第百六天 遅めの朝食ッ!ごはんに味噌汁、平和を添えて
「ハッ!しまったッ!」
朝霧がぱっちり目を覚ましたのは、10時だった。
明らかに眠りすぎた。買い出しのダメージが思ったより出ていたッ!
茶の間へでると、ラップされたごはんと味噌汁がおいてあって、明江がおはようと、優しい女子高生のヴォイス。
「・・・ああ、おはよう。すいません」
「え?何故に?」
「眠りすぎてしまったもので・・・。いや、慣れない事はするもんじゃありませんね」
朝霧は恥ずかしそうに言い訳である。その言い訳もまた恥ずかしくてスパイラル
「あはは。大丈夫だよ。おばあちゃんもね、昨日の買い出しで疲れたんだろって言ってたから。お茶入れるね」
「すいません」
朝霧は食卓についた。ごはんと味噌汁がさめていて微妙だったが、そこは愛とぬくもりで乗り切るッ!この家にレンジはなかった
「信さんは?」
と、朝霧は食べながら、広がる原っぱを見ていた。黄色い花畑にキヨは包まれていた。
「滝にいったよ」
「お父さんとそっくりだね」
「はい、お茶ッ!」
「どうもありがとうございます」
時間はゆっくりで、何にも急き立てられることもなく、生きるためだけの日常がそこにあった
それは朝霧の心をほぐし、安らぎを与えた。ふっと表情がゆるんだ
「なんかさ、こうしていると夫婦みたいじゃない?」
「えぇッ!?」
明江の大胆発言に、朝霧はびびったッ!こいつは、結婚させられたいのかッ!?
「日曜日に旦那をいたわる奥さんッ!みたいな感じ?うふふ」
「こんなかわいらしい奥さんと、ゆっくり休日が過ごせるなら、幸せでしょうね」
「ほんとッ!?じゃ、結婚する?」
「ふふふ。わたしは聖天ですから、戸籍もありませんよ。それにしても、平和ですね。こんなのどかな生活がずっと続けばいいのに」
「朝霧は平和な方がいいの?」
「もちろん、なにもない方がいいですよ。本当の意味で血なまぐさい戦いがいいなんて人は、そういないでしょう」
「じゃあ、さ。戦いなんてやめて、朝霧も普通の生活すればいいんじゃない?」
「えぇッ!?すごいことを言いますね、あなた」
「朝霧の他にも、いっぱい聖天はいて、戦っているんでしょう?それなら、朝霧がやらなくてもいいじゃない。わたしは刀をふるう朝霧より、今のニコニコした朝霧の方がいい」
明江の乗り出して必死な姿は、娘らしくてかわいい。朝霧はこれに弱いッ!ぐっと飲み込まれて、ドキドキしちゃうッ!
「ふふふ。そうはいかないよ。魔との戦いは聖天の使命。他人任せにはできません」
「そっかぁ」
「竜牙はまだ眠っているんですか?」
「うん。全然起きないのッ!昨日から何も食べてないし、死んでるんじゃないのッ!?」
「大丈夫。刀と語り合いをしているんだよ」
「刀?あの刀ってしゃべるの?」
「そういうわけじゃありませんが・・・。まあ、大丈夫だってことです」
「ふ~ん」
「キヨさんの手伝いはいいの?」
「あッ!ちょっと手伝ってくるね」
明江は思い出したように立ち上がって、土間のジョーロをとると、飛び出してった。
「ふふふ・・・のどかですね」
朝霧は原っぱをながめた。
―――刹那ッ!
「キャアアアアアアアアッ!」
明江の黄色い悲鳴ッ!家の目の前ッ!
朝霧は立ち上がったッ!
「明江さんの悲鳴?」
信も滝から飛び出したッ!




