第百三十四天 聖邪混合ッ!出せッ!超速の一撃ッ!
「ッ!!!フェミニストではないんですけどね」
「うそ・・・でしょ」
三切が驚きとも絶望とも取れる声をあげて、震えたッ!
懐に入り込み、三切の短刀は確実に信の急所を貫くはずだったッ!だが、信は思い切って刀から手を離し、空いた手で間一髪、三切の腕を抑え込んでいたッ!!
三切は信の腕をふりほどくと距離をとった。
「くッ!」
五つのフリスビー手裏剣に行く手を阻まれて、攻め込めないッ!
再び、フリスビーの猛攻は続いたッ!信は避け続けたッ!だがしかしッ!そのフリスビーにはさっきのような気合が入ってなかった。三切の顔色も良くない。
「万策尽きたようだな」
竜牙はそんな三切の心情を見抜いたッ!!!
「ええ・・・。しかし、妙ですよ」
「あん?」
「いつもなら、聖なるパワーが爆裂して、一瞬だというのに、動きが悪いですね。いえッ!そもそも今の信さんなら、凡人の投げた手裏剣なんか敵ではないはず。どうしたのでしょうか?」
「・・・」
朝霧の疑問に、竜牙も表情が曇った。まるで出会った当初の信を見ているかのようなもどかしさだったッ!舐めているのだろうか?いや、信に限ってそのような手抜きをするはずがないッ!
―――クソッ!うまく合わせられないッ!!!
信はフリスビー手裏剣を避けながら、必死で己に流るる気の配分に苦心していた。聖邪混合の妙技を実戦で使いこなそうとしていたッ!!!
桜華・花霞を初めに見破られた時、技を試す相手にふさわしいと判断した。フリスビーに囲まれた時に、一度成功した。その勢いにのって今度は、腕にまとわせ超高速の斬撃でフリスビーを斬ろうとしたが、これは失敗に終わった。腕は足よりも繊細なコントロールが必要だった。強敵を前にして行うのは、まさに自殺行為に等しく、心にまったくよゆうがなかった。
しかし、それでもやらざるを得なかったッ!竜牙が戻ってきた以上、黒王との対決はすぐだッ!こんな練習をできる相手は、そういないのだッ!
―――・・・合ったッ!
足の配分が聖邪ぴったり等分だッ!三切にストレートに走り抜けられるッ!タイミングばっちりだッ!信の視界が目まぐるしく前進し、5つのフリスビーが止まった障害物になるほどの凄まじいスピードだッ!
「うそッ?!・・・なんで、こいつこんなに近いのよ。かまえなきゃッ!えッ!えッ!?手が全然動かないッ!」
三切は信の動きを目では捉えて理解していた。しかし、信が速すぎた。そのスピードは完全なる死刑宣告だったッ!三切は防御しようと必死にあがくが、体がそのスピードに追い付かないッ!!!己の肉体が鈍くてもどかしいッ!!!
「ぐあああああああッ!」
盛大な血しぶきをあげて、三切が苦痛に叫び、フリスビー手裏剣は主を失って、気ままの暴走だッ!
信の一撃は左腕の付け根をばっさりやっていたッ!
信は額を汗いっぱいにして、息が荒かった。
―――ダメだッ!斬撃まではつながらなかったッ!失敗だッ!
信の移動はうまくいったが、斬撃は失敗に終わっていた。
だがしかしッ!朝霧も驚いていたッ!
「・・・凄い。わたしにもほとんど見えませんでした。いや、信さんの今の動き、完全にわたしを超えてますよ。人間なのに凄いッ!ねぇッ!?竜牙ッ!」
朝霧は感動していたッ!
「・・・」
竜牙の顔は曇っていた。
三切は右腕をついて、大量の血に伏していたッ!片腕を失っては、フリスビー攻撃もうまくはいかないだろう。もうおしまいだッ!
「あなたの・・・負けです」
信は息を整えて、刀を伏せた頭に突き付けた。
三切はプルプルと震えていた。
「まだだ・・・まだだ・・・まだだッ!まだだッ!まだだッ!」
突然、ガバリと起き上がると、短刀を振り回したッ!と思えば、美しき太もものハイキックが飛んできたッ!しかもかなり速いッ!
「ちッ!」
信は受けて下がった。片腕を失ったのに、短刀と蹴りをからめた攻撃回数は凄まじいものがあった。そして、なにより三切の目がギラギラと輝いて、気迫に押されたッ!
「まだだッ!まだだッ!まだだッ!まだだッ!まだだッ!」
三切、怒涛の連撃だッ!
フリスビーは力強かったが、ラッシュは素早いッ!反撃を許さぬほどのスピードだから、食らった相手は確実に防戦一方にされてしまうッ!フリスビーを避け、近づかれた時の対処は万全のようだったッ!手負いとは言え、やはり三切ッ!手ごわいッ!
信は今こそ、聖邪混合超速斬撃をッ!!!と試みたが、そのラッシュの素早さにまるで集中ができないッ!!!集中力ももう限界だったッ!
ダメだッ!諦めるしかないッ!
信は心を切り替えたッ!出たッ!聖なるパワーがあふれたッ!
その力はまばゆいッ!
だがしかしッ!
「まだだッ!まだだッ!まだだッ!まだだッ!」
三切の素早い連打は、聖なる力をまとった信をも圧倒したッ!
いや、信の覚醒した力であれば、一瞬で切り伏せられるはずだった。だがしかし、邪でにごり、ピュアを失った信の内なるホーリーは、その力を引き出せなくなっていたッ!!!できてたことができなくなって、ヤバいッ!
それでも信はクールだったッ!白桜寺の枝が枯れていると知った時から、なんとなく感覚でわかってはいたことだった。
器用に三切の攻撃を受けながら、なんとッ!信は刀を鞘に納めてしまったッ!
「まだだッ!まだだッ!こんな若造の当主に殺られるかぁぁぁぁぁぁッ!」
三切のラッシュがスピードを増して迫ってきたッ!
だが、刹那ッ!その動きがピタリと止まったッ!
信の鋭さをました刺突が、三切の胸板を貫いて止めていたッ!
「うぎゃああああああああああああッ!」
―――桜華・滅花一閃ッ!
鞘から放つ白桜寺剣術最速の居合術だッ!
白桜寺数々の技の中でも居合術は少なく、基本の部類に入るものであるが、その極まった居合は、咲いた桜の花びらを全て散らすと言われているッ!
三切は信に抱き付くように絶命したッ!
「・・・感謝しますよ。あなたは強かった」




