第百六十三天 最大奥義ッ!五閃ッ!決死の一撃ッ!!!
五閃の腕の付け根からは血が噴き出て、その出血からか、五閃は白目をむいていた。
「おいッ!ジジィ!あいつはそろそろ殺し頃じゃねぇのか?」
金明がニヤニヤと観覧モードで指をさす。
「ホッホッホ!いい顔をしおる。そろそろ止めをさしてやろう」
ザンと、五閃見下ろすように立った信が刀を振り上げるッ!
「ダバァッ!と見せてくれよッ!盛大な血しぶきをダバァッとなッ!ウヘヘヘヘ!」
五閃は思い出した。
―――祖父の事
―――祖父を殺し、家を出た事
―――孤独に町をさまよった事
―――孤独に町を追われた事
―――御聖院になった事
―――挑戦者の苦悶の表情、表情、表情、表情・・・
―――成平 信との激闘
―――農道で拾った玉ねぎ
―――夜空を見上げる明江
・・・明江ッ!!!!!
五閃はカッと目を見開いたッ!
ぎちぃんと斬光がほどばしったッ!
「大丈夫ですかッ!」
振り下ろされた止めの一撃に朝霧が割って入ったッ!
「邪魔をするな。ザコ聖天ッ!」
と、信の力は、あっさりと朝霧を吹き飛ばすッ!
「さて、処刑の続きを・・・」
「フッ・・・俺としたことが、危うく過ちを犯すところだった」
五閃は、笑った。
「どうした?気でも違えたか?」
光良がニヤニヤと語り掛ける。
「違う。俺は思い出したのだ。俺が本当になすべき事をなッ!」
成平 信は何のために険しき聖道を歩んできたのか。魔を絶滅させる為か?否ッ!なによりも迷える人々。か弱き少女の笑顔を守るために戦ってきたのではないかッ!
黒王を倒し、野望を打ち砕く事は重要ッ!だがしかしッ!信の命を奪って成したところで、少女の笑顔は守れないッ!!!
―――そうッ!ただ単に最強を目指していた俺とは、背負っているものが違ったのだッ!ならば今、この俺も背負おうッ!温かく迎えてくれた大聖天たちのためにッ!そして、命を賭して俺をかばってくれた戦友のためにッ!!!!!!
「おまえ、絆というものを知っているか?」
光良を、もはやおまえ呼ばわりであるッ!もはや親父でもなんでもないッ!
「絆・・・じゃと?」
「俺は大聖天たちと過ごすうちに、深い絆で結ばれたのだ」
「ホッホッホ!たかが数日で、絆とは笑わせるのぅ。腑抜けがッ!」
「なんとでも言え。俺は今から最大最強の奥義を食らわせるッ!おまえのそのくだらん術は破られ、おまえも死ぬッ!朝霧さん、ここは俺に任せてくれ」
五閃のまっすぐな目の輝きに、完全に呑まれた。
「わかりました。頼みましたよ」
と、朝霧も望みを託すッ!
「・・・つまらん冗談じゃのぅ。片手を失ったそなたに何ができるというのじゃ・・・」
「ごたくはいい。試してみればいいだけの事だ」
「良かろう。望み通り、処刑してくれるわッ!」
光良の指先一つで、信が突っ込んでくるッ!
五閃は構えを解いたッ!そしてまさかのなんとッ!刀までも捨ててしまったッ!とんでもないッ!
「危ないッ!」
「狂ったかッ!」
「をををををををををををををををッ!」
信の刃が容赦なく胸を貫くッ!
「ごはぁッ!!!!」
確実な致命の一撃に、五閃は吐血し、意識が飛びそうになるッ!だがしかしッ!カカッと目を開き、まだ死なないッ!!!
「信ッ!目を覚ませッ!をををををををッ!」
五閃は左拳をギチリと握り、その拳を信の頬へ叩き込むッ!
「ホッホッホ!何をするかと思いきや、特攻とはのぅ。いや、自害かのぅ?そのまま心臓をえぐってくれるわッ!」
信の刀がぐるりと翻り、心の臓はぐちゃぐちゃだッ!
「グッゴホォッ!!!!!!!!をををををををををををををッ!」
―――だが止まらないッ!!!
「おぼッ!びッ!だッ!ぜぇッ!・・・は、白桜寺当主の誇りををををををををッ!!!!!!!!!」
力強い拳が、信の頬に再度突き刺さったッ!
心臓の刃が、五閃の命を完全に絶ったッ!
「うぎゃああああああああああああッ!」
五閃は、だらんと力を失い。力尽きた。
「・・・死んだか。御聖院もこれで全滅か。じゃが、ザコの五より、最強の一よ。ホッホッホ」
「だが、わたしが生き返った」
―――ッ!?!!?!?!?!!?
その場にいる全員が驚いたッ!
信だッ!あの信だッ!
「信さんッ!正気を取り戻したのですか!?」
「・・・は、はい」
「馬鹿なッ!ワシの黒手傀儡拳は内からは絶対破れぬはず・・・。ハッ!まさか五閃のあの拳ッ!?」
そうッ!五閃は拳にありったけの内なるホーリーパワーを込めて、信を殴りつけたのだッ!零力は聖にも邪にも簡単に支配される。ならば、強いホーリーパワーをぶつけて、黒手傀儡拳のダークパワーを打ち消せれば、信は正気に戻るッ!そう読んで、五閃は捨身のパンチを繰り出したのだッ!
だがしかしッ!五閃に拳からホーリーパワーを打ち出す能力などは持ってない事を、光良は知っていた。朝霧にもそのような業がない事もリサーチ済みだったッ!
「あやつ・・・不可能を可能にしおったッ!」
五閃は言葉通り、最大最強の奥義を放ったのだ。その名は―――KI・SE・KI・・・




