第四十六天 大したもんだ
「おかえりなさい、竜牙」
部屋に入ってきたドアに、朝霧が声をかけた。
ご要望にお応えして、ホテルの部屋は昨日よりグレードアップッ!
よりワイドになっている。
「無駄足だったぜッ!」
アルマーニをぬぎながら、竜牙は言った。
「西は城まで、南は隣の県まで広がってやがった。だが、どこにもいやがらねぇ。ただ、奴は海にはいねぇのは確かだ。海底からは邪臭がしなかったからな」
「なるほど・・・」
先に帰ってた信はイスに座って、足なんか組んですましてる
「てめぇはどうだったよ?信」
「わたしのところは、神聖なるバリアまでは破られてはいませんでしたが、やはり邪臭がいろんなところから、ほのかに香ってましたね。やはり、ボスは見つけられなかったです」
「そうでしたか」
朝霧は残念そうだ
「あいつはもう寝てんのかよ」
竜牙ははぁ?って思った。
まだ7時である。しかし、明江はもうベッドに横たわっていた。
「攻めないであげてください。今日は彼女にとっては大変だったでしょうから」
朝霧はやさしい。
「買い物がか?」
と竜牙はエベレスト買い物袋を見て、言う。そして、自分もお土産買ってきたんだと、ポケットから明石焼きを出した。
「いえいえいえ、魔に襲われたんですよ」
「なにッ?!」
「金若を知っているようだったのですが、奴ら口がかたくて、聞き出せませんでした」
「やはり、この邪臭は金若の仕業ッ!」
「ええ・・・。なんでも毒物をまいた・・・とか」
「毒物ッ?!」
竜牙はびっくりした
「なるほど、わかりましたよ。この邪臭の正体はつまり毒物ということですね」
信の名推理がさく裂したッ!
「邪臭が毒物ッ?!なるほど、そういうことですか」
「邪臭を放つ毒物・・・金若、えげつねぇことをしやがる」
竜牙はそう言いながら、だし汁につけて、たこ焼きを口に放り込んだ。これはウマい!
「明日は、その毒物を探しますか」
「フン・・・」
信は疲れているので、さっさと部屋に帰った。明日にそなえなくてはならない。
竜牙と朝霧は、明江の寝姿を横に、明石焼きを食べていた。
竜牙は1パック食べ終えて、明江のに手をつけたがっていた。その食いしん坊な竜牙の明江のパックを見て、朝霧はにこりとした。
「そうそう。その明江さんがね。今日はがんばったんですよ」
「ホゥ・・・」
「わたしがちょっとはなれたすきに魔が彼女を襲ったんです。それを彼女はみごとに打ち砕いたんです」
「フン・・・当たり前のことだろう」
「わたしたちにとってはね。しかし、いくら竜牙が迷わず殺れとは言っても、彼女は人間で殺しの経験もない一般ピープルですよ。なかなかやれるもんじゃありません」
「なるほど」
「わたしはビビって殺せないとふんでいたのですが、それをなんと一発で殺したんです。大変な度胸がいったでしょうね」
朝霧はお茶をのんだ。
「大したもんです」
「フン・・・てめぇがそういうなら、大したもんなんだろう。で?明江とおっぱいしたのか?」
「・・・するわけないでしょう」
殺しますよ、と朝霧は言いかけたが、土下座モンなのでやめた。
「まあ・・・けっこうなことだ」
「このコは竜牙にあこがれてますからね。それが彼女を強くしているんです」
「そのわりには、邪魔しかしないがな」
竜牙はいやみたらしくわらった。しかしそれは優しさ入りだった。
竜牙と朝霧が部屋を出たのは、夜中だった。
明江の明石焼きがぽつんとテーブルに残った。




