第三十四天 謝罪そして決意
「竜牙・・・入っていい?」
明江はホテルのドアをたたいた。
「俺はいつでもノーロックだぜ」
明江はがちゃりとあけて入ってきた。
竜牙はイスを窓際において、外をながめていた。ホワイトライトが暗黒にぽつんぽつんしている。
べつにすごい恐怖とかじゃないんだけど、明江には恐ろしく胸がへヴィだった。
「あの・・・」
明江は命からがらだした。
「あ?」
竜牙はしずかにやさしかった。
「さっきは・・・」
おどおどしてると、ガツンと頭になにかがぶつかった。めちゃ痛いッ!
「痛いッ!」
額をおさえた。ぶつかったやつがごとんと重たそうな音をたてて落ちた。それはコーラだった。
「なにビビってんだよ。それでも飲んで頭を冷やせ」
竜牙がほほえみだ。
「うん」
明江は肝をひろって、飲み始めた。しゅわしゅわがたまらない
しゅわしゅわしてたら、だんだん頭があっぱらぱーになってきて、少し気が楽になった。
「竜牙さっきはごめんなさい」
やっと言えた。
「フン・・・」
竜牙は腕組んで窓をみてた。
「わたし、竜牙の気持ちかんがえないで、わたしのきもちばかりぶっつけて、ほんとうにごめん」
明江は頭をさげた。ほんきの謝罪だッ!
「べつにおこっちゃいねぇよ。用はそんだけか?」
「・・・」
竜牙はつめたいわけじゃないが、明江にはそう感じた。とりかえしのつかないことをしてしまったと、勝手にビビってるのだ。いっそとんでもないことでもして、ぶっ殺されてしまいたいとまで明江はちょっくらおもってた。
「あ~・・・かんちがいしねぇように言っておくが、そのコーラはおれが買ったわけじゃないぜッ。自動販売機がかってにあたりやがっただけだ。おれの運勢は常にマックスだからな」
と、竜牙はたちあがった。こっちに向かって歩いてくる
明江はちぢこまった。だが、勇気をだした
「でも、どうして。どうして言ってくれなかったの?!」
あの時の真実を言ってくれればッ!わたしはあなたにこんなことを言わなくて済んだッ!わたしはあなたを知りたいッ!もっと知りたい知りたい知りたいッ!
「てめぇが信じたいものを信じりゃいい。それだけだ」
明江の激しい気持ちなんか気にせず、竜牙は薄笑みで言うと、トイレに入っていった。
明江は一人とりのこされた。
「おはよ」
明江がホテル一階の食堂に顔を出すと、三人はブレックファーストしていた。
昨晩はあまり眠れなかった。そのせいで少し遅く起きたのだった。
「おはよう。明江さん」
朝霧はさわやかスマイルである。
「おはようございます」
と信は日本庭園みたいだ。
竜牙はフン。と言ういつものスタイルである。
なんてことはない。なにもないいつものおだやかな朝。ところが、明江の心の中は緊張の嵐だった。
「明江さん、朝食食べないんですか?」
朝霧は聞いてきた。
「う、うん・・・」
「どうした?クソでももらしそうな顔しやがってよ」
と竜牙はいじわるである
「あのね・・・。わたしね。なにか役に立てないかな?」
「役に?なんのことですか?」
「あ、あのね。わたしも竜牙の力になりたいって・・・そう徹夜で決めたのッ」
「ホゥ・・・」
「なにか・・・ないかな?」
明江はぷるぷる緊張しながら、三人の顔を見つめた。
「あなたが強くなる以外にありませんよ」
信は言った。冷たくクールだ。
「フム・・・」
竜牙は腕をくんだ。明江はええいッ!と思い切った。
「竜牙ッ!わたしに戦い方を教えてッ!わたしも強くなりたいッ!」
それが心の声。
「いや、おれは無理だな。てめぇに教えられることなんてねぇ」
「わたしもできません。わたしたちの戦い方はふつうじゃありません。教えたところで人間にはできないでしょう」
「そうだ!信、てめぇが教えろ!」
竜牙はめずらしくノリノリである
「え?わたしがですか?」
信はめちゃくちゃおどろいた。
「え~ッ!信に教わるの~?」
「イヤなのかい?」
「当たり前じゃない。だって、こいつ弱いもん」
「・・・あなたよりはマシですよ」
「フン・・・決定だな。ザコはザコ同士教えあうのが一番だ」
「ッ!!・・・まあ、大聖天様がそうおっしゃるのであれば・・・」
信はめちゃくちゃ不服だったが、それをおさえこんでの見事なクールだった。
「それで、なにを教えればよろしいのですか?」
「それはてめぇにまかせる。んじゃ、頼んだぜ」
そういうと部屋に帰っていった。




