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栄華に生きる偉大なる歩み 其の四歩


久しぶりに一カ月以内に更新!


今日、ものすっごく暑かったですね。もう昨日だけど。

朝から30度越えなんて信じられない位だけれど、まだ8月半ば。

なんかまだまだ、こんな日ありそうですね。

熱中症に気をつけねば!

皆さんもお気をつけて。


この『二代目勇者の災難』投稿ひとつ分は、携帯表示で2ページ以内っていう拘りがあったのに……。

この頃さっぱり、守れてません。

すっかり開き直ってしまって、今回も3ページ。

いいや、書きたいだけ書いちゃおう♪




 魔王城理化学研究部研究所では、主な研究対象として魔力を扱っている。


 研究を進めるにあたって魔力は無くてはならない存在だった。


 資料や実験媒体としては勿論のこと、実験器具や装置の動力も魔力なので、それはもう、膨大な魔力が必要なのである。


 研究部員だけでは必要な魔力の百分の一も賄えきれない程の、膨大な魔力が。


 足りない魔力は外部から調達するより他になかった。



 外部から魔力を調達するには、魔力を宿す者から提供してもらう方法と、魔力が結晶化して固体状となっている【魔結晶】という物質を入手し使用する方法の二通りがある。


 前者は人を雇うことで、後者は業者から買い取ることで調達するのだが、どちらの方法にしたって、必要な魔力量に比例して莫大な金が掛かるのだ。



 【魔結晶】はかなり希少な物質で需要もばか高く、市場に上がること自体が珍しい。


 故に、大抵は人を金で雇う事で魔力を提供してもらうのだが、生物に宿る魔力は酷使すればその者が死ぬ危険がある。


 かといって大勢から少しずつ調達していてはそれだけで手間も時間も掛かり、それでは肝心の研究が進まないので、多少、命の危険がある事には目を瞑り、魔力量の多い者を数名雇って絞るだけ絞り取り、ローテーションで休ませる方法を取ることになる。


 命に関わる上に長期間拘束する事にもなるので、それだけの大金を積まねば誰も雇われてはくれず、魔王城理化学研究部では常に魔力に飢えていた。



 『科学技術による魔力生産方法の発明』を成し得るためには今まで以上に魔力が要る。


 けれど、現在の研究費予算だけでは到底魔力が足りずに、最悪、研究自体を凍結し諦める羽目になるだろう。


 予算会議では幾度となく、研究費予算増案書を提出し訴えてきたが、結果は惨敗。


――なんとかしなくてはならない。


 追い詰められた私達は、予てから目を付けていた魔王陛下に、とうとう手を出す事を決意したのであった。




 私達が喉から手が出る程渇望している膨大な魔力を、陛下は日々垂れ流しにして無駄に持て余している。


――嗚呼、なんて勿体ない!あれを使わずにいて何とする!


 前々から、部長ルード・エリテスを始め、魔王城理化学研究部に身を置く者達は、陛下の魔力を研究に使いたいと羨んでいた。



 しかし、陛下には行うべき執務がある。


 研究に使う魔力の提供の為に魔王陛下を拘束し、研究に付き合わせる事は、真の魔王と影で噂される宰相のセズシルバスが許さないだろう。



 昨日、完成したばかりの発明品である装置は、設定した対象者の魔力を、対象者の行動や居場所に関係なく、例え対象者との距離が離れていようとも、その装置の使用者が自由に使う事ができるというものである。


 つまり、魔王陛下を対象として設定すれば、陛下が何処で何をしていようとも、装置の使用者は好きなだけ魔力を頂戴する事ができるのである。



――これで、少ない研究費を遣り繰りしていく苦悩とはおさらばだ!!


――足りない魔力の為に研究が進まず、悶々とする日々を送らなくても済む!!



