戦友 と 結成
家に帰ると美穂を居間に案内した。
父、弘人も駆けつけた。
美穂が深々と礼をして言った。
「突然訪れたりしてすみません。私今家にいても何も楽しくないんです。その事件が起きたのは1年前なんですが、まだ立ち直れなくて・・・・・」
弘人は優しく声を掛けた。
「頭上げていいよ。えーっとまず君の名前は?」
美穂は顔を上げて言った。
「あっすみません、自己紹介もせずに・・・。私は高校2年の佐竹美穂っていいます」
「私は修也の父だ。よろしくね」
「はい!よろしくおねがいします」
修也は段取りを見て、口を開いた。
「美穂さんは家族にこの事いってあるの?」
すると美穂は顔を暗くして呟いた。
「私・・・家族はお母さんとお父さんの3人で暮らしてますが、とてももう過ごす気にはなれません。だって私以外誰もあの事実を知らないから常にクラスの皆が頭に思い浮かんで私を攻撃するの。俺たちを踏み台にしやがって、とか・・・。
誰にも相談できないしもう精神的にどうかなってしまいそうです」
修也は重い息を吐いた。
同時に弘人が口を開いた。
「美穂ちゃんの気持ちは私にはよーくわかる。修也もわかってるはずだ。だからここではあの事実の事ならなんでも相談していい。それと・・・美穂ちゃんがここに来た理由というのは―――」
「ああ!すみません!要件も言ってませんでしたよね。あの・・・修也君から聞いたんですけど、戦うって本当なんですか?」
弘人は落ち着いてはいるが、戦う、という事には過剰に反応した。
「美穂ちゃん、君はまだ若いしこれからも自分の人生を切り開いていけると思う。だからこの件については首を突っ込まないでくれないか?相談ならなんでもいい。でも君を巻き込むわけにはいかない」
すると美穂は寂しげな表情になった。
修也も危険を承知だが、弘人の説得を試みた。
単に戦力が欲しいわけではない。
心が病んでいる美穂を助けてあげたいのだ。
「父さん、美穂さんはただ興味本位でここに来たわけじゃない。父さんも経験してるから細かくは言わないけど、仲間の存在を一瞬にして全て失うことの辛さはわかるだろ?だったら俺たちと一緒に過ごさせてあげないか?」
弘人は腕を組んで俯いた。
美穂は申し訳なさそうに下を向いている。
「美穂さん」
修也が尋ねると、美穂と修也は目が合った。
修也は真剣な眼差しで言った。
「もし俺たちと過ごすことになったら覚悟はあるか?」
美穂は唾をゴクリと飲み、言った。
「・・・はい!仲間のためですから」
「じゃあ厳しいことを言うようだけど、死ぬ勇気はあるか?」
「え!?」
美穂は目を見開いたが、脳裏に仲間のことが浮かんだんだろう。すぐに真剣な表情に戻った。
「『真と嘘』を終わらせることができるのなら私も死ぬことはできます」
「そう・・・・・か」
しばらく重い空気が漂うが、弘人がそれを破った。
「美穂ちゃん。君の真剣な気持ちは伝わった。だから一緒に過ごすことはいい。だが命が危険になったときはすぐに逃げてくれ。たとえ私が危険な状況であってもだ。それを守れるなら一緒に戦っていこう」
「修也君、そしてお父さんのいう事は全て従います。無理なお願いを飲んでいただいて本当にありがとうございます」
修也は真剣な表情から優しい表情に変えて言った。
「じゃあ美穂さん、これからよろしく」
弘人も続けた。
「頑張っていこうな」
美穂は精一杯の思いを呟いた。
「ありがとうございます」




