第四十九天 馬鹿野郎~ッ!
「馬鹿野郎~ッ!」
ホテルに帰ってくるなり、明江は竜牙にぶたれた。
「いった~いッ!なにするのよッ!」
明江もキレた。そりゃ、入ってきていきなり殴られれば、気に食わない。
「てめぇ、外に出るなと言っただろうが!」
「むぐぐッ」
次の竜牙の正論返しには明江は何も言えない。約束をやぶったのはまぎれもなく明江であることにちがいはないのだから。
「ッ!!・・・てめぇ、魔と接触しやがったな?」
「え?」
ババアのことは言っていない。
「てめぇの体から、臭ぇ魔の息がただよってくんだよ」
「なんだって!?」
信はおどろいて、朝霧をみたッ!朝霧も口をおさえて、うんうんしたッ!
「・・・でもッ!いい人だったよ。わたしは殺されなかったッ!」
「ああん?じゃあ、てめぇこれはどういうことなんだよッ!」
そういうと、竜牙は窓のカーテンをばっと開けた。
窓にうつる、一面の黒い影たち。それがうごめいて、俺たちを狙っているではないかッ!
邪臭はホテルをつつみこんでいる。
―――まさにッ!絶・対・包・囲ッ!
「明江さん、手に持ってるのはなんです?」
朝霧は明江の手を指さした。
「貸せッ!」
竜牙はジュースの缶をふんだくった。そして、くんくんした。
「邪臭がしやがるぜ・・・」
「もしかして、毒物ッ!?」
信がおどろいた
「なるほど。これこそが悪の元凶ッ!」
「おそらくはこれを持ち帰らせて、全員に飲ませようという作戦ッ!もしくは、明江さんに飲ませて、魔になって、絶望したわれわれの心のすきまをつくという恐ろしい二回攻撃ッ!」
「なんと、ずるいッ!」
「うそよッ!ババアはそんな人じゃなかったッ!」
明江は涙ぐんだ。そんなことをするなら、わたしをつかまえればよかったんだッ!
「フン・・・だが、邪臭の正体がわかったぜ」
竜牙はニヤニヤして、窓際に立った。手に持ったジュースをぶん投げた。
「ウォォォォォォォォォンッ!」
としたから声が上がった。落ちてきたものにむらがった。
「ジュースに狂ってるッ!?」
「あいつらはあのジュースで頭をやられちまったのさ」
竜牙は頭を指さした。
そこらへんに臭う邪臭は、ジュースを飲んだ人間どもの吐く息だったのだッ!
つまり、この町の人はいつのまにか魔に変えられ、魔だけの町になっていたのだッ!
―――恐ろしき魔都
「ちッ!どうやら気づかれてしまったぞ」
近くのビルから双眼鏡でのぞいていた魔が言った。
「問題ないな。俺はこう見えてターゲットを逃したことは一度とてない」
「それは頼もしい」
「窓から見える、あいつが大聖天か?」
「ッ!?おまえ、双眼鏡なしで見えんの?」
「俺の名は魔都一の狙撃手、ホウク。視力は5.0だ」
「・・・なんとすさまじい。いかにもあいつが大聖天だ」
「ホゥ・・・ならば、今がこの俺の最大のビッグチャンスッ!」
ホウクは気合をいれると、右手に長い槍をだした
「串刺しにしてやるぞッ!この俺のスーパーシャベリンでなッ!・・・大聖天よ、これがおまえの最後だッ!ククク」
ホウクは、肩をうしろに、ぐぐっと構えて、狙いを定めたッ!
ヤバいッ!危うし、竜牙ッ!




