第百五十七天 戦魔襲来ッ!存在と存在の衝突ッ!!!
竜牙たちは旅館を出て、バスターミナルへ歩き出した。
「ものすごいダークパワーですね。昨晩よりも強くなっている」
奥に広がる山のさらに向こうで、闇は灰色の雲に包んだ空にどす黒い円を描いていた。
竜牙は何も言わなかった。五閃も何も言わなかった。
朝霧も息を呑んで、それきり何も言わなかった。
戦いの重さが、三人の口を固く閉ざした。
彼らは今、この全世界を背負っているのだッ!
負ければ世界は闇に包まれ、無へと化してしまうのだッ!
朝一のバスに乗り込んだ。乗客は三人の他に誰もいなかった。
この島は基本、車移動が多い。故に乗客がいない事は不思議でもないのだが、まるで三人だけのために呼ばれた、戦場への渡し舟のようである。
運転手は寡黙にバス停を一つずつ当たり前のように越していった。
海沿いの折り返しを越えて、隣町である。
橋を渡って、埋め立て地に入る。先日行った、遊園地が無人で静かだ。
竜牙はふと目を向けた。
―――その刹那ッ!
バスに激震が走ったッ!!!
「ッ!!!!??」
大きく跳ねたバスの中で、三人はとっさに前を見たッ!
なんと、バスの運転席がつぶれているッ!!!そして、巨大な黒い塊があるッ!その黒い塊はニヤリと笑う。見飽きた顔だッ!金明だッ!
三人はガラスを突き破って、外へ飛び出した。
金明は、潰したバスからゆっくりと立ち上がり、竜牙たちの前に立ちはだかった。
しゅたっと、金卑も登場だッ!
「しっぽをまいて、逃げ帰ったコンビが何の用だ?」
竜牙はよゆうのいやみをかましてきたッ!
「ホッホ・・・俺達は貴様らの死に場所で待っていただけの事だ」
金卑の顔は自信にあふれた顔だッ!
「ここを通す気はないと?」
「まあ、そういう事だなぁ!」
と、金明が豪快に笑うッ!
「あなた方は、金盧の部下でしょう?わたしたちの目的は黒王。潰しあってくれれば、儲けものだと思いますが」
「そのような卑怯な手をつかわずとも、貴様らなぞ俺の敵ではない。この間は不覚を取ったが、今日の俺に死角はないぞッ!」
「フ・・・俺も素通りする気は毛頭ないさ。俺はおまえに用があったのでな」
五閃の静かなる怒りが、ぐらりと目元に宿った。それは、マグマの蠢動のようだったッ!
「大聖天、こいつは俺が殺します。借りがあるものでね」
「フン・・・好きにしろ。俺は先に行くぜ」
「フフフ・・・わたしたちは露払いですからね。すると、わたしはそこのでかぶつですか」
朝霧のクールな殺気が背筋も凍るように鋭いッ!気合十分であるッ!
「おっと行かせないぜ。俺達は大聖天の死体が目当てなんでなぁ」
と、金明の巨体が両手を大きく広げたッ!
「フン・・・ザコが」
竜牙は走り出したッ!金明の巨体にぐっと力が入り、小刻みに足を揺らして、捉えようとしてくるッ!竜牙は脇を抜けようとする。金明が反応できてるッ!腕が伸びるッ!
だがしかしッ!その刹那、竜牙の姿が消えたッ!
「ハッ!どこを見ている?」
「ナニィッ!?!?」
金明は振り返った。竜牙ははるか100メートル先に立っていた。
「てめぇが捕まえたのは、俺の残像だぜ?」
竜牙は捕まる寸前に、急加速したッ!金明には捉えきれないスピードであっさりと駆け抜けたのだったッ!さすがは大聖天ッ!
「なめやがってッ!」
と、金明は怒りに突っ込もうとするッ!だがしかしッ!その動きはぴたりと止まったッ!喉元に朝霧の刀だッ!
クレセントな高速の歩みで、一瞬で金明の前へ回り込んでいたッ!
「あなたの相手はわたしですよ」
「ぐぬッ!」
「あばよ、ザコ共」
竜牙は走り去った。物凄いスピードだッ!
「ちッ!」
金明は悔しそうに舌打ちした。
朝霧はフワリと、五閃のそばに戻っているッ!
「さて、始めましょうか」
「否ッ!その前に一つ話がある」
五閃が力強い言葉だ。
「なんですか?」
「フッ・・・一秒で済むさ。そこのおまえ、かかってこい」
「・・・やはり俺か」
金卑がざっと一歩出た。
「一瞬で殺してやる。おまえだけは俺が斬る」
「ホッホ・・・大した自信だな。言ったはずだぞ、今の俺に隙はない・・・と」
「一秒だ」
五閃が一本指を立てて、一秒KILL宣言だッ!
「・・・いいだろう。ならば、俺が貴様の将来を暗黒に染めてやろう。一秒でなッ!」
と、紫に輝く毒々しい包帯を握りしめた。出たッ!デスバンテージッ!!!
―――聖と魔、光と闇の最後の戦い、始まるッ!




