第五十三天 オペレーター室
「78番、79番がやられました」
キリッとしたお姉さんがパソコンをかたかたさせながら言った。モニターがたくさんあって、そこには竜牙とか信がうつっている。
「ホゥ・・・それで、手傷は負わせたのか?」
ロン毛スーツの男が聞いた。スーツはもちろんアルマーニ
「残念ながら・・・。しかし攻撃はちょっとだけよけました」
お姉さんが忙しそうにカタカタさせた。モニターに超ゆっくりな竜牙とかがうつってる。それは見事に紙一重に回避している映像だ。
「フム・・・体がついていかなかったか」
スーツの男は腕をくんで、やられたのに満足そうだ。
「どうです?金田さん。RTSSCの性能は」
「ウフフフ・・・けっこうですな」
闇の影から現れたのは、なんと金若だったッ!金若が金田さんのフリしてるッ!
「この、RTSSC。Real Time Super Slow Cameraは脳とスーパースローなカメラを強くくっつけることで、リアルタイムでスーパースローに見えるのです。つまり、いかなる攻撃もゆっくりに見える最強の目ッ!ま、今回は奴らの勝利に終わったが、体まで強化した奴に出くわした次こそ、奴らの最後よ」
「ウフフフ・・・まるで同じ人間とは思えない悪党な発言ですな」
金若は人間のフリまでしてるッ!恐るべき演技力ッ!
「町中を虜にしてやまないGMRをわが社にもちこんだあなたに言われる筋合いはありませんよ。ククク」
完全に悪代官のやりとり。
「この世界は人間のものです。小聖天だかなんだか知らないが、わけのわからん奴にわたしのビジネスを邪魔されてたまるかッ!」
「ウフフフ。そのとおり!」
「わたしの商売の邪魔をするやつは、神だろうと悪魔だろうと抹殺するッ!」
社長ははないきが荒い。これまでも、工場の邪臭をかぎつけてやってきた小聖天を、RTSSCを装備した兵士で殺してきたのだった。
もちろん、社長は邪臭をかぎつけることはできない。GMRの邪臭が原因で、工場を小聖天が襲撃してくる事も知らない。ただGMRが原因だろうとはなんとなく思ってた。しかし、GMRが危険だろうとなんであろうと、合法で儲けられればそれでいい、というのが彼の考えであった。
「時に金田君、君のすすめたGMRは本当によく売れるな。笑いがとまらんぞ」
「ウフフフ・・・それはありがたい」
「やはり、秘密はあのダークでグリーンな粉末か?」
「その通り。ですが、製法を教えることはできません。企業秘密ですから」
金若はニヤリと笑う。
「10億でどうだ?わたしはこのジュースで覇権をとるのよッ!」
「残念ながら・・・技術はお売りできません。ですが、社長の会社でこれからも売らせてもらいますよ」
「・・・フム、まあ良かろう」
「わたしのジュースと、あなたの最先端兵器で、われわれは世界を牛耳るのですよ」
「ククク」
「ところで社長は、ジュースは飲まれないのですか?自分の会社の製品くらい知っておくべきだと思うのですがね」
「金田君・・・わたしは危険な橋は渡らない主義でねぇ。GMRはその・・・アレなんだろう?」
社長は下品な笑いをした。完全にヤバいものだと知っているッ!
「ウフフフ・・・。それは飲んでみれば、わかることです」
「遠慮しとくよ」
モニタールームの後ろはガラス張りで、大都会で明かりが天の川だった。エレクトロハイム社の高いビルは庶民を見くだすかのようだ。このビルはまだまだ高くのびるであろう・・・社長の欲がついえるその日まで・・・。
「では、わたしはここらへんで失礼しますよ」
「こんな時間にどこへ?」
「ウフフフ・・・ちょっとした深夜のサプライズですよ」
「ホゥ・・・」
金若は闇へと溶けていった。
モニターの明かりが闇に四角く浮かんで当たりの闇がマックスだった。




