第五十七天 黒き再会
「それでは、行ってまいります」
朝霧はGMRの原料、ダークグリーンパウダーをリュックでしょった。
「気をつけてね」
明江が心配そうな顔だ。ここから、西の端の神社まではかなりある。
「わたしを誰だと思ってるんですか。こんなのちょちょいのちょいですよ」
と、ニコニコな朝霧である。その笑顔は本当に優しくて安心する。
「ではッ!」
しゅたっと、空へと消えた。
なんだか、静かになった気がしたけど、それはさびしいからだろう。ここは地下鉄のコインロッカーである。ざわざわうるさい。
灰色のスーツに純白のマスクをして、信者の行進が家路を急いでいる。隊列はおそまつである。みにくいッ!
「竜牙ぁ。おなかすいたぁ」
明江はいつも通りだ。
「そういえば、もう夕食の時間ですね」
「フン・・・食べるしかあるまい」
竜牙は歩き出した。首都の迷宮ははげしくいりくんで、人を惑わせる。
「ぷはぁッ!」
と竜牙たちが地上の息を吸ったのは、駅前のタクシーが集まってるところの先のビルだった。
「駅から出たと思ったら、デパートから出てたぜ・・・」
竜牙はわらった。なんだかおかしかった。
「どこで食べましょう?」
信が竜牙にたよりきりだ。なんてったって、見回しても360度がビルなのだから、そのうち目を回して死にそうである。これにはさすがの竜牙も勝ち目がなかった。
「フン・・・歩き出さなきゃ始まらないぜ。俺たちのシャングリラはよぉ」
竜牙はてきとうにいく。
「いらっしゃいませ。大トロいっちょうッ!」
「へい!大トロッ!」
「うめぇッ!こんな大都会のくせにうめぇッ!」
竜牙はマジでびびった。コンクリートから生まれた魚くらいに思っていたら、予想をはるかにぶっちぎっていた。
「・・・バカな・・・寿司がこれほどとは・・・」
山の中が地元の信はマジをこえて、白髪になる勢いでビビっている。
「そんなにッ?!」
と明江は当たり前のようで、三者それぞれ違ったリアクションだった。
ウェイトレスはいそがしく丁寧に動いて、しかもキレイ。窓をみれば、全面スターダストで、スカイツリーも丸見え。マジ高級。
そして、周りにいる客もマジ高級服でしゃれている。上品すぎて、竜牙たちはマジ空気読めてない感じだった。
竜牙や信は、そんな精神攻撃にやられるほど、やわではないが、明江はこれでも少しは空気が読める人だから、人の視線がちょっと突き刺さってくるのが、気になってはいた。
―――だがしかしッ!
突き刺さる視線がちょっとなのは、たしかなる事実だった。なぜなら、そこに場違いな奴がもう一人現れたのだ。
黒いライダースーツで全身を包んだシルバーヘアの女だった。その銀は神々しくて白髪のような色あせた感じはなく、聖必である。彼女は長いそれを後ろにまとめて、高貴なるポニーだった。
「いらっしゃ・・・」
と、駆け寄ってきた店員を、手のひらですっと止めると、そのスーツからくっきりと浮かび上がるナイスバディで、店内を虜にした。いやッ!ていうか、こっちに向かってきているッ!明江はビビった。
ちょっとはなれたところで飯を食っていたカップルの男はその女に思わず顔をあげて、彼女にひっぱたかれた。
だがしかし、彼氏が見つめてしまうのも無理はない。女のあたしでさえ夢中になってしまうのだから・・・。
女は竜牙達のテーブルまでやってきた。
「竜牙さん・・・お久しぶりです」
と、頭を下げた
「あ・・・ッ!!?!??!」
寿司を食べながら、なんとなく顔を上げた竜牙はそこでかたまった。停止ボタン
かなりビビっている。女はしかし、そのままなにも言わずに店内を出ていった。
