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第四十二天 魔都

 電車を降りても、そこがどんな場所なのか、どこにいるのか。

 地下世界を竜牙たちはあるきまわってた。

「すごい人ね」

 明江は地下世界をうねる人の黒い頭に感動した。

 しかし竜牙たちはそんなこと気にしてない。マジでピリピリしてこわい感じである。

「フン・・・まずは、中心地にいってみるか」

「そうですね」

 朝霧の顔にもよゆうがない。


 サブウェイにのって、また暗いトンネルの中をすすんでいった。先の見えない闇の中をみんなはきんちょうして走り続けた。明江だけが人の多さにびっくりしている。

「このへんだな」

 竜牙は言って、地下鉄をおりた。階段をのぼった。

 広がる高いビルたち。いきかう人々。ビルとビルを橋渡しせんばかりの看板たち。

「わぁッ!」

 明江は華やかすぎる町に声をあげた。信の地元もなかなかのところだった。だがしかし、ここはその華やかさからまたさらにとびぬけた。ぎらぎらとした本気の町だった。

 それだけに人の数もはんぱなくて、油断してると人ごみにうもれて、マシンガンに撃たれたようになる。明江はあせった。

「ねぇ!竜牙・・・買い物しよッ!」

「・・・ああん?」

 この空気で言える明江の度胸は大したもの。竜牙はキレそうである。

「せっかくこんな町にきたんだしッ!洋服とかいっぱい買いたいのッ!」

「フン・・・買い物したけりゃてめぇ一人でここに残りな。遊びに来たんじゃねぇ」

 歩き出した。朝霧と信も続いた。

「あ・・・ちょっと!待ってよッ!」

 と、明江もあわててついていった。


 斜めにも横断歩道があるゴージャスな十字路をわたって、ごちゃごちゃとしたアーケードを歩き回った。ピカピカ新入生の芸人が道端でギャグをしている。

「ちッ!邪魔くせぇ」

 竜牙はむかついた。

 しかし、商店がなくなるにつれて、人も少なくなって、ようやく快適になった。

「竜牙、どこまでいくの~?」

 と今度は明江が不満爆発である。歩き疲れたっぽい

「うるせぇ。ついたぜ」

 竜牙がちょうど足をとめた。

「なに?!なに?!ここなんなの?」

 目の前にあるのは、うすぐらいビルのジャングルの中にある死んだような倉庫だった。存在感がまるでない。

「しかし、おかしいな」

「なにがでしょうか?」

 臭いにどんかんな信が言った。

「少しでも濃い場所と歩いてきたもんだが、マジで少しずつ濃くなるだけで、おまけにここにはなんの気配も感じねぇ」

「たしかに変ですね。これだけ広範囲に邪臭をまきちらす悪鬼ならば、ちかづいただけでもそうとうなもののはず・・・。逃げられたんでしょうか?」

「動いてりゃ、おれのセンサーにびびっときてるぜ」

「そうですか・・・」

 信はクールに考え込むようだ

 そして、倉庫に近づいた

「まあ、なにはともあれ、ここをまずはあけてみましょう」

 そういうと、とつぜんなうえに高速で刀をふるったッ!鋼鉄製のシャッターにいびつな空洞を生み出した。犯罪であるッ!

 やっぱりがらんとしてなにもない。はずれである。ただ、邪臭がどこからもにおってくる。ぶきみだ

「こいつは厄介だぜ」

「どうしますか?・・・竜牙」


「お姉さん、えび玉一つッ!」

「は~い」

「わたしはぶた玉で・・・」

「は~い」

「では、わたしはシーフードで」

「わたし、焼きそばッ!」

「はいは~い!お客様、お飲み物のご注文は?」

「安酒はのまねぇ主義なんだよ」

「は、はは・・・。ぶっ殺すぞ」

 チャラ子な店員は、オーダーをキッチンへもってった。それから、具材をもってくる。鉄板にガスがともる

「焼きましょう」

 朝霧は油をぬろうとしたが、

「はいッ!それにさわらないでくださいねッ!」

 チャラ子が鬼の形相で注意してきた。マジでよくわかんなくて、朝霧も目をびっくりぱちぱちさせて、のけぞったッ!え?え?

