第四十七天 一人ぼっち
「むにゃ?」
明江はみだれ髪にいかつい顔をして、まるで鬼だった
部屋にはだれもいなかった。
眠りすぎて、わけがわからなくなって、ぼけっとしていた。窓にかかったカーテンは朝の光でシャイニングだ
「ハッ!」
いろいろと現世に帰ってきたように思い出して、がくがくと振動した。
近づいてきた人を、自分はぶち殺してしまった。砕ける顔面、とびちる血しぶき。
とつぜんなにかにびびって、ポケットをさぐって信にもらった神木をつかんだ。それをつかんだまま、ふーふーと深呼吸である。
「あれでよかったんだわ。そうしなければ、わたしが死んでいた。わたしは悪くないッ!」
そう言い聞かせてみても、殺人の罪悪はへばりつくようで、気分がはれなかった。フラッシュバックなたびに、罪悪がふきだしてくる。頭がおかしくなって死にそう。だが死なないのは、竜牙を信じているからだッ!彼への信仰心が彼女の強い支えとなっていたッ!
竜牙のおいていった明石焼きがさめていた。
明江ははらがへったので、食った。だしが冷たいからちょっとイマイチである。だがうまい
むしゃむしゃとのんびり食った。誰か帰ってくると思った。誰も帰ってこなかった。
風呂に入って体をあらった。しかし誰も帰ってこなかった。
服をきて、ぴしぴしと服をととのえた。やはり誰も帰ってこなかった。
―――誰も帰ってこなかった。
「退屈だ~!」
とふとんにまたダイブして、じたんばたんした。
「竜牙、ヒマアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
絶叫系である。しかし正義のヒーローは現れなかった。
何をしても部屋はありのままで、カーテンの向こうはシャイニングなのだ。シャイニング・・・それは希望の光ッ?
明江はカーテンを開けた。
活発で青い空がそこにいた。
フライハイ・・・とびたちたい。
明江のハートが心から求めた
しかし、一人で外に出るな、と昨日、竜牙にきつく言われていた。
Oh、ジレンマッ!
歯を磨きながら考えよう。髪をまとめながら考えよう。と先延ばしにしているうちに、外出できる姿になってしまった。これは出るっきゃないッ!年ごろの乙女を部屋にしばりつけておくことなどできやしないのだッ!
「ちょっとくらいなら、出ても大丈夫よね」
明江は世界の扉をひらいた。
町は昨日ショッピングしたのとあまり変わらなかった。むしろ天気で人がふえてた。
ひとつのソフトクリーム食べながら、いちゃつく恋人たち。
恋話でもりあがる女子高生たち
かけずりまわる子供
風船もった着ぐるみ
ベンチによこたわるボロボロの臭いおっさん
すべてが日常で、平和そのものであった。
昨日の事件現場もそうだった
世間はおれたちに牙をむかない
臆病になっていた自分がバカみたいだ。
「昨日のことは、夢だったのかな・・・」
そんな感じにさえ、思ってしまう。マジで信じられない。
アーケードをぬけて、堀端をあるいた。
目の前の橋は飛び降りの名所である。なんだか感動ものだった。
町はどこでもにぎわっているが、しろうとの奴らは商店に夢中で、堀端をあるく人はすくなかった。
散歩しているおじさんなんかにすれちがうと、なんだかここの住民になれたような、商店街ではしゃいでる観光客とは違うんだ感がハンパない。なんだか、プロのようである。
明江は少し調子にのってきた。そして、雑踏のすきまにひそんだ堀端ののどかさに緊張はすっかり消えていた。
ツタのはった、古い喫茶店を見つけた。隠れ家のようでおしゃれなそこに明江は入った。
今日はポエミングに挑戦しました




