 裏切り者とののしられたあの夜・・・。朝霧はどこまで知っているのだろうか。

 かつて聖天だった虎麗は、魔に染まり黒王と名乗った。

 あの邪悪なパワーは凶悪だった。

 虎麗に対しての思い出は聖天の決意をゆるがすものではなかったが、だがしかも、五神武を持っているがために、竜牙に勝ち目はなかったのだった

 黙って見逃した感じに明江と信には見えたかもしれないが、よく言えば、戦略的撤退なのだッ!!!

 しかし、魔は即斬るッ!それが聖天の掟である。

 大聖天は聖天の中でも頂点に君臨する存在。どんな状況であれ、たとえ勝てないとわかっていたとしても、負けを認めるということは決してあってはならない。それが大聖天の背負う宿命と竜牙は考えていた。


 朝霧の失望を買ってでも、彼の仲間への思いやりに応えて、その真実を話すべきだろうかと、竜牙はこの刹那に考えた

 戦略的撤退といえば、彼のことだ。そこは理解してくれるかもしれない。

 しかし、虎麗とのかつての仲から、手加減をした。その疑いをなくすことはできないだろう。


「明江さんがひどいことを言ってしまったのは聞いています。しかし、そこまでで彼女はなにも話してくれませんでした」

「そうか」

 朝霧は予想を裏切ってはるかに真実から遠いようで、竜牙はほっとした

「竜牙、何かがあったのでしょう?」

「・・・なにもねぇよ。っつかよ、酔っ払いに言われたくらいで傷つくほど、俺はガラスじゃねぇぜ?ハハハッ!」

「・・・そうですか」

 朝霧はへこんだ表情だッ!

「そろそろ帰るぜ」


「朝霧よ」

 帰りの電車で竜牙は言った

「はい」

「もし、俺が魔だったとしたら、どうする?」

「魔ッ!?」

 朝霧はおどろいた

「ああ・・・。俺の正体が魔だったらということだ」

「知れたこと、斬るまでです」

 朝霧はきっぱりと竜牙を見て言った

 そのかっこよさと、イケメンが合わさって、フレッシュだ

「フン・・・」

 竜牙は満足げなスマイルで、外を見た。

 しずかな家たちのささやかな明かりが広がっていた。



弱いので、改造

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