第百二天 キヨの反発ッ!始まる一日
キヨの発言に、朝霧と明江はかたまった。どういう事だッ!?
「あのころは人間同士も争いがあって、男どもはみんな出払っていてね。町には老人と子供、女しかいなかった。そこへやってきて、やりたい放題したのが魔たちだったのよ。まるで山賊だったわ。そもそも、あんな奴らが約束なんて守るはずがなかったのよッ!」
キヨは凄惨な過去をふりかえって、大激怒だッ!
「戦争なんて大嫌いよッ!聖天とか魔とか、何千年争っているのか知らないけれど、愚かだわ。・・・でもね、少なくともあの時、わたしたちの町を守ってくれていたのは聖天たちだった。その恩を裏切って、聖天を生贄にささげた町長たちは人間のクズよッ!みんな殺されれば良かったのよッ!」
キヨは顔真っ赤ッ!この情熱はパワーに満ち溢れていたッ!
「殺されればって・・・そんな」
と、明江はめちゃ困った
「いいえ、殺されれば良かったのよ。本当」
「町長たちが、魔に加担して、大聖天様を殺したという事ですか?」
「そう。で、竜牙に助けてもらったの。助けてもらったらもらったで、今度は竜牙にすり寄って、魔にも劣る外道よッ!・・・わたしゃね、そんな町の連中がイヤでここに住んだのよ」
「そうだったんです・・・か」
朝霧もなんと言っていいかわからなかった。
「争いがイヤって気持ち、わたしもわかります」
明江が言った。
「争いがなかったら、その大聖天って人も死ななかったし、キヨさんだってこんな思いをしないで済んだ。・・・争いが全部いけないんだわ」
超演説の明江に、キヨはきょとんとした。し~ん
「・・・まあ、起こっちまったことはどうもしょうがないね。それでも生きていくしかない。せっかく来てもらったのに、つまらない話をしちゃったねぇ。どっこいせッ!」
キヨは腰をあげた。
「どこへ行くんですか?」
朝霧は心配そうだ
「庭じゃよ」
キヨはいつもどおりのピュアスマイルになってた。
一方、信は滝に打たれてもなんの解決もなかった。ただただつらい思いだけがチャージされるばかりだッ!
「ちッ!」
信は滝から飛び出して、服を着た。
のどかな森は新緑の若葉を透かして、日光が斜めにうつくしい
それだけで心癒される風景である。信は軽く散策して戻った。
花畑では、キヨがハンドアクスをふりかぶっていたッ!
そばには明江がしゃがんでいて、朝霧が庭に出た廊下から足を投げ出して、ぼうっとしていた。
かこっとへなちょこな音がしたッ!
ハンドアクスは、真下の木に直撃したが、威力がなさすぎて割れてない。
いや、誰も手伝わないとかおかしいだろッ!と、信は正義感から、走りよっていった
「キヨさん、まき割り、わたしがやりましょう」
「手伝ってくれるのかい?」
「はい。わたしも実家ではよくやっておりました」
くッ!こんな時にも、白桜寺が入り込んできやがるッ!信は苦しい顔だ
「じゃあ、任せてもいい?」
「やらせてください」
信は超ヤル気である。何かで気分をごまかそうとしていたッ!
歴戦のババア、キヨはそれを見抜いて、
「じゃあ、あれもお願いね」
と、小屋の脇の丸太を指さした。めっちゃくちゃ多いッ!会社でもやる気かっというくらいだッ!
「あれ・・・全部ですか?」
信もちょいびびった。
「そう。全部」
「わかりました」
信はもくもくとまき割りを始めた。
すぱこーんっという軽快な音に、
「うわぁ~ッ!信って、まき割り上手ッ!」
「フッフッフ、キヨさんには負けますが、わたしのまき割り歴も負けてはいませんよッ!」
信は調子にのって、ぱこぱこやりだしたッ!
どんどこ間をおかずにやっているうちに、頭が少しからっぽになってきた。
滝のようにじっとしていない分、まだ気がちって良かった。
バタフライが花の周りを待って、それはのどかなパラダイスのようだった。