空気がふっとゆるんで、
「なに?今の?」
明江もほっとした。
「ライダーなのにかなり刺激的でした」
信も思わず虜にされかかったようだ。
竜牙は何も言わなかった。
「竜牙に挨拶してたみたいだけど、友達?」
「あ・・・ああ」
とビビりを隠せないッ!もしかして、竜牙の元カノッ!?と明江はピピンときちゃった。
「ふ~ん」
「いや・・・、なんでもないんだがな」
信は寿司にもどった。なんとなく見てはいけない気がした。こういう空気は読める。
「ちょっと夜風にあたってくるぜ」
竜牙は立ち上がった。わたしもッと明江は言いかけたが、元カノではッ?!と頭によぎって止まった。
廊下のいきどまりのエレベイターの前に女は立っていた。
「てめぇ・・・なんできやがったッ!虎麗ッ!」
竜牙は歯をギリリとさせて、にらみつけた。マジの怒りである
「ハッ!貴様こそ、まだ女のケツを追い回してるのか。しかも五神武すら持っていないと来ている」
女はバカにした。そして、竜牙に向かってきた。
「殺る気かよ」
竜牙はかまえた。しかし、虎麗はかまえないし、ただ歩いてくる。そのよゆうっぷりに竜牙は圧倒された。そして、目の前に立たれたかと思うと、胸元のジッパーを下げたッ!
「ッ!?!!?!?!!!?!?!?」
竜牙はマジでチビッたッ!
虎麗が胸元から取り出したのは、なんと五神武の一つだったッ!五神武は、世界で五つしかない大聖天だけが持つことを許される聖剣ッ!いや、逆に五神武を手にした者が、大聖天と呼ばれる。つまり、大聖天すなわち五神武なのであるッ!その代名詞とも言えるそれを彼女が手にしているはずがなかったッ!
虎麗が五神武をつかむと、黒き闇のオーラがほどばしったッ!あまりにもすさまじいダークパワーで竜牙は全身を串刺しにされるようだった。
しかもよく見たら、完全なる五神武ではないッ!手をつかむところになにか、黒い気持ち悪いのがついてるッ!闇に侵されているのだッ!
竜牙と虎麗が立っていたのは店前だった。
信たちはその二人を見ていたが、突如立ち上ったすさまじいダークパワーに目をびっくりした。もしこのパワーを信にむけられたら、ただちに死ぬッ!なにもせずに死ぬッ!それくらいだッ!
「なにあれッ!?」
すごすぎて、邪臭などがわからない明江にもその黒い力の流れははっきりと目に見えた
「邪臭・・・?」
信に小声で聞いた。
「いや・・・そんなもんじゃない。あれは・・・あいつは・・・世界の絶望ッ!」
信は青ざめた。
虎麗が手をはなすと、黒いダークパワーはすぐにひっこんだ。
「・・・ハッ!」
竜牙は息苦しさからやっと解放されて、ふらついた。完全にオーラにやられていたッ!
「て、てめぇ・・・どこでそれをッ!?」
「それがわからぬ貴様ではなかろう」
「ぐっ!」
つまりは、大聖天の一人が殺されたということだった。
「・・・平和ボケした貴様なぞ殺す価値もない。五神武を手に取れ。そのうえで、貴様を血祭りにあげてやろう。真の最強が誰だったのかをその身に刻んでくれるわッ!ハッハッハ!」
虎麗はすれちがうように歩き出した。
竜牙はふりかえれなかった。今度といわず、今ここで殺してやるとは言えなかった。やればやられるッ!
「虎麗ッ!」
竜牙はなんとか頑張って、声をだした。
虎麗は立ち止った。
「・・・我が名は黒王ッ!世界を滅ぼす、黒聖天であるッ!」
黒王は歩き出した。
竜牙は動けなかった。
新しいことに挑戦してみましたッ!
名前がおかしくなってたので修正
虎麗と書いて、コレイと読みます。




