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第十四天 聖なる男ナリヒラシンジ

「まあまあそういきり立たないでください。怪しいもんじゃありません」

 純白のコートをはおった男は黒い短い髪がうつくしく、いかにも神聖な感じがした。いい奴だ


「あなたは?」

 朝霧はなんとなく親しみのある声できいてしまった。そんな気にさせるパワーをもっていた。

「成平 信です。二十二歳」

「ホゥ・・・」

「若いわね」

 と女子高生の明江が言う。おまえが言うかッ

「いきましょう」

「ああ」

 三人はぞろぞろと信につづいてあるきだした。


 寺町の白塗りの清純なかべは白くて掃除がいきとどいていた。黒い瓦が白い壁とあわさっていい感じである。

「あいつらは怨霊寺本坊のやつらです」

「怨霊寺?!」

「人間のくせに魔に力をかし、世界をほろぼそうとする悪い奴らです」

「まあッ!なんてひどい人たち。でも人間なの?!」

「ええ。間違いなく」

 信はまゆげをきゅってよせてた。すごくまじめな感じだった。

「フン・・・そういうあんたは誰なんだよ?」

 と竜牙はいいところをつく。

「わたしは白桜寺のひとです。怨霊寺とは反対の人たちですね。しかしだからと言って、ぶっ殺す気はないんですけどね」

「どうしてですか?魔は悪なのですよ」

 朝霧がいう。まあ当たり前である

「そうですね。ですが、わたしたちはあえて魔を受け入れ共存しています。聖なるパワーと魔なるパワーがそなわることですべてが最強になり、新たな魔をよびこまないようにしているのです

「清濁併せ呑む・・・ってところか」

「おっ!頭いいですね。その通りです。人間の体も肉だけ食べていてはダメなように、大事なのはバランスなのですよ」

「いやいや、魔は悪でしょう。悪はやっぱり悪です」

「・・・そうなんでしょうね。しかしわたしたち人間はあまりにもろい。弱い人間が弱いなりにうみだした浅知恵なのでしょう」

「俺は肉しか食わないがな。おまえんちのイセエビよこせ」

 信はぷってなって、

「用意させます」


 家の高さがだんだん低くなってきた。逆に緑の山が高くなってきて、そのうち大したことない坂が登りだった。


「どこまで歩くんです?わたしは疲れましたよ」

 朝霧がぶーたれた。

「もう少しです」

 と信は涼しい顔だ。涼しい顔のネタを朝霧はとられた。

「ところであなたはどうしてわたしたちを?」

「一つお願いがあるんですよ」

「お願い?!もしかして、怨霊寺本坊」

「当たり!するどい!」

 信は指さしておどろいた。

「闇のダークなパワーが最近強くなりすぎてしまっているんです。わたしたち白桜寺の使命として、それをおさえなくてはなりません」

「つまりぶっ殺せと?」

「はい。そんなの嫌なんですけれどね」

 信は悲しみにくれた。

「魔はしょせん悪です。悪はゴミクズなんですよ」

「そうですね。少し気が楽になりました。ありがとう」

 信はスキップした。力がわいてきたのだ。戦いたくないんだなと、朝霧は思った。


「竜牙はさ、食べ物はなにが好きなの?」

 明江は竜牙につきまとっていた。超歩いているのに元気である。

 しかし、竜牙は答えない。

「イセエビ?!」

「・・・」

「イセエビなんでしょ?絶対そうだ」

「・・・」

「イセエビで決定ッ!」

「だまれ。ぶっ殺すぞ」

 竜牙がひとにらみッ

「ひぐぐっ」

 明江はチビッた。殺されるパワーにおされていた。

「おいッ!まだか!いい加減にしねぇとぶっ殺すぞ!」

 竜牙はいらだった。いや、八つ当たりじゃないと思う


「つきました」

 もうすっかり山道をのぼって、枝が全然ない木がいっぱいに囲まれたとこだった。家じゃないッ

「フン・・・そういうことかい」

「そういうことです」

「歩いて損したぜ」


 まさかのッ!いい奴と見せかけての、裏切りッ!


 信は背中から刀を出した。先っぽがわれた刀はおされで、強そうだ。というかソードっぽい。

「皆さん、出てらっしゃい!」

 木の中から、たくさんの白ずくめの奴らがでてきた。短刀をもったザコなのにできるッ


 山奥で絶体絶命だった


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