満腹竜の息吹は何処? グルメを廻る旅の五食
成績通知が届き、無事に卒業出来る事が判明いたしました!
嬉しさ余って、投稿します。
「――コッ、コレは!!」
昨日の男を宝玉で見つけ、捕まえてきた【金の鳥】を見せると、その隣の男が目を見開いて大声を上げた。
「でぇッ、伝説の【黄金の鳥】!?」
なんと、オレが捕って来た金色の鳥は、100年に一度、人々の目に触れるか触れないかという伝説級の代物だったらしい。
オレが捕って来た金色の鳥は、その全身が黄金で出来ているかのように輝きまくっており、【金の鳥】の内でも別格にあたる最上級のモノであったらしいのだ。
普通の【金の鳥】というのは、金に見えない事も無いという程度の茶色の鳥で、一部にでも金色が混じれば上物なのだそうだ。
――そうか、魔王の髪色って『上物な金の鳥色』だったのか。……喰ったらそこそこ、美味いだろうか?
昨日の男の隣の男は、あの時、話に上った前回優勝者であった。
オレが当然として「やる」と言ったら、恐縮されて拒否られた。
――こいつら馬鹿か?オレじゃ調理出来ねえだろうが!
その旨を伝えて、オレは断固として【黄金の鳥】をそいつ等に押し付ける。
コンテスト終了後、絶品料理の無料配布は予定通りに行われ、配布前に【黄金の鳥】提供者として紹介されたオレは、街中の人間から神の如く崇めたてられた。
そして捧げられた数々の料理はどれも美味く、オレは最高の一日を送るのだった。
……【黄金の鳥】の肉入りスープ。アレは、言葉には出来ねえ……。
まだ、明日もある。
そう思ったオレは、深夜を回る前に宴を切り上げ、宿へと帰った。
帰り道に、懐の薬の事を思い出したオレは、ちょっくら医者宅に忍び込んで、寝ている勇者に飲ませてやった。
医者も勇者も、もちろん、起こしてなどいない。
何しろオレは、将軍だからな。
住人を起こさず他人の家に侵入するなどお手のものである。
まあ、一応夜遅くだからな。オレなりの気遣いだ。
その夜、【農の国】の王都、某町医者の診療所兼自宅から、男二人分の絶叫が響き渡った。
何事かと起き出してきた近隣の住人達は、診療所のベットの傍で絶叫しながら尻餅つきつつ後退している町医者と、ベットの上で絶叫しながら、筋肉だとか血管やらを、左の腿の辺りから、うねうね伸ばす魔物を見た。
【黄金の鳥】の宴で盛り上がり、同一の信仰対象を得た事により、凄まじい程に結束力を高めた住人らは、言うまでも無く、王都総出で魔物を撃退したのであった。