第百十天 格差天地ッ!竜牙の咆哮ッ!!!
「ギギ・・・ギギギ・・・ギギギギッ!
蚊は浮かんで嬉しそうに竜牙を見ていた。蚊の竜牙に対する想いはすさまじいものだったッ!だがしかし、その思いは一方通行止めで、蚊に竜牙は一目も見なかった。
ただ、大空を見上げて、大自然をさぐるようだった。
「てめぇの望み通り、五神武を持ってきてやったぜッ!いるんだろ?・・・黒王ッ!」
「ッ!?」
「ッ!!?」
「ッ!!!?」
「・・・?」
瀕死の朝霧も明江もみんな、おどろいた。こんな戦場でいきなりの呼びかけなのと、黒王が誰なのかと、疑問が雨あられだ。
「ギギッ!」
蚊は無視されたのが気に入らなかったのか、超速で竜牙に襲いかかってきたッ!
「危ない、竜牙ッ!」
戸口から、明江が叫んだ。それでも竜牙は不動である。肩に五神武の透き通った刀身がきれいなだけである。
時速600キロの滑空は、あっという間に羽音が迫った。だがしかしッ!竜牙には遅すぎた。
「うざってぇんだよッ!」
五神武クランツ・クレールが一たびまたたいたッ!だが、蚊のはるか手前を斬っただけだッ!外したッ!?いや、蚊はバランスを崩したッ!あまりに速い斬撃に旋風が巻き起こり、蚊の羽を吹きあげたのであるッ!
「しね」
「うぎゃあああああああああああッ!」
返す刀で、そのまま真っ二つにされて、死んだッ!
信と朝霧はそれにあぜんとした。まさに、一・撃。
―――これが・・・力を解放した・・・真の・・・大聖天・・・。
中聖天や中魔人、いや、何か形におさまるようなものではなかった。これこそ、ゴッド・・・。
「フン!虫は、無視するに限るぜ」
竜牙は五神武を肩に戻して、息をついた。久々にでてきて、ダジャレを言うこのよゆうッ!
―――刹那ッ!
中で真っ二つになった蚊がやかましい爆音とともに、粉々に消し飛んだッ!本当に一瞬で、その舞い上がる煙の中に、黒王の姿があった。
「待ちかねたぞ」
ライダースーツの銀髪が、怪しいほほえみを浮かべたッ!
「虎麗さんッ!?虎麗さんでしょ?」
キヨがおどろいたような、なつかしい声をかけてきたッ!
「虎麗さん?え?あ、え?」
明江はわけがわからなかった。美しい銀髪の女は、レストランで信と見たあの女に違いなかった。そして、そのあと、信にこの世の絶望とまで言わしめるほどの、恐ろしい邪悪を見せたのだ。
しかし、キヨのなつかしさは包帯などを届けてくれた竜牙の同僚の人と思わせる。それなら、聖天なのか。
「・・・忌々しい女め。まだ生きていたか。その名はとうに捨てた。我が名は黒王ッ!」
「黒王ッ!?」
キヨはびっくりしたッ!
ぐわぁっと、深黒なパワーが黒王からあふれ出たッ!突き刺さる世界の絶望は、金若の戦意を奪い、竜牙ですら冷や汗をかかせるレベルである。とにかく最強にヤバい
だがしかし、それでも今回の竜牙は一味ちがう。そんな空気もものともしない。これが真の大聖天の実力というものだ。
「五神武を手に入れて、かなりパワーが上がっているようだな。・・・いいぞ。今こそ貴様を倒して、最強の座を手に入れてみせようぞ」
「あん?てめぇ、まだそんなくだらねぇことにこだわってんのか?」
「聖天に興味はない。ただ、貴様という存在を抹消しにきただけだ」
「野暮用だな」
「すぐに終わる」
黒王は強気のスマイル。そして、胸元のジッパーを開けてセクシーかと思うと、刀を出した。
「あれはッ!!!」
そこでさらに朝霧が瀕死のくせにびっくりしたッ!いや、本物なのかはわからなかった。だがしかし、刀に宿る聖なるオーラの流れは明らかに五神武だったッ!
―――五神武ハーン・クレール
本来、大聖天が持つべきはずの世界に五本だけの武具を、なぜこのようなダークな存在が手にしているのかッ!
つまり、持ち主が殺されたッ!それ以外になかったッ!
それは同じ聖天である朝霧を恐怖のどん底へ突き落したッ!!!
こいつは、ヤバいッ




