第三十九天 狂気ッ!影取三条ッ!
「朝霧よ。あっちでやろうぜ。ぐふふ」
みつめあうじりじりした中、よゆうの笑いでエビルフィッシュの残骸ッ!死体でできた島を指さした。
「ホゥ・・・魔にしてはめずらしい。いいでしょう」
二人は間合いをひろげず、となりにうつった。なにもしかけてこない。
死体の島はやわらかくて、今にもしずみそうで、足もつかまれそうで、きもちわるい。
「ぐふふ・・・。めずらしくもなんともない。貴様は俺に殺されるのだからなッ!だが、邪魔が入られては困るのよッ!」
「このあいだはシュンコロされたぶんざいが、たいした自信ですね」
「フッ!貴様はここの死体とともに深海のそこで永遠に眠ることになるッ!いくぞッ!」
影取が正面からおそってきたッ!しかし、次の刹那ッ、とんでもないことが起こったッ!
「なん・・・ですって!?」
朝霧の背中には短刀の切っ先がつきつけられていた。
「ぐふふ・・・おどろいたかッ!」
朝霧の背後に影取がいた。そして、急所をついている・・・。
これはまぎれもなくクレセントバックスラッシュッ!朝霧自身の得意とする技だったのだッ!
「俺は二日間の血のにじむような特訓で、貴様の得意技を会得したのよッ!」
「なんとッ!?」
二日間も特訓して、習得してくるとは、恐ろしい奴ッ!
「なるほど・・・それであなたは少しやつれているわけですか。過酷な修行をつんできたと見えるッ!」
「フッ!すべては貴様を殺すためよッ!」
朝霧はすっと距離をあけた。
「次はあてるぞッ!貴様は貴様の技をくらい、絶望して死ぬのだッ!」
影取は勝った気でいる!しかしどうする朝霧?!
と思ったら、朝霧はくだらなさすぎて、笑いまじりの息をはいた。
「・・・たしかにわたしの得意技、クレセントバックスラッシュをあなたがはなってきたのにはびっくりしました。しかし、それで勝ったつもりでいるとは、笑いがとまりません」
「なにぃッ!?」
「断言しましょう。今のであなたはわたしを殺しておくべきだった」
「ほざけッ!ならば、もう一度くらってみるがいいッ!」
影取の姿が消えたッ!
「そぅらッ!亡者どもが貴様の足に手を伸ばしているぞッ!」
「愚かな」
朝霧の姿も消えたッ!
「うぎゃああああああああああッ!」
きたねぇ悲鳴があがった。上半身をすっ飛ばされたのは影取だった。
「バカな・・・。貴様の方があとから動き出したはず・・・」
「背後をとって戦うのが私の闘法・・・しかしバカの一つ覚えで背後をとるわけじゃありませんよ」
朝霧は涼しい顔をしていった。
影取がクレセントバックスラッシュの加速に入った時、朝霧もクレセントバックスラッシュの加速に入った。そのままいけば、影取と朝霧は背後をとりあって、やっぱり見つめあうことになる。だがしかしッ!朝霧は影取とすれ違う瞬間、刃をふりぬき、先制の致命をくらわしたのだッ!
クレセントサイドストラッシュ。背後からくると読んだ相手を単純に正面から切るッ!奇襲の必殺剣であるッ!朝霧の必殺技は、正面と背後・・・つまり、表裏の二択攻撃だったッ!
「亡者に足をつかまれたのは、あなたの方でしたね」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉッ!ぶくぶくぶく・・・」
影取は海中へと沈んでいった。




