第八天 なんですか、これ?
「なんですか?これ」
男は言った。少年のような声の人だ。
「アルマーニです」
「アルマーニとは?」
男は紙袋を拾った。
「ブランドです」
明江は膝を払いながら立ち上がった。
夜の横断歩道は赤いランプが点滅していた。ピカピカまぶしい。男の左頬はピカピカ赤く点滅していた。しゅっとしたすっきりした顎で少年は美しい。
「はい」
とたちあがった明江に袋をさしだした。
「ありがとう」
明江は受け取った。
「少し歩きましょうか」
とおとこは誘った。別に怪しいようすはない。少年なのだ。明江は素直に
「はい」
とお答えした。
街中は静かに静まり返っていた。冷たさは肌寒い秋の昼間に清流の中に体をひたすような寒さだった。
自然と体が近くなってしまう
「そういえば、さきほどは何をしていたんです?」
「足をくじいてました」
と明江はうそをついた。
「なるほど。私には誰かがいっしょにいたように見えたんですがね」
「見てたんですかッ!」
明江は驚いた。赤くなった。
「ハハハッ!」
「それはなんなんですか?」
「だからアルマーニです」
「なんですか?それ」
「ブランドです」
「なるほど」
男は歩いていたら、ふっと人にぶつかった。スーツのおっさんがすげぇ嫌そうな顔をした。マジでむかつく顔だ。
「おっと・・・」
と男はつまずくような声をあげた。
「大丈夫ですか!」
「ああ、大丈夫。僕はちょっと不自由なんですよ」
と頭をおさえてうずくまる。
「えええッ?!」
明江は困った。
「ちょっとどこかによりましょう」
明江たちは喫茶店にはいった。男は松坂牛のスパゲッティを注文した。
「おいしいですね。松坂牛」
男は満面の笑みをうかべて、うまそうに食べた。
明江はそれをだまって見つめながら、
「大丈夫ですか?」
と心配そうだった。頭をおさえてうずくまるなんて尋常じゃない
「あの、それなんなんですか?」
男は視線をいっしんにむけて言った。
「あの、あ。これ?」
「そうそれです」
「だからブランドです」
「いくらなんですか?」
「50万です」
「ぎょえ~」
男はスパゲッティを吹きだした。
「きたなっ」
明江は防御した。
「突然ですが、私は神です」
男はまじめ腐ったかおで言った。
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