第十七天 成平家の人々
竜牙たちはひかえ室にとおされた。
「わたしは夕飯の支度がありますのでこれで」
と信は帰って行った。家族思いの男だ。これで朝霧よりもイケメンでクールで家族思いとすべての値が上だったように思える。
茶黒い柱に白い壁が隙間なくおさまって、がっちりとしたひかえ室だった。ペルシャじゅうたんと黒くツルツルしたテーブルとかチュウリップみたいなガラスの電灯が西欧風で時代の最先端という感じだった。しかしそれでいてどこも手入れが行き届いていてきれいである
竜牙はどっかとソファにすわった。朝霧がむかいにすわって、竜牙のとなりだった。ソファは四人掛けでこれもぴったりとフィットする。なんだかきもちい。
「本当にあいつは信用していいんでしょうか?」
朝霧がやめておいた方がいいという顔をしていった。
「あんで?」
「裏切ったり、裏切られたり、また裏切ったり、わけがわかりませんッ!」
「フン・・・いいじゃねぇか。人間らしくて」
と明江をちらりと見てから、悪い笑いをした。
「わたしは竜牙を信じるッ!」
「ホゥ・・・」
「竜牙にどこまでもついていくよ!・・・朝霧さんはそうじゃないの?」
明江は勝った顔してる
「えぇ!?わたしはそんなんじゃありませんよ」
「やいてんのか?ハハハ!」
「俺は男だ!」
朝霧は男である。ごかいなきよう。
「できましたよ~」
「は~い」
大きな居間にとおされた。ふすまをぶちぬいて二間つながったその部屋は組み合わさった畳がひろかった。真ん中に置かれたつやつやしたテーブルの上は豪華絢爛イセエビがおいてあった。
「おぉぉぉぉぉぉっ!」
竜牙はイセエビにとびついた。懐かしき味だ。ガツガツ!
そのほかにもいろんな豪華な味があって、朝霧たちもちまちまと食べていた。
「どうですか?うちの料理は」
エプロン姿の信が包丁片手にきいてきた。かわいらしいのがヤバい
「うまッ!うままままッ」
竜牙は顔が皿である。もはや皿が顔かもしれない
「しつれいします」
ふすまがスゥとひらいて、白い装束の男がスゥと正座して入ってきた。
「このたびはどうも大聖天様。お越しいただきどうもありがとうございます」
と深々と何度も頭をさげた。土下座のポーズだ
「いいってことよ」
とイセエビに夢中である
「何の御用ですか?」
「西へ行きたい」
「そうですか」
「なにしに?」
明江が聞いた
「ああん?しね」
明江は死なない
「ラブラブデートですか?」
「だまれぶっ殺すぞ」
「フフォフォフォ」
成平の親父もノリノリだ
「しかし西へ行くとなると、怨霊寺が邪魔ですね。ぶち殺しましょう」
「うん、そうしよう」
朝霧もうなずいた。
―――かくて大戦の幕開けである




