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第五十五天 昼テレビ

 大都会のコンクリートジャングルの中に、リアルジャングルがあった。

 そこは神聖なる建物があり、この聖必な空間の隠し部屋に竜牙達はくつろいでいた。


「昨夜はよく眠れましたか?」

 深夜にやってきたのに入れてくれた、神主が挨拶である。

「ええ。夜中なのにご迷惑をおかけしました」

 と、白桜寺の信が応対であるッ!神と仏の融合ッ!

「いえいえいえいえ、あなた方が来てくれたおかげで、森も喜んでおります。こちらこそ、お礼を申し上げたく存じます」

 神主は凡人だった。しかし、聖なるパワーを読み取る力はあって、夜中に強い聖なるパワーの呼びかけにめざめて、いらっしゃいしたのだった。


「しかしここの森は強力なバリアですね。すごすぎて一発でわかりましたよ」

 朝霧が感心した

「ええ、この欲望うずまく大都会の強大なダークパワーにのまれないためには、これくらい凶悪なレベルに上げないと、もたないんですよ」

「・・・恐ろしきは大都会ッ・・・」

「フン・・・少しずつ食われていってるくせによく言うぜ」

 竜牙はお見通しであるッ!

「さすがッ!よくわかりますねッ!」

「・・・表で、気色の悪い魔がガシガシかじりついてりゃ、誰でもわかるぜ」

「聖なるパワーにかじりつく魔ですか?それはどういうことです?」

 信はおどろいた。聖なるパワーに、邪悪なるものはちかづけないと教わり信じていたからだ

「魔ってのは、自分の方がつええってわかると、あらゆるものを破壊し始めるのさ。そしてそこには何者の存在すらのこらねぇ。残るのは魔とその奴隷だけさ」

「つまり、この地はヤバいことになりつつある・・・と?」


「バリアが壊され始めたのは、ここ最近ですよ。なんか空気が悪くなった日から、ずっと少しずつですが、けずりとられてます」

 金若のGMRが世に広まってからのことなのだ、と朝霧はピピっときた。

 そんだけ、奴らの力は強まっていた。さすがは製造工場のある本拠地だッ!

「ま・・・あまりここから出ないことだ。命がおしいならな」

「はい。それでは私はこれで」

 神主はドア閉めて帰った。


「えっと、ここもヤバくなってきてるの?」

 竜牙たちが四人になってから、明江は聞いた。明江はよくわかってなかった。

「そうですね。魔のパワーがそれだけ強大になってきたということです」

「てめぇ、かってに外出すんじゃねぇぞ」

 竜牙はあらかじめ注意した。

「しかし、これではわれわれもやたらに動けませんね」

 信はダークなグリーンの粉末の入ったボックスを見ながら言った。


 ダークなグリーンボックスは白く薄い聖五芒結界によって、封印されていた。それほど強い封印ではない。強い封印をかければ、それだけ聖なるパワーが増して、奴らに気づかれるからだ。少し弱めて、そこらへんと同じくらいの邪臭にしてカメレオンみたいにしている。こういう天才的な細かさはマジで信の得意分野だ


「とりあえず、わたしは邪臭の濃くなる夕方に、その凶悪な粉を西の山の友達のところに持ち込んでこようかと思います」

 朝霧は言った。手元に置いてて奪われたら、まためんどくさい。

「ああ・・・たのんだぜ」

「え?ちょっとちょっと、朝霧一人でいくの?」

「はい」

 朝霧は普通に答える

「一人でなんて、無茶よッ!めちゃくちゃヤバいんでしょッ!?」

 明江はあせった。

「てめぇに持たせるよりは、ヤバくないぜ。ハハハ!」

 竜牙は黒い笑いだ。まあ、朝霧ならこれくらい、朝飯前である。

 しかしなんとなくヤバさが極限状態なのは、竜牙や信の顔から、明江は読み取っていて、それがなにげない不安の穴に転落するようだった。

 しかしそこは中聖天。冷静に見ればよゆうだッ!


