消失 と 発生
佐竹美穂が家に来てから5日が経った日の事だ。
美穂も大分落ち着いてきた感じで、今は協力し合って暮らしていた。
美穂が仲間に加わったことで、正直大分楽になった。
修也と弘人が交代で画面を監視していたが、1人増えただけで大分違う。
現在美穂が画面を監視しているので、修也は休憩していた。
カスタードが入ったクリームパンを手に、ソファに寝転がっていた。
右腕の肘をソファに置き、右手に頭を置いて左腕でパンを持っている。
まるでオヤジのような格好で、パンを口にしていた。
その様子を見た弘人も呆れて息を吐いた。
「修也お前なー」
弘人の存在に気づいてもなお修也は動く気になれなかった。
なんとなくだるい・・・。
「そろそろ美穂ちゃんと代わったらどうだい」
美穂が監視を始めてから2時間程度が経過していた。
修也は休日は基本4時間で休憩、のテンポで監視している。
美穂には半分である2時間と設定していた。
手に余ったのこちのパンを口に押し込め、ゆっくりと立ち上がった。
両手を上に伸ばして、全身で伸びた。
「じゃあやるか」
モニターがある部屋に入ると、美穂は椅子に座ってしっかり画面を監視していた。
ただ眺めているだけの苦痛な作業だが、ここ5日きっちりこなしている。
修也が部屋に入ると美穂は画面から修也に視線を移した。
「美穂さん、交代。ゆっくり休んでて」
すると美穂は少し微笑むと、立ち上がって会釈した。
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
「任せてよ」
美穂は朝の7時から監視を始めてくれた。
修也からして助かるのだが、彼女について色々と心配になる。
しかし今のところ美穂は元気そうなので、気にしないことにした。
そしてモニターの前にある背もたれ付きの椅子に座った。
ぎぃと椅子から音がすると同時に美穂が部屋から出て行った。
ここから仕事が始まった。
標準的なデスクトップのPCの画面くらいの小さなモニター画面に映る日本地図を監視する。
赤い幾つもの点が全国の高校を示していて、直視し続けると目が痛くなり、時々目薬を使って軽く目を休めたりしながら監視を続けた。
一応反応が消えると画面に警告メッセージが表示されるので、細かく見ている必要はない。
ほぼ何も音がない状態の部屋で、遂にその時が来てしまった。
修也は椅子に座りながら大きく伸びた。
伸び終わると同時に大きく息を吐き、時計を確認した。
午前11時。修也が監視を始めてから1時間が経った。
何かだるくて画面を見続けるだけで体力が奪われていく感じだ。
しかし画面には今まで見たことのない表示が現れた。
修也はゆっくり表示された文字を読み上げた。
「んー・・・岐阜私立山富学園高等学校の反応が消えました・・・・・」
しばらく画面をじーっと見つめて、それから修也は我に帰って椅子から立ち上がった。
「・・・大変だ・・・・・」
修也は急いでモニター室から飛び出た。




