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第百三十七天 放浪紀行ッ!いざ、神生島へ・・・

「んッ・・・・・・ハッ!」

 朝霧はうっすらと目を開けて、とたんに飛び起きたッ!

 しかし、目の前に広がっているのは泊まっていた部屋で長い夢かとも思ったが、

「ハッ!戦闘中に居眠りとは、ずいぶんと大胆だな」

 柱にもたれた竜牙がいて、現実だった。隣には信がまだ眠っていた。

「・・・竜牙が倒してくれたのですね。すいません」

「フン・・・雑魚掃除くらいには使えると思ったんだがな。とんだ期待外れだぜ」

 と、竜牙は柱を離れた。

 木枠のガラス戸からオレンジの光が斜めに太い線をひいている。

「隣の部屋借りるぜ。朝になったらすぐ出るぞ」

 そういうと、ふすまを開けて、隣の部屋へと消えた。

 信の寝息だけが、静寂の中に残った。


 陽はだいぶ長くなって、湿った若葉の匂いがどこからか香っていた。三人はまっすぐ駅へと歩いていった。透き通るような朝の風を通さない物々しさに包まれていた。

 改札で竜牙は当たり前のように切符を買い、朝霧たちは手渡された切符の高額なのを見て、

「どこへいくんです?」

神生島(カミウミノシマ)だ」

「神生島ですか」

 朝霧はクエスチョンだ

「そこに黒王がいるんですか?」

 信は深刻な顔でストレートだッ!

「フッ・・・どうだかな」

 竜牙は笑うと、改札を越えた


 早い特急に乗り込み、乗ってから駅弁を買うのを忘れていたのに気付いたが、三人とも何も言わなかった。張りつめた一本の糸で支えられているようで、少しでも触れれば瓦解してしまいそうなギリギリな感じだった。

 とつぜん、信が立った。

「どちらへ?」

「ウ〇コです」

 信はトイレのある車両端へついて、連結部の自動ドアを超えると、ふぅと息をついた。

「・・・らしくないな」

 と、信は首を振った。

「いいや、それでいい」

「ッ?!」

 とつぜんの渋い声に、信はびっくり仰天でふり向けば、出入り口の隅には小柄なフードの男ッ!

「なにを驚いている」

 男はとうぜんのような言い方だが、またもやまるで気配がなかった。

「こんなところで何をしているのですか?」

「フッ・・・おまえの未熟を笑いに来たのよ」

「ッ!?」

 信は胸を突かれるようだッ!

「申し訳ありません。せっかく教えていただきながら、使いこなす事ができませんでした」

 三切との戦いのとき、聖なるパワーへ切り替えた事を信は反省していたッ!

「わかっているのなら、気を抜くな。一刻も惜しんで精進を重ねることだ。もう日はないぞ」

「はい・・・」

 信は頭を下げた。とかやっている内に、フードの男は消えたッ!まったく気配も跡形もなく。一体どんだけ凄い奴なんだと、信は計り知れず圧倒されたのだった。


 特急列車は走馬だった。山間を抜け、信の地元の情緒あふれる都を抜けて、かつて激戦を繰り広げた魔都も通り過ぎた。風景を見ることが、少し前の過去をさかのぼるようだった。そして、南側に現れた海原に、陽の光をあびてぼんやりと現れたのが神生島だった。

 乗船場のある駅で降りて、そのこぎれいなロータリーに立った時、竜牙は数時間ぶりに口を開いた。

「今日はここで一泊するぜ」

「え?神生島へは渡らないのですか?まだ時間にはよゆうがありますが」

 朝霧は言った。

 まだ太陽は頂点に昇ったばかりで、神生島の町に行く時間は十分にあった。

「ああ、まだだ。それより、腹が減ったぜ」

「ここでしたら、やはりたこ焼きでしょうか」

 信がクールだ

「そうですね」

「いくぞ」

 竜牙は歩き町中へと繰り出した。


 雑居ビルをくりぬいた横丁で、たこ焼きを食べた。

 男三人がもそもそと、まるで他人のようだった。

 いち早く竜牙が食べ終わると、

「俺はちょっと出てくるぜ。てめぇらはホテルを探しておけ。夕方に駅でな」

「どこへいくんです?」

「あん?そいつはてめぇの感覚に尋ねるんだな」

 竜牙はニヤリとバカにして、出ていった。

「感覚?」

「大聖天様は、わたしたちには感じ取れないものを感じ取っておられるのでしょう」

 と、黄金色のだし汁を浸したたこ焼きを口へと頬張った。


―――わたしたちは、未熟ッ!


 朝霧はただただ沈んでいくのみだったッ!

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