第百十三天 風穴終焉ッ!竜牙死すッ!?
「やった・・・」
信が声をあげた。
五神武の聖なる力はもっとも神に近いパワーだ。そして、反発する者には容赦ない洗礼だッ!
光の柱はすべての闇を呑みこむまでそれは続くのだろう。
さすがに生きてはいられまいと、竜牙はほっと気を抜いた。
だがその刹那ッ!!!
「つけあがるなッ!!!」
光の柱がいきなり狂いだして、破砕したッ!
「なにッ!?」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
吹きだしたる宵闇の夜の深黒な闇が、光を捻じ伏せていくッ!
ビシィビシビシィッと、黒王の体には細かい切り傷ができているッ!だがしかし、ぎゅっと掴んだその五神武は、光を塞がれ、黒王の手におさめられてしまったッ!なんということだッ!黒王の力は五神武のそれをも上回っていたのだッ!
竜牙はぼっとしてしまった。
「なにをおどろいている?武器に使われるほど、我は愚かではないわッ!」
黒王はわらった。まとった深黒なオーラもそれに合わせるようにゆれている。邪悪なパワーが強大過ぎて、それは意思を持ってるようだった。
「・・・それにしても、我に本気を出させるとはな。貴様にしては上出来だ」
「ハッ!本気だのなんだの言ってると、ザコに見えるぜ」
「なんとでも言うがいい。貴様はもう終わる」
刹那、黒王の漆黒の闇が視界を覆っていたッ!
―――竜牙なのに、全く見えないッ!!
膝蹴りを入れられて竜牙はふっとんだッ!
「ちッ!」
竜牙は光をまとったッ!出たッ!シャイニングアーツッ!
宵闇の闇が動くッ!もう目ではおえないッ!第六感を信じて、気配を負う。後ろだッ!
だがだがしかししかしッ!竜牙は振り向けなかったッ!振り向く前にはもうブッ飛ばされていたッ!やはり早すぎるッ!
―――・・・立て直せッ!もっと力を集中させろッ!
竜牙は光をまとうのではなく、体の動かす一点に集中させて、さらなるスピードを獲得したッ!黒王になんとか追い付くッ!
「ホゥ・・・追いつくか」
もうめちゃくちゃに斬撃が飛び交うッ!だが、十秒と持たずに竜牙は傷だらけになったッ!
「竜牙ッ!?どうしたの?」
わけがわからないまま見守っていた明江が、力の抜けた竜牙の異変に気付いた。
「・・・負担が大きすぎるんだ」
信が絶望である。キヨは目をつぶって祈るばかりだった。
「もう限界のようだな」
黒王は五神武を空へと放り投げた。そして、空いた両手に暗黒邪気をまとわせ、竜牙をめちゃくちゃにぶん殴った。目にも留まらぬ速さに、竜牙はあっという間にぐったりとした。その胸倉をつかみ、落ちてきた五神武もつかむッ!
「塵となれ」
―――ブラックスパイラルッ!!!
黒王の剣が竜牙の胸を貫いたッ!その切っ先は漆黒のドリルとなって、地平をのび貫いたッ!
信たちには、ただ黒い槍が貫いただけに見えた。すさまじい衝撃も何もなくただ静かに、恐ろしい出来事が起こった。
「ッ!?山が・・・」
明江が指をさしたッ!
「なッ!?・・・山がないッ!」
黒王のブラックスパイラルは静かだったッ!だがしかし、その漆黒の螺旋は触れたモノを触れた部分だけでなく、完全に消滅させていたッ!葉がかすった程度ですら森の木々は消え失せ、その先に突き刺さった山の斜面は、斜面だけでなく、山のすべてを消し去っていたのだッ!
「竜牙はッ!?」
信は、黒王の方を見た。竜牙は少し離れていたところに倒れていた。
信は一瞬良かったと思ったが、
「竜牙~ッ!!!!!」
と、明江の悲鳴でハッとした。全然よくないッ!竜牙は胸に風穴を開けられていたッ!
目の前で何かが動いたッ!
「おばあちゃんッ!」
明江がおどろいたッ!キヨが竜牙へ走り出していったッ!
そして、竜牙の体の前に立ちはだかって、両手をひろげた。
「虎麗さん、もうやめてッ!勝負はあったじゃろッ!」
「フフフ・・・ハッハッハッ!ハァーハッハッハッハッハッハッ!78年前と逆転したぞッ!無様だな竜牙ッ!」