「当店は、店員が焼くことになっているんですよ。申し訳ありません」

 と、ごめんなさいしてはいるが、まるで殺る気である。


 チャラ子はちゃっちゃか準備いして、具を鉄板に落とすとほかのテーブルへいった、何個も同時にやってるみたいだ。くそいそがしく店員がかけずりまわってる。

「そろそろ、ひっくりかえしたほうがいいんじゃないでしょうか?」

 信が鉄板でじゅあじゅあと焼けるお好み焼きを見つめながら、ぽつんと言ってみた。

 だがしかしッ!店員がこない。

 やっとのことでやってきて、ひっくり返した。かと思うと、そっこうほかのテーブルへいってしまう

「なんか、ちょっと焦げてない?」

 明江もよくわからない顔をしている

「まあ待て、プロにはプロの作戦があんだろ」

 竜牙も言ってはみたが、本気ではない。なんとなく不安につつまれている。


 じゅあじゅあな音もきえて、ぶしゅぅとだいぶ焼けてきた音がした。

「そろそろ食べごろではないでしょうか?」

「フン・・・そうと見える」

「しかし、店員が来ませんよ」

「だが、お好み焼きは待っちゃくれねぇッ!」

「ソースぬりますか?」

「ああ。たっぷりな」

 朝霧は言われるままに筆にソースをつけまくった。だがしかしッ!

「あ~ッ!お客様ッ!お客様ぁ~ッ?!それにはさわらないでくださいッ!」

 チャラ子が全力ダッシュでおそいかかってきたッ!

「まだ焼けていませんので。できあがりましたら、わたしの方がやりますので」

「もう焼けてますよ?」

 チャラ子はぺらっと底をのぞいた。

「まだですねッ!もう少しお待ちくださいッ!」

 チャラ子は走り出した。だがしかし、ふりかえって

「さわらないでくださいねッ!」

 ダメ押しのコンボである


 それから、チャラ子はいつまでたってもこない。

「竜牙、これもうヤバいんじゃない?」

 明江が心配な顔をした。

「しかし、あのコ来ませんよ」

「え?でも、もう焦げてる気がするんだけど」

「フン・・・てめぇにしては鼻がきくじゃねぇか。間違いねぇ。このお好み焼きは焦げている」

「まあ、なにはともあれ、確認してみないことにはわかりませんね」

 と信がヘラをとって、勝手にひっくり返したッ!

 黄色い柔らかな生地の上には赤っぽくまがまがしい深い闇があった。

 だがしかしッ!その刹那ッ!

 チャラ子が超速でかけこんできたッ!

「あ~ッ!お客様ッ!勝手にひっくり返さないでくださいッ!さわらないでくださいって言ったじゃないですかッ!」

 マジ切れである。いや、マジ切れしたいのはこっち。

「もう食べごろでしょう?」

 本当の食べごろはもうとっくに過ぎてしまったけれど、朝霧が恐る恐る言った。

「だから、まだですッ!もう少しですからッ!もう少々お待ちください!さわらないでくださいねッ!」

 チャラ子は一気に言って、また走ってった。

 どうなの?マジこれ

 竜牙たちもなんとなくむかついてきて、恨みがたちこめた。その中心には漆黒の鉄板がある。その灼熱の闇に鎮座するダークなお好み焼きは白煙を吐き続ける。それは吸い込めばむせそうな焦げ臭さをともない、狂気となっている。

「これはもうダメですね」

 と、朝霧が頭を抱えた。

 お好み焼きを目の前にしながら、手も足も出ないこの絶望感は計り知れないッ!

 しかし、竜牙はクールだった。

「おい、朝霧よ。てめぇ、隣のお好み焼きと交換してこい」

「隣?・・・どういうことです?」

 朝霧は顔をあげた。

「隣に食べごろのが鉄板にあるだろ?それとうちのを交換するんだよ。てめぇ、そういうの得意だろ?」

 竜牙はニヤリとわらった

「大聖天様、それはさすがにまずいんじゃ・・・」

「あん?ぶっ殺されてぇのか?おれは限界なんだよッ!やれ」

「はい」

 朝霧もたちどまったりはしなかった。もう空腹は限界点を突破していたッ!

 刹那ッ!朝霧の姿がぼやけたッ!かと思うと、ソースの塗られたおいしそうなお好み焼きが目の前にあった。食欲をそそる匂いは、天にも昇る感じ、いや、実際に天に昇っている。

「食うぞ」

 四人は迷わずハシをわった。

 チャラ子が超疾走ッ!

「お客様ッ!!!!!!!!」

「なんでしょうか?」

 朝霧は涼しい顔してる

「勝手に手をつけないでくださいって言ったじゃないですかッ!」

「はてさて、何のことでしょう?さきほど、あなたに準備をしていただいたばかりなのですが」

 信はカットしたお好み焼きを小皿にとった。

「さきほど、あなたが完成させてくれたじゃありませんか。何を言っているんです?」

 と朝霧も言った

「え?」

 チャラ子もいそがしくて、わけがわからなくなった。いやいや、もとからわけがわからなくなっていたのだろう。

 チャラ子はしばらく黙ってみていたが、竜牙たちがごくごく自然に食べるものだから、しぶしぶと去っていった。ざまあ見ろッ!


 さすが魔都ッ!恐ろしい都ッ!食事をするのにも油断がならないッ!


長くなりすぎてしまった。

今日は大長編です

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