「あッ!あれッ!?わたしたちッ!」

 明江がふと指さしたのは、テレビだッ!


 ぱんぱんぱ~んぱらららら~ん♪じゃ~んじゃ~んじゃ~んッ!


「お昼のワイドショーです」

 女が深刻な顔して出てきた。今日はちゃんとスーツ着てる

「先日未明、大きな工場で大規模テロがありました。工場はあの今大人気のジュースGMRの製造工場。工場の監視カメラにうつった犯人たちがこちらです」

 竜牙たちがうつる

「工員を皆殺しという残念な犯行。今日は弁護士にして、東京名誉教授の勝木さんに来ていただきました。よろしくおねがいします」

「よろしくおねがいします」

 隣にすわってたバーコード禿がおじぎして、すげぇバーコード


「勝木さん、今回の犯行、どのようにお考えでしょうか?」

「そうですね。たぶんライバル会社の本気でしょう。GMRがあまりにおいしくて嫉妬しているんです」

「嫉妬?それはつまり、怨恨?」

「その線は捨てきれんでしょうなぁ」

「弁護士からしては、これはどうなんでしょうか?」

「まあ、死刑ですね」

「死刑ッ!?」

 女がびっくりした

「人が死んでるし、これは死刑ですね。パーフェクトに」

 バーコードおじさんは、自信いっぱいだッ!さすがは、弁護士にして東京名誉教授


「死刑ッ!?」

 明江もおどろいたッ!

「わたしたち、死刑だってッ!どうしようッ!?」

「ビビってんのか?」

 竜牙はよゆう。ほかもよゆう。

「ビビるにきまってるでしょッ!死刑だよ死刑!わたしたち、人を殺してしまったのよッ!人生の道からはずれてしまったのだわッ!」

「フン・・・あいつらの目をよく見ろ」

「目?」

 明江はテレビを見た。二人はびみょうに白目むいてる

「彼らはGMRに汚染されている」

 信はクールに言った。

「とんだ茶番だぜ」

「でも、東京名誉教授が死刑って言ってるんだよッ!死刑なんでしょッ!?」

「ハッ!つかまれば、なにもしてなくたっておれたちは死刑だぜ。こんな町ではな」

 明江は泣き崩れた

「およめにいけなぁぁぁぁぁぁぁいッ!」

 信は嫌な顔をした。こういうところが本当にめんどくさい

 しかし、東京名誉教授からの死刑宣告をテレビからやられて、とつぜんの指名手配に絶望する明江の気持ちもわからんでもなかった。世間を敵に回して戦える女子高生はそういない


「明江さん。大丈夫ですよ。かれらは魔に乗っ取られているんです。われわれを悪党にしたてあげて、身動きをとれなくするのが、奴らの狙いなんですよ」

「・・・本当に?私たち、人殺しちゃったんだよ。全国指名手配なんだよッ!」

「ごちゃごちゃうるせぇな。てめぇのブサイクな顔なんざ、誰も見ちゃいねぇよ。・・・それより遊園地いくぞ」

「・・・えッ!?」

 これには朝霧と信も声をあげて、三人がハーモニー

「ああん?気晴らしだよッ!ハハハッ!」

「正気ですかッ!?奴らはそこらじゅうにうようよなんですよッ!?」

「だから、言ったろ?他人のブサイクな顔なんざ、誰も見ちゃいねぇんだよ」

「フフフ・・・竜牙らしい」

 朝霧は涼しく笑った。過去がフラッシュバック

「竜牙、あなたは今まで何度お尋ね者にされましたか?」

 たわむれに尋ねた

「23回だぜ」

「さすがですね。わたしは8回です」

 この二人はぴんぴんしているッ!だから、指名手配くらいよゆうッ!

 明江や信の理解を超えた男たちなのだったッ!


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