第百七十三天 妙技翻弄ッ!風の実力・・・
「よくやった、ミオ。そいつを決して離すんじゃないぜ。剣にも直接触れちゃあいけねぇよ」
「うん・・・」
五神武を奪った女は、コクリと素直にうなずいて、遠ざかった。
「さぁッ!ざっくばらんにいこうぜぇッ!!!」
ボルドウィンは両腕を広げて、やる気に溢れているッ!
だがしかしッ!
「あの女が刀を持てるのは、あの孔雀の羽のおかげか」
と、黒王は女の持つ帯に興味があるのだった。
「神武封帯。この世で一つ、五神武を封じる神器よ」
「ホゥ」
「本来は間違った道を歩んだ大聖天から、武器を取り上げる為にある中聖天たちの切り札なんだが、こんな使い方をするとはね」
「それで封じたつもりか?我がその気になれば、その女の頭を一瞬で吹き飛ばす事だってできるのだぞ?」
「あ~ッ!はいはいッ!すごいねッ!黒王様のよゆうってもんだねッ!・・・だが、そういうのはやってからにしてもらおうか」
と、ボルドウィンはちゃらちゃらしているようで、その目の光がいきなし鋭くなったッ!!!
「ほざいたなッ!」
黒王の姿が消えたッ!!!超速いッ!
ミオはまったく見えてないッ!黒王の前では一般人も同然ッ!!!
「死ねぃッ!」
黒王の漆黒の手がミオに伸びるッ!
―――だがしかしッ!!!
刹那、黒王の意識がくらりとしたッ!
その緩みにボルドウィンが割って入り、見事ッ!その一撃をミオからそらせて見せたッ!
「なにをした?」
「ハハッ!わかってるんじゃないのかい?」
ボルドウィンの腰から、ギラリと一刃輝くッ!黒王はすっと後ろへ引いた。
「残念」
ボルドウィンは、おちょくってみせるッ!
しかし、王たるよゆうッ!安い挑発ではイライラしないッ!
「酸素の濃度を狂わせた」
「御名答ッ!何か景品をあげたいところだが、生憎品切れで悪いね」
「フン・・・」
「俺様は風のボルドウィン。ウィン・クレールの所有者・・・とは言え、手元に持ってきちゃいないがね」
「ホウ・・・我に五神武なしで挑むか」
「ハハッ!おまえごとき、五神武なぞ使うまでもないよ。そしてッ!おまえの五神武さえ奪い取ってしまえば、俺様はおまえを倒す事ができるッ!」
ボルドウィンは、ビシィっと指をさして、熱いポーズだッ!!!
「五神武がなければ、この我を倒せる・・・だと?・・・面白い。その貴様の挑戦受けて立とうぞ。我はその女から、五神武を奪うまい。貴様を殺してから、ゆっくりいただく事としよう」
「これは意外だな。まさか、あのボルドウィンが来るとは・・・」
世界王は白い部屋で無表情につぶやいた。これでも驚いているのだった。
「・・・物事とは予定通りにいかぬものだ。だが、そこが面白い。単純なパワーであれば、今の竜牙に勝るものはないが、彼には各地を放浪して得た妙技がある。そして、大聖天としての時期も長い。どう出るかな」
「フ・・・だから、言ったじゃあないか。そういうのは、やってから言ってくれってよぉッ!」
ボルドウィンが風に乗って、走り出したッ!これまたかなりスピーディーッ!
黒王は動かないッ!よゆうの仁王立ちッ!
ボルドウィンの拳が風を切って唸るッ!だがしかしッ!かなりスピーディーとは言え、黒王の領域にははるかに届かないスピードであるッ!
「止まって見えるぞ」
黒王は軽く後ろへ避けたッ!だがしかしッ!ボルドウィンの手は握りこぶしじゃなかったッ!何かをつかんでいるッ!そして、その何かが伸びてきたッ!これは、暗器ッ!!!
黒王はとっさに大きく避けて、頬を掠めるのみだったッ!
ボルドウィンは立て続けに拳脚を振るうッ!それはまさに武術の祭典だったッ!正拳突き、スピニングバックナックル、月牙穿手、ドロップキック、カウロイ、それが無形に突如として襲い掛かってくるッ!放浪し会得した技の数々が自由に流れるように飛んでくるッ!まったく先が読めないッ!
そしてカウンターを狙えば、暗器がさらなるカウンターを狙ってくるッ!
だがしかしッ!黒王はそれらをすべて避けていたッ!そして、彼の呼吸、タイミングをつかんだッ!
「見切ったわッ!」
と、拳を避けたッ!二段構えに潜む暗器すら避け、深黒のオーラを纏ったどす黒い手刀が、ボルドウィンの心臓めがけて一直線だッ!
「ハハッ!やるねッ!」
ボルドウィンの身体が突如傾いたッ!そしてッ!黒王の突き出された腕にからみつくッ!このまま倒して、関節を極めにいくつもりだッ!
「甘いッ!」
すぐさま、黒王は空いた手の方に深黒のオーラを練るッ!だがしかしッ!!!その腕は痺れて動かなかったッ!!!
「残念」
なんと、ボルドウィンは、腕にからみつくと同時に秘孔をつき、麻痺させていたのだッ!!!
「折らせてもらうよ」
ぐぐっと、体重がかかるッ!華奢な女である黒王は物理的にもってかれるしかないッ!
―――小賢しいわッ!!!
黒王の深黒なるオーラが沸き立つッ!
それは、ボルドウィンをも戦慄させるほどのすさまじいパワーで、黒王は極められた腕をオーラの力をもって、強引に高々とあげると、からみついたボルドウィンごと地面へ叩きつけようとしたッ!
もちろん、ボルドウィンも聖なるパワーを充実させ、逃れられないように関節を極めにいっていた。しかし、それがみじめでちっぽけに思えるほどに、黒王のパワーは遥か上をいっていたッ!!!
―――ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
大地に叩きつけられた深黒なオーラは炸裂し、黒き柱が吹き上がったッ!!!




