第百五十八天 因縁決着ッ!一秒の果てッ!そして、意外な人物がッ!!!
五閃が前へ出た。そして、おもむろに、腰にさげた二本の刀の内の一本を抜き取り、反対の腰に差すと、腕を交差させて柄に手をかけたッ!
「む?」
「フッ・・・俺の行動がわからないと言った顔だな。死ぬ前に一つ教えておいてやろう。今は亡き俺の師である葛木 修現は神音流剣術、居奥義・電一文字を得意としていた。マッハ2を超える超音速の居合術、それはまさに電気がほどばしるがごとき一撃。修現はその技一つで、数多くの武芸者を打ち倒し、そして自らの家族・・・つまり、俺の家族をも殺めた。だが、そんな師も因果かな。一人の武芸者に殺された」
「それがどうした?」
「わからんか?師を亡き者にしたのは、この俺だ。俺は親の仇を討つべく、祖父の奥義・電一文字を盗み見、それに改良を重ね、ついに師の奥義を打ち破ったのだ。それがこの構えだ。名付けて、真居奥義・雷十字」
「雷十字ッ!」
「電一文字の片手で放たれるマッハ2の居合を、両腕から放つ必殺剣ッ!マッハ2の斬撃が両側から迫ればそのスピード、マッハ2×2でマッハ4ッ!相手は斬撃と衝撃に粉砕され、再起不能は必至ッ!」
「・・・」
「何故、俺が自らの技を明かすようなマネをしたかわかるか?」
「いいや」
「話したところで、この技を防げる者は誰一人としていないからだ。言っておこう。おまえは死ぬッ!」
「ホッホ・・・マッハ4だと?大仰な。おおかた貴様は他人のお世辞でも聞いていい気になっているのだろう?人間ごときにそのような芸当ができるわけがない。俺は冗談の通じん男でな。それにこの俺のデスバンテージも当たれば一撃必殺なのは同じ事。たとえ、おまえがその切っ先で俺を捉えようとも、この包帯で片端から消滅してやろうッ!」
「・・・来い」
「すぐに地獄を見せてやるぞ」
気合と共に、金卑が駆け出したッ!
「腐蝕の海に溺れるがいいッ!金卑紫帯連脚ッ!」
出たッ!金卑の奥義だッ!猛毒の包帯を体へ複雑に絡ませながら飛んでくる連続飛び蹴りだッ!その軌道はまったく読めないッ!
だがしかしッ!
五閃は動かない。目を閉じて、コアアアアアッと深い呼吸だッ!
「刀ごと粉砕してやるぞッ!」
金卑が脚を繰り出したッ!五閃の間合いに入った刹那ッ!!!
ぼぐんッと金卑の足が折れたッ!
「ぐぉッ!」
と、金卑が声をあげるかあげないのかの内に、金卑の両足両腕はなくなっていたッ!
四肢を失った肉の塊は勢いを失って、ゴトリと地面に落ちた。
「ぐあああああああああああッ!足がッ!足がぁぁぁぁッ!」
「落ち着け、腕もだ」
「ッ!!!腕があああああああッ!貴様ぁッ!なッ!何をしやがったッ~~~!俺は刀なんぞ食らってないぞッ!!!」
「愚かな奴よ。マッハ4ともなれば、生み出す衝撃波も計り知れない。刃に触れずとも、鋭く研ぎ澄まされた衝撃波が貴様の肉を引き千切る。つまり、俺の間合いに入った瞬間から、お前の死は決まっていたのだ」
五閃はクールに語るッ!
しかも、マッハ4の斬撃を金卑が避けたわけではなかく、五閃はもとより刃を当てる気はなかった。金卑の包帯は触れたあらゆる物を腐らせる。刀でじかに斬りつければ、腐食し使い物にならなくなる。それゆえ、金卑のわずか数ミリ手前を撫ぜるように斬った。生み出す衝撃はだけが彼を襲ったということである。もしも、刀で斬りつけていれば、金卑は粉みじんに消し飛んでいただろう。
「痛ぇッ!痛ぇよッ!ちぐぢょ~~~ッ!」
哀れな芋虫となった金卑の情けない敗走である。
両手足から吹き出すどす黒い血は、金卑の体中を汚し、はいずる地面を汚し、まるで血に溶けていくようだ。
―――まさしく、再起不能ッ!
五閃は追いかけ、奴の心臓に止めの一撃を食わすか、迷っていた。
だがしかしッ!次の瞬間、そんな迷いも忘れるほどの驚愕が五閃を襲ったッ!!!
「ホッホッホ・・・先ほどの雷十字ッ!アッパレじゃった」
それは、金明の巨大な影から、浮かび上がるように出てきた。五閃は超速で目を丸くした。それは、よぉく聞き覚えのある声だった。
「なッ!何故・・・あなた様がここにッ!?」
「なぁに、野暮用じゃよ」