 そんな思いで私たちは笑みを交わし合い、部長は高笑いをしていたのである。


 魔力供給源として対象を設定する為には、対象とする者の身体の一部を装置に取り込まなければならない。


 医務室へと運ばれた翌朝、目を覚ました部長ルード・エリテスは、早速、自ら採取に出掛け、私はそれに付き従った。





「さて、テーナ君。」


 今まで、向かい来る風を切るように廊下を突き進んでいた部長が、突然その足を止めた。


 此方を振り向いた部長の深い藍色の瞳が、まっすぐに私を見つめる。


 ドクドクと五月蠅い心臓をなだめ、動揺した事を悟られぬよう、まっすぐ部長を見返した。


「今から陛下を構成する体細胞の一部を採取しに行こうと思っているのだが、何処へ向かえば手に入るだろうか?」


 部長は天才的な研究者である。


 けれど、部長は研究熱心なあまりに他の事への興味がなく、研究以外の事についてはからっきしの駄目駄目っぷりであった。


 陛下が居る所など簡単に見当が付く。城の者なら、それも裕に百年以上も城に仕えている者ならば、知っていて当然のそんな事でさえも、部長ルード・エリテスは知らなかった。



 アルワス・テーナは、未だ鳴りやまない心臓に、気が気ではなかったが、なんとか部長の問いに答える。


「そうですね、陛下に気付かれる事無く体細胞を採取するとすれば、陛下の私室で、落ちててる毛髪でも探せればいいんですけど、さすがに私達が陛下の私室に出入りする事などできませんし……。私達でも立ち入れそうな場所で陛下が居る所となると、謁見の間ぐらいだと思います。陛下が謁見の間を離れている間に玉座などを調べてみるといいかもしれません」


 ちょっと声が上ずって、若干早口になってしまったような気がする、そんな説明にも、部長は何か勘づいた様子も無い。


――ちょっとは気付いてくれったっていいのに!


 理不尽な事は分かっていながらも、部長に対してムカつきを覚えた、その時――――



「陛下の身体の一部など、何に使おうというんです?」



 後ろから降って湧いた、何気ないその声に、ザッと血の気が引くのが、自分でも分かった。


 その場で凍りついたように固まった、そんな私の様子にも、鈍感な部長は何ひとつ気付いた様子も無く、私の背後に居る人物に向かって馬鹿正直に答えてしまう。


「ハッハッハ、知りたければ教えてやろう。私の発明品が昨日、遂に完成してね。陛下の身体の一部さえあれば、陛下が何処で何をしていようとも、好きなだけ陛下の魔力を利用できるのだよ」


 影の魔王と囁かれるその人物のその顔は、……部長だって、知っている筈であったのに。


 部長は天才的な研究者ではあったが、研究以外の事に対してはからっきしの、駄目駄目っぷりなのであった。



 振り向きたくない。


 振り向きたくないけれど、自分よりも上の立場の者に、いつまでも背を向けている訳にはいかない。


 私はギギギッと音がしそうな程のぎこちない動きで、固まった身体を振り向かせ、後ろの人物と向かい合った。



 そこには――――


「ほう、それは素晴らしい発明ですね」


 そこには、にこやかな笑みを浮かべる、魔界の宰相、セズシルバスの姿があった……。




 終った……。





恋愛小説、読むのは凄く好きだけど、書くのは苦手。

恥ずかしくて、ぐおおおって悶えながら書いてるのですよ。

その割にぬるいですが。

うぐふぁ!って血反吐吐きたくなる気持ち、分かる人いらっしゃるでしょうか?

そんな訳で、っていう訳でもないけれど、「栄華に生きる偉大なる歩み」は次で最後です。


ホントはこの栄華の歩みは、部長視点で書こうと思っていたんですよ。

恋愛なんて欠片も絡まず、始終、あの高笑いなテンションで。

男性陣ばっかりで主要な女の子二人しか居ねーじゃねぇか!

ってことで、女の子増やして、視点変えてみた訳です。

お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、この『二代目勇者』、話ごとに「食」だとか「眠り」だとかテーマがある事があります。

今回のテーマは「研究」と「野心」、そして「歩み」。

其処に、視点変えたついでで気紛れに恋愛要素入れてみたのですが、結果、

うぐおぉおおぉと悶えながら書く破目に。

生温かい目でもいいので、どうぞ見守ってやってて下さいまし。


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