襲い来る脅威!! 危機回避の為の政策提言 Act.4
書類にきちんと目を通し、サインをしながら、ふと思う。
城の研究者たちに魔力の成長期間を終わらせる方法を、解明させれば良いのではないか?
多少時間はかかるだろうが、優秀な研究者ばかりだからきっとこの悩みも解決するに違いない。
「セズシル……」
「何でしょう?」
勢い良く宰相を振りかえって、名前を呼び掛けた途端に目にした微笑みに、何でも無いと反射で謝った。
次の書類に目を通す。
考えよう。
そんなこと、セズが思いつかない訳が無い。
折り良くも、目にした書類は、研究者たちからの研究費予算増案書に対する廃案書……。
魔王は自分の反射に感謝した。
数日後の朝、魔界の宰相セズシルバスは、登城を果たしていつものように執務室前へと転移した。
ノックをして名乗るとすぐに、入れとの声がかかる。
「セズシルバス!!」
中に入ると挨拶をする暇もなく名を呼ばれた。
またか……。
面倒臭さに魔界の宰相セズシルバスは、思わず舌打ちをしたくなった。
「セズシルバス!勇者を招くぞ!」
自信を粉々に打ち砕かれ、数日、言われるがままに仕事をこなしていた魔王陛下は、希望に瞳を輝かせ、そう宣った。
魔王の手元には一冊の絵本……。
魔区外のものと思われるその絵本には、少し離れたこの位置からでも読める程に、デカデカとした太文字で、
『勇者の冒険~女神の守護と魔王退治の旅~』
と、書かれていた……。
これで、政策提言シリーズは終わりです。
お楽しみ頂けたでしょうか?
4つセットで、リズムと勢いで書いた(つもりな)ので、4つ通して読んでもらえると嬉しいです。
特に何が変わるという訳ではないけれど……。
暇で死ぬという方は、お暇潰しに是非トライをっ!!
次回は、面子を増やしてお茶会になります。