第三十六天 海へッ!
夕方、竜牙たちは隣町のみなとの小屋にはいった。
「お待ちしておりましたぞ」
と、八雲がテーブルをはさんでいた。周りには何人かの男たちがいて、地図を囲んで立っていた。
ここは白鴉隊の秘密基地だ
「で?ぶっ潰す予定はできたのか?」
竜牙がいった。
「奴らは今晩も現れます。定期便みたいなものです」
「今まで、毎晩あれだけの数の魔がこの国に入り込んでいたのかと思うと、ぞっとしますね」
朝霧はぞろぞろと地におりる魔たちにこわくなった。
「フン・・・血が騒ぐぜ。で?作戦はあんのかよ?おっさん」
「バカな人間どもはわたしたちがおさえます。ですから、大聖天様たちは、あのでっかい魚を・・・」
「昨日と同じ作戦ですね。しかし、逃げられた場合を考えて、船を用意しておくのがいいと思います」
「ハッ!いかにもそうなのですが・・・」
八雲は周りを見回した。男たちは困った。
「なんだ?」
「船はあるんですが、運転できる人がいないのですわ」
「はぁ?」
「われわれは殺しのみを教えられてきた一族・・・。それゆえ、それ以外ぜんぜんできませんのですぞよ。フォフォフォ」
「それでは追撃ができないッ!」
「打つ手なしです」
「いえ、わたしがやりましょう」
「えッ!?!?!!?」
全員がおどろいた。ふりかえったら、信が言っていた。
「わたしは船舶免許四級をもっています」
「なんだってッ!?すげぇ」
「父の釣りの手伝いをしていたことがあるのです。だからできます」
「ホゥ・・・」
竜牙さえも感心させてしまったようだ。
「そのかわり、わたしから意見があります。みなとであれを破壊するのはイヤです。ダークなパワーが残って、危険だと思うからです。だから、あなたがたはみなとでやってきた魔を斬滅してください。わたしたちは、やつらが魔をおろしおえて安心しきったところを、海上でしとめます」
「・・・なるほど。それはすばらしい。それでいきましょう」
「フン・・・なら、十二時にスタンバイだな。おれたちはここで船にのって待ってるぜ」
「なにとぞ、よろしくおねがいします。今日こそ、長きにわたる戦いにピリオードをうちッ!仲間たちの無念ッ!晴らすときッ!」
八雲は胸をはった。大聖天がいるから強気なもんである。まあ大聖天なのだから、しょうがない
「・・・ところで、昨日いた娘さんはどうなされた?今日はお見かけしないようなので」
「ああん?あのバカなら、来てるよ。てめぇらが臭すぎて、はいってこれねぇんだとよ。ハハハ!」
魚、血、男、の臭いでじゅうまんしていて、並の人間なら鼻がもげるところだ。
「そうでしたか。それは失礼しましたな」
と八雲は笑って、それからスッとナチュラルな高速で竜牙の耳元にささやいた
「・・・彼女はつれてこない方がいいと思われます。やはり彼女は足手まとい。どんなトラブルをやらかすかしれませんからな」
「フン・・・」
竜牙はわらった。
「では、そういうことでおねがいしますぞぉ」
竜牙たちは小屋をでた。
明江はおええええっと、砂浜にゲロをまいていた。
「げろげろげ~・・・終わった?」
「終わりましたよ」
朝霧はひきつった笑みをうかべた。




