第百二十四天 金明帰還ッ!戦士の誇りを取り戻せッ!
「金明、ただいま戻りました」
きれいにならんだ並柱の奥には、金盧が深淵渦巻く闇のごとく座していたッ!
それにくそまじめにひざまずく金明だッ!
その図は王と家来ッ!子供は親の部下。金王一家はそういう教育であるッ!
「・・・帰ったか」
「はい・・・。しかしながら、大聖天は討ち損じました」
「ワシは戻れと言ったか?」
金盧はぎろりと金明をにらむ。迫力が殺意でマックスだ
金明は冷や汗をかいて、さらに頭を下げた
「申し訳ありませぬ。もちろんすぐに、任務へと戻らせてもらいます。ただ、不測の事態が起こったがゆえに、報告に伺った次第であります」
「作戦通りにやらなかったのか!」
金盧は怒って、立ち上がったッ!
「いえッ!父上の作戦を忠実に遂行したつもりです。、大聖天がてんで話にならない軟弱野郎で、あの女が生かしたまま去っちまったのは計算外でしたが、間違いなく大聖天をやれる状態にありました」
「たわけッ!やれる状態にあったのなら、首を持っておろうがッ!」
「はいッ!しかし、とつぜんドアが現れて、得体のしれない野郎が俺の邪魔をやがって・・・。そいつがまたべらぼうに強くて・・・」
「ドア?なにもないところにか?」
「はッ!」
「なんと・・・」
金盧はそこにきて、驚いてぼっとした
「父上、ご存じなのですか?やつは一体何者で?」
「まさか、本当に存在しているとは・・・金明よ。そやつの名は世界王ッ!」
「世界王ッ!?」
「ワシも伝説にしか聞いたことはない。大聖天のみが会うことを許されるこの世界の王だ」
「なんとッ!?」
「その者が、大聖天のとどめを邪魔したのか?」
「はい。連れ去られました」
ふぅん、と金盧は考えた。
長く生きてきて、こんなことは初めてだ。そして、世の伝説の一つが真実で関わりをもってきたことに、なにか計り知れぬものを感じていた。
「あの世界王が関わってくるとはのぅ・・・」
金盧は黒王の深黒なオーラの恐ろしさを思い出して、身震いした。あの女の強さも馬鹿みたいなレベルだ。伝説の一つや二つが現れてもおかしくはない。
「そんなにやばいのですか?父上」
「・・・い、いや、なぁにしょせんはただの大聖天と魔の戦いよ。・・・金明よ。再度わたり、次こそ大聖天を仕留めるのじゃ。やつは生きている」
「いや・・・でも、しかし、あの世界王って野郎は、只者じゃありませんぜ?」
金明は言葉をつまらせながら言った。
「・・・何が言いたい?」
「・・・父上、ここはひとつ、ご助力を願えませんでしょうか?」
金明は意外にも素直に援護を求めてきて、金盧はびびった。あれほど自分の腕に絶対の自信を持っていた金明が、ここまで萎縮してしまう世界王の実力もまた只事ではないと、金盧はわかったッ!
「ば、馬鹿者ッ!ワシが出向けば、大聖天はおろか、魔も世界王もひれ伏すじゃろうて。だが、この国を空けるわけにはいかんッ!断じていかんッ!ワシは魔の長、金王じゃ。この国におらねばならぬ存在なのだ。わかるな?」
「はッ!」
「金明よ。情けないぞッ!戦士ならば、他の力に頼るな。己の力で成し遂げて見せよ」
金明ははっとしたッ!
―――そうだ、俺は戦士ッ!魔の国最強の戦士、金明なのだッ!
金明は戦士としての誇りを取り戻したッ!!!
「今、大聖天はどこにいる?」
「それが世界王の野郎に連れ去られてから、消息がさっぱりで・・・。しかし、奴の連れがどうやったか知らねぇが、今は半島の聖域にいるらしい。あの軟弱野郎なら、ぜったい仲間のところに現れるに違いねぇッ!」
金明は握りこぶしをして、やる気にあふれていた。
「わかった。ワシはいけぬが、選りすぐりの戦士をそちらへ送ろう」
「ッ!!なんと、ありがたき幸せ」
金明は感動のあまりにひれ伏したッ!でかい体が小さくうずくまって、なんだか格好が悪い
「良い良い。家来とはいえ、我が息子。案じぬ父ではないわ。・・・次こそは必ず仕留めろ。良いな?」
「ハッ!」
金明は、闇の中へすぅっと消えていった。
深き闇の沈黙だけが残されると、金盧は玉座へどかっと乱暴に腰かけると、息をつくのだったッ!